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広助『三味線の手 節と手順』 | 1955.12.12 文化財保護委員会 | 1955.3 文化庁 1955.12 | 1955.2.10 1955.2.12 |
清八『義太夫節の種類と解説』 | 1955.2.10 文化財保護委員会 | 1955.3 文化庁 1958.3 | 1958.2.4-10 |
No | 曲節名 | 曲名 | 詞 | |
001 | 西風三段目 | こそは入りにける | ||
002 | 東風四段目 | こそは入りにける [解説(翻字略)] | ||
003 | 東(春太夫節のオクリ) | 廿四孝四段目十種香 | 臥所へ行く水の | |
清八 例004 東風の中 四段目物 | 廿四孝四段目 | 「伏戸へ行く水の」 | ||
004 | 駒太夫のオクリ | 祇園祭礼信仰記上燗屋 | つれて走り行く | |
清八 例039 駒太夫オクリ | 一の谷二段目切 | 「こそは急ぎ行く」 | ||
005 | 世話物のオクリ | かまどへさしかかる [解説(翻字略)] | ||
○ いままでのは弾き出しのオクリ これからは文章の中のオクリ | ||||
006 | 小オクリ | 忠臣蔵四段目 | 奥は | |
清八 例022 小オクリ | 忠臣蔵四段目 | 「かゝる折にも花やかに 奥は 外にも沢山あり」 | ||
007 | ギンオクリ | 玉藻前三段目 | 寂しき黄昏や間毎に照らす | |
清八 例035 ギンオクリ | 玉藻前三段目 | 「淋しき黄昏や 間毎を照らす銀燭の」 | ||
008 | ウキオクリ | 太功記十段目 | 長柄の銚子蝶花形門出を祝ふ熨斗昆布結ぶは | |
清八 例026 ウオクリ | 太功記十段目 | 「首途を祝う熨斗昆布 結ぶは」 | ||
009 | 網戸オクリ | 楠昔話三の口どんぶりこ | 杖を力に老の足 | |
010 | 林清オクリ | 三十三間堂平太郎住家 | 杖は我が子を力草柳が元へとたどり行く | |
清八 例015 林清オクリ | 三十三間堂柳 | 「杖は我子を力草柳が元ヘとたどり行く」 | ||
011 | ハリオクリ | お駒才三城木屋 | 親の心のそこひやみとぼ/\奥へ入りにけり | |
清八 例032 オクリカヽリ | 恋娘昔八丈城木屋 | 「そこひ闇 とぼ/\奥へ入りにけり」 | ||
012 | ハズミオクリ | 桂川連理柵帯屋 | 跡に引添ひ出来合ひの壷を被つた色事仕打連れ勝手へ入る跡は | |
清八 例030 ハズミオクリ | 桂川帯屋の段 | 「あとに引添い出来合の 壷をかぶった色事師打連れ」 | ||
013 | 音頭オクリ | 忠臣蔵七段目一力茶屋 | めれんになさで置くべきかと騒ぎに紛れ入りにける | |
清八 例029 ヲンドオクリ | 忠臣蔵七段目 | 「みれんになさで置くべきかと騒ぎに 紛れ入りにける」 | ||
014 | イロオクリ | 加賀見山七つ目 | 仏間へさして日も西へ | |
清八 例038 イロオクリ | 楠三段目 | 「手を引き合うておじうばは一間へ」 | ||
015 | 中オクリ | 忠臣蔵四段目 | お乗物に引添ひ/\御菩提 | |
清八 例020 中オクリ | 忠臣蔵四段目 | 「引添い只のオクリ御菩提所へと急ぎ行く」 は只のオクリである。 | ||
016 | フシオクリ | 忠臣蔵道行 | 都の これはどの道行にもございます。このフシ送りで幕が切って落とされるんでございます | |
清八 例024 フシオクリ | 千本桜道行 | 「大和地さして」 | ||
017 | 相の山オクリ | 紙子仕立両面鑑大文字屋 | 胸をさすって奥の間へ襖 | |
清八 例028 相の山オクリ | 揚巻助六大文字屋の段 | 「奥の間へ襖押明け入りにける」 | ||
018 | ヒナオクリ | 妹背山三段目 | 首取り乗する弘誓の船あなたの岸より | |
清八 例021 ウラフシオクリ | 妹背山三段目 | 「あなたの岸より」 | ||
019 | 武者オクリ | 一の谷陣屋 | 呼ばわる声ともろともに一間へ | |
清八 例013 武者オクリ | 一の谷陣屋の段 | 「呼はる声と諸共に一間へこそは入相の」 | ||
020 | クラサハオクリ | 摂州合邦辻合邦庵室 | しんたる夜の道 | |
