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310]
情報資料室更新
勘定場 2023/02/02(Thu) 07:55
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309]
弐月
厳冬にして厳寒。
衣更着そのままは内に引き籠もるより他はなく、
それは外の政治が極寒ゆえでもある。
令和も五年にして冷倭と暴かれ、
もはや凍て付くのみである。
勘定場 2023/02/01(Wed) 09:05
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308]
『鴻池幸武文楽批評集成』増補
「勾欄雑筆」「操雑筆」に備考を加えるとともに、
研究として「実父の鴻池善右衛門幸方」および「幕内秘録」に関するものを掲載しました。
勘定場 2023/01/25(Wed) 14:45
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307]
我が意を得たり
千秋氏の劇評により、
難物の権太が見事に解釈されました。
小金吾討死に関する評も素晴らしいの一言に尽きます。
勘定場 2023/01/25(Wed) 14:42
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306]
国立文楽劇場 令和五年 一月公演 (一月十七日) その4
‥‥しかし綱太夫と若太夫はもっと凄かった、と言えば無いものねだりになるのだろうか?
全くその通り。無いものをねだろう。
根本的に権太の捉え方が違うのである。「権太」は「もど」る為にいるのではないのだ。
「浄曲窟」で綱太夫の「椎の木」、若太夫の「鮓屋」を聴くと、権太には奇妙な魅力がある事が判る。
「よい子はあんな事やってはいけません!」と言われてよい子はやらないが、本当はやりたい事ばかりを権太はやっているのだ。
石で椎の実を落とす「鍛錬」は人間相手にして泣かせたのだろう、無力なよい子の憧れである。小金吾相手の強請もなんと上手い言いがかり。知能犯。こうして働かずして食いたいものだ。小金吾のコンプレックスに違い無い大前髪をネタにして「前髪を一筋づつ抜くぞよ。」と言う高度ないたぶり。上手いものだ。弱いと見ればつけ上がり、強いと見れば上手く逃げて、「衒りの習ひ金見ると、‥手ばしかく、」金はちゃんと自分のものに。
よい子も観客もこんな事をしてみたい!と実は思っている事を、綱太夫はよく知って、楽しく生き生きと権太を語るのだ。よい子も観客も開放されてしまう。「権太」の醍醐味は此処にある。故に「もどり」を予期して、実は権太は「よい子」だったと設定するのは、料簡が狭いのである。
権太は脈絡も定見も無い野生の男で、唯その場その場の動物的カンで行動している。それを「いがみ」と言うのは、統制された人間の言い草で、そう言う人間は「野生」を隠蔽しているうちに、活力衰えついに見様見真似で生きているだけになるのである。鷗外はその欺瞞を「かのやうに」と名付けた。
権太は「テモマア冷たいほでぢや」と子の手を温めてやるが、それは子の冷たい手を我が手でじかに温めてやるという、動物的な真意から出た行為であって、手袋買って済ませる様な、見せかけの愛情とは違うのだ。
若太夫の「鮓屋」に於いても、母親を騙して金を巻き上げようとするが、既に「根問ひは親の騙され小口」と母親は騙されたがっており、権太はその母に甘え切っている。故に例え騙し騙されようとも、親子の情愛は違う次元で確固として存在しているのだとはっきり感じられて、意外にも感動してしまうのである。ひとえに若太夫の力である。
権太の行為は多くが世知辛い世を世知辛く生きている小心者の我々の現実を足蹴にする行為で、よい子は真似をしてはいけないが、よい子の胸に燻り、大人の心にも燻り続けている火種なのである。それに火を点けずしてなんとしよう。
綱太夫と若太夫はそれに火を点けた。
浄瑠璃はこんな事も出来る。
「もどり」に押し込むのは大変であるが、予定調和に陥らず、空中分解も辞せずと決意した誰かに、「権太を張っ」て欲しいものだ。
以上
千秋 2023/01/23(Mon) 20:53
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305]
国立文楽劇場 令和五年 一月公演 (一月十七日) その3
☆すしやの段
前 呂勢太夫
「春は来ねども‥娘が漬けた鮓‥」呂勢の語りの美しい旋律に乗って、一輔のお里が鮓を売る。その可愛らしさに思わずクラッときて、ついこちらも鮓を買いに走りたくなり、ツメ人形が嬉々として買っているのが羨ましくなるほどでした。剰え、この辺りのお里の詞は蕩ける様な間の取り方で、「空き桶取りに行かれましたが、 もう戻らるるで ござんしよ」などと、寄る辺なく彷徨うのかと思わせながら、きっちり受け止めてホッとさせるので、その揺らぎだけでもう聴き手は陶酔です。しかも場面によっては高揚させておいて、次に雪崩れ落ちる様に言葉の玉を転がす事も出来る。浄瑠璃の旋律とリズムを完全掌握して、限界迄転がすという高度な事をしているので、聴いていて浄瑠璃の旋律の美しさを心から堪能出来ました。維盛も素晴らしかった。この人の「間」は絶妙です。
