−たとえ不遇な最期を遂げられた魂も、のちのちまで丁重にお祀りすることにより、そのご神霊は愈あらたかになるという古代からの信仰にもとづいており、まさに日本人の神を敬う心そのものと申せましょう。−
−菅公を慕う天神信仰は、単に「学問の神様」にとどまらず、わが国の文化を生み出すエネルギー源となって千百年にわたり、日本人の心に脈々と受け継がれてきたのであります。−(「北野天満宮千百年大萬燈祭」パンフレットより)
思えば、かつて『忠臣蔵』を正月公演で出し「焼香場」で追い出した際に、「忠臣蔵とは何か」の著者丸谷才一氏に寄稿を頼んでまで、御霊信仰の意味をといて見せた国立文楽が、まさか今日このようなことになろうとは…。少なくとも当「音曲の司」においては、事の重大さに思いを馳せ、微力ながらその欠を補い、以てその血脈を今日まで伝えるべく、この《補完計画 其ノ六》を行うものである。
具体的には、現在遡ることができる真っ当な通し狂言、東京国立小劇場人形浄瑠璃文楽第22回公演(昭和47年5月)を参考に、今回省略された段々を、以下のような形で再現してみることとしたい。(本来ならば、国立側が当該VTRを広く公開すべきものである。)
詞章本文
日本古典文学全集「浄瑠璃集」所収『菅原伝授手習鑑』を底本とし、前述の公演で実際に語り弾かれ遣われたところのものによって補訂した。
(ふりがな)は煩雑になるのを避けるため、最小限にとどめた。 科白に当たるところは「 」で囲んだが、浄瑠璃でそれらすべてを詞としては語らないため(地・色等)、実際に詞として語られた部分だけを“ ”で囲んで示した。
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注釈行
実際の床や舞台を想像していただくのに必要最低限にとどめた。
○印:浄瑠璃(太夫・三味線)に関するもの。
◇印:人形に関するもの。
※印:作品解釈や構成に関するもの。
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大序「大内」・二段目「道行詞甘替」・二段目「安井汐待」・四段目「北嵯峨」・五段目「大内天変」
皆さまには、どうかこの意のあるところをお酌み取りいただき、不十分なWebページながらもご覧いただきたく、御願い申し上げます。
【補完資料】「菅原伝授手習鑑」はいかにして上演されて来たか提供者:五郎兵衛さん(2002.03.06)