清八 例*010 オクリ | 合邦庵室 | 「しんたる夜の道には暗からねど」 | ||
021 | 宮戸オクリ | 心中天網島紙屋内 | すぐに仏なり | |
清八 例011 宮戸オクリ | 心中天網島紙治 | 「すぐに仏なり」 | ||
○ 三重の部 | ||||
022 | 普通三重 | 本蔵下屋敷 | 行く水も | |
清八 例040 引トリ三重 | 増補忠臣蔵本蔵下邸 | 「行く水の」 | ||
023 | 上三重 | 三十三所壺坂寺 | たどり行く | |
清八 例041 上三重 | 三十三所壺阪 | 「コレハ高ク云ウコトたどり行く」 | ||
024 | 下三重 | 鎌倉三代記八つ目 | 入相時 | |
清八 例042 下三重 | 鎌倉三代記八ツ目 | 「入相時[過]」 | ||
025 | ウレイ三重 | 忠臣蔵四段目 | 浮き世なれ 下三重とウレイ三重はほぼ同じような語り風でございますが、下三重は「入相時」、「時」から声をあげるんでございます。ウレイ三重の方は「浮き世な」最後の「れ」の字からあげる、これだけが違うだけでございます。もっとも三味線の弾き方はお聞きの通りウレイ三重の方がだいぶん手数が込んでおります。 | |
清八 例043 下三重 | 忠臣蔵四段目 | 「浮世なれ マクラ故此三重は低く云うこと」 | ||
026 | 段切リのウレイ三重 | [沼津] | 合はす火影は親子の別れ後に見捨てゝ別れ行く | |
清八 例044 ウレイ三重 | 伊賀越沼津 | 「合はす火影は親子の名残りあとに 見捨てゝ別れ行く」 | ||
027 | ウレイ三重ガカリ | 忠臣講釈喜内住家 | 笑い顔しおれ勇んで | |
清八 例045 ウレイ三重カヽリ | 中心講釈喜内住家 | 「涙の種の笑い顔 ウレイ三重カヽリ志おれ キオイ三重ニナル勇んで 出て行く」 | ||
028 | ウレイワリ三重 | 忠臣蔵九段目 | 一夜ぎり心残して | |
清八 例047 念仏三重 | 忠臣蔵九段目 | 「一夜ぎり 心残して出て行く」 (註)九段目段切を念仏三重ということ摂津大掾より教授されしもの | ||
029 | キオイ三重 | 加賀見山長局 | 奥の間へ真一文字に | |
清八 例048 キオイ三重 | 加賀見山長局 | 「奥の間へ真一文字にかけり行く」 | ||
030 | シコロ三重 | 伊賀越沼津 | 瀬川につづく池添も足に任せて 慕ひ行 | |
清八 例049 キオイ三重 | 伊賀越沼津 | 「瀬川に続く池添も足に任せて 慕い行く」 | ||
031 | 引取三重 | 忠臣蔵七段目一力茶屋場 | 明かりを照らす障子の内影を隠すや | |
清八 例050 引取三重 | 忠臣蔵七段目 | 「明りを照らす障子の内 蔭を隠すや」 | ||
032 | サグリ三重 | 朝顔日記宿屋 | 女の念力あとを慕うて これは盲人のはいるときに使う手でございます | |
清八 例052 サグリ三重 | 朝顔日記宿屋 | 「女の念力あとを慕うてサグリ」 | ||
033 | 大三重(だいさんじゅう) | 菅原伝授道明寺 | 尽きぬ思ひに堰き兼ぬる涙の玉の | |
清八 例054 大三重 | 菅原伝授道明寺 | 「思いにせきかぬる涙の玉の」 | ||
034 | 道具返し(三重の弾き出し) | (詞なし) | ||
035 | 鹿オドリ | お駒才三城木屋 | (詞なし) | |
清八 例318 鹿ヲドリ | 恋娘昔八丈城木屋 | 「言うも更なる繁華の地」 | ||
036 | 鹿オドリ | 恋女房染分手綱沓掛村 | (詞なし) | |
清八 例320 鹿ヲドリ | 恋女房沓掛村 | 「吉凶しの身は世に連れて与の助が」 | ||
○ この他に壺坂寺・千本桜すしや・義士銘々伝赤垣等はオクリ・三重・鹿オドリでもなく別に弾き出しがございます。 | ||||
037 | 弾き出し(二上り) | 壺坂 | 夢が | |
038 | 弾き出し(三下り) | 千本桜すしや | 春は来ねども花咲かす | |
清八 例009 | 千本桜寿しや | 「これはマクラ弾出しは三下り歌で中ホドニ「オクリ」あり この所少しサラリと弾き語るも亦その通り」 | ||
039 | ハルフシ | 一の谷陣屋 | 相模は障子押し開き | |
清八 例058 ハルフシ | 一の谷陣屋 | 「相模は障子押開らき」 | ||
040 | 同じハルフシで違う手 | 廿四孝四段目 | あでやかなりしその風情 | |