但し荒っぽいのはニンではなく、権太の造型には向きませんでした。
切 呂太夫
難しい構成の大曲を破綻無く纏め上げ、数多の人物を各々的確に語り分けて、明確な印象を残すという力量は大したものでした。殊に若葉の内侍は「都で御別れ申してより‥‥可愛や金吾は深手の別れ、‥‥」の長い詞も口跡美しく、流れあって哀切で、劇中に引き込まれます。又お里の恋の有様が一輔の一瞬の隙も無い人形の振る舞いと相俟って活写され、身分違いの恋の哀れさ以上に、娘らしい純な恋の美しさが輝き出るのでした。後振りの哀しみがかえって美として煌めく様に。
様々な事件を次々と乗り越える呂太夫は弥左衛門が「朱鞘の脇差‥駆け出す向かうへ『ハイハイハイ』」と梶原を登場させる時も、瞬時に場を切り替えるなど、観客聴衆を混乱させる事無く、スムーズに悲劇へと導きます。しかも権太の「もどり」あり、「内ぞ床しき」での頼朝の真意有りで、これを空中分解させる事無く段切りにまでもっていくのは、いかに大変か。感心しきりです。
現在この人以上の語りは考えられません。
千秋 2023/01/23(Mon) 20:45
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304]
国立文楽劇場 令和五年 一月公演 (一月十七日) その2
☆小金吾討死の段
小金吾‥三輪太夫 弥左衛門‥津國太夫 内侍‥南都太夫 六代、五人組‥聖太夫
「夕陽西へ入る折から、‥」と三輪は力強く語り、期待しましたが、「手傷は負へども気は鉄石の」筈が萎んでしまい、討死に至るまで淡々と進むので、悲痛感はあまり無く、それに応じて内侍もあっさりしており、緊迫感が薄くて残念でした。
此処は人形の見せ場なのでしょうか。人形の小金吾は奮闘しており、立ち回りも面白い。しかし小金吾はどの時点で静止画像にしても、形姿が美しく極まる様にして欲しい。玉勢には自分が小金吾を遣う事に集中するだけでなく、観客にどう見られているかを感知する視点が必要でしょう。
概ね掛合の所為か、統一感が無く、各々自分の役をこなしたというレベルのものでした。
実に勿体無いことです。五世呂太夫の「小金吾討死」を聴いた身としては。
‥以前録画で五世の「小金吾」を見、聴いて、
衝撃を受けた。「死なぬと申せしは偽り。三千世界の運借つても、何のこの傷で生きられませう。」と語る五世の詞によって、「実存」の暗闇に引き摺り込まれたからである。内侍の「必ず待つてゐるぞや」は気休めでしかなく、小金吾は自分一人の厳然たる「死」に直面して、否応無く、その時「生きた」のだった。
「実存」とは「現実に存在すること」。当たり前の事のようだが、現在の我々に「現実」は既に無くなっており、全て「仮想現実」なのである。それ故我々は「実存」出来ず、酔生夢死する他ない。五世呂太夫の小金吾には酔夢を破るだけの鋭い切っ先があって、それが「現実」を顕わにしたのである。「死」と言う現実を。
小金吾の「死」をこれだけの深淵に於いて捉えた呂太夫の精神力に驚嘆したのだった。
「小金吾討死」の段にはこれだけの可能性がある。今後はその可能性を追究してもらいたいものである。
千秋 2023/01/23(Mon) 20:38
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303]
国立文楽劇場 令和五年 一月公演 (一月十七日) その1
第二部「義経千本桜」
初春公演とあって餅花が飾られ、睨み鯛もあって華やかな雰囲気でした。客の入りもよく、盛況でした。
☆椎の木の段
口 咲寿太夫
「三芳野は‥‥」と情景が伸びやかに語られ、安心して劇中に入って行けました。この人は場面を自分が形成するのだという気概が出来た様で、細部には満足出来ない所がありますが、全体的に好感が持てます。但しもう少し追われる身の哀れさと緊迫感が欲しいものです。
奥 咲太夫休演の為織太夫
代役ながらきっちり勤め上げ、流石の力量でした。小金吾に緊迫感と一途な忠義が感じられ、小仙は情緒あり、善太は素直と語り分けも鮮やか。
しかし権太は堂々とし過ぎていて、「いがみ」が感じられない。「いがみ」の価値と魅力を考えると、此処はもう少し押して、引いて、捩ってという、権太の直截的な反応を活写して欲しいものです。「かねて工みのいがみの男、」権太の行動はそれ自体、奇妙な魅力があるので、やはりそれを開放せねばなりません。後半の「もどり」を意識しての予定調和に陥るならば、権太の魅力は曇ってしまうのです。
それでは権太の魅力とは?それについては後で考察する事にします。
千秋 2023/01/23(Mon) 20:30
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302]
拾遺『鴻池幸武文楽批評集成』
勘定場 2023/01/16(Mon) 16:58
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301]
正月公演評
以下のごとく寸評を書く気にならなかったので、
劇評本体を早々にお目にかけることとした。
目出度さも中位であったことが、
一読しておわかり頂けると思う。
勘定場 2023/01/06(Fri) 19:50
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