041 | 同じくハルブシの替り | 菅原三段目佐太村 | 南無阿弥陀仏と鉦打ち納め | |
清八 例060 ハルフシ | 菅原三段目佐太村 | 「鉦打納め これは初代此大夫風のハルフシである。」 | ||
042 | フシハル | 菅原四段目 | 小太郎ともに奥へ/\と若君諸共誘はせ後先見廻し夫に向ひ | |
043 | 同じくフシハルの変わった手 | 先代萩御殿 | 茶飯釜の湯の試を千松に | |
044 | 同じく替わり手 | 忠臣蔵七段目一力茶屋場 | 思ひ付いたる延べ鏡出して写して読み取る文章 | |
清八 例062 ハルフシ | 忠臣蔵七段目 | 「思いついたる延べ鏡 フシハル出して写して読取る文章」 | ||
045 | フシオチ | 太功記十段目 | やう/\涙押しとゞめ | |
清八 例061 ハルフシ | 太功記十段目 | 「やう/\涙押止め」 | ||
046 | 本ブシ | 心中天網島紙屋内 | 定木を枕うたたねのあたる炬燵の小春時 | |
清八 例075 本ブシ | 天網島紙治 | 「定木を枕転寝の 当る炬燵の小春時」 | ||
047 | フシハルカカリ | 三十三所壺坂 | かゝることとは露知らず | |
清八 例077 フシハルカヽリ | 三十三所壺阪 | 「斯かることとは露知らず」 | ||
048 | 同じくフシハルカカリの替わり手 | 加賀見山長局 | 聞く辻占にお初がお初がハッと見やる空には一群の | |
清八 例078 フシハルカヽリ | 加賀見山長局 | 「とまり烏の泣きつれて」 | ||
049 | 大(おお)ブシ | 忠臣講釈喜内住家 | 舁いて出でたる亡骸に書残したる | |
清八 例076 本ブシ | 忠臣講釈喜内 | 「舁いて出たる亡骸に 書残したるもしほ草」 | ||
050 | 地フシ | 阿波鳴門八つ目 | 順礼に御報謝と言ふも優しき国訛 | |
清八 例079 地フシ | 阿波鳴戸八ツ目 | 「巡礼に御報謝と 言うも優しき国訛り」 | ||
051 | 地フシノルカカリ | 三十三間堂柳 | はや東雲の街道筋 | |
清八 例080 地フシハルカヽリ | 三十三間堂柳 | 「早東雲の街道筋」 | ||
052 | 地のアゲブシ | 一の谷陣屋 | 中にひときわ優れし緋縅 | |
053 | 同じく替え手 | 三十三間堂柳 | 哀れと思し給はれよ | |
清八 例081 ウフシ上 | 三十三間堂柳 | 「哀れと思し 給はれよ」 | ||
054 | ウキブシ | 箱根霊験記躄瀧 | 猫なで声の面憎さ | |
清八 例083 地ウフシ | 箱根霊験記滝の段 | 「地猫なで声のウフシ面憎さ」 | ||
055 | 同じく替え手 | 花上野志渡寺 | あんぐりと刀を鞘に納めた顔 | |
清八 例084 地ウフシ | 花上野志度寺 | 「あんぐりと刀を鞘に ウフシ納めた顔」 | ||
056 | 同じく替え手 | 恋女房沓掛村 | 今日はしやり無理銭受け取ると上がり口に達磨催促 | |
清八 例085 地ウフシ | 恋女房沓掛村 | 「受取と 揚り口に ウフシだるま催促」 | ||
057 | 中ブシ | 三勝半七酒屋 | 園もうぢ/\手をつかへ | |
清八 例086 中フシ | 三勝半七酒屋 | 「園もうぢ/\ 手を仕え」 | ||
058 | 同じく替え手 | 菅原三段目佐太村 | 御恩も送らず先立つ不孝御赦されて下されい | |
清八 例087 中フシ | 菅原三段目佐太村 | 「御恩も送らず先立不幸 御赦されて下れい」 | ||
059 | 中ブシノル | 一の谷陣屋 | 悲しやとくどき歎かせ給ふにぞ | |
清八 例088 中フシ | 一の谷陣屋 | 「胸もせまりて悲しやと くどき嘆かせ給うにぞ」 | ||
060 | 本ブシのカカリ | 太功記十段目 | 三人は涙押包み奥の仏間と湯殿口入るや | |
清八 例089 本ブシカヽリ | 太功記十段目 | 「三人は涙押包み 奥の仏間と湯殿口入るや」 | ||
061 | 同じく替わり手 | 三十三所壺坂寺 | 声澄みていとしん/\と殊勝なる | |
清八 例090 本ブシカヽリ | 三十三所壺阪 | 「声すみて いとしん/\と殊勝なる」 | ||
062 | ワリ三ツブシ | 天網島紙屋内 | 内に情けぞ寵りける | |
清八 例091 ワリ三ツユリフシ | 天網島紙治 | 「内に情ぞこもりける」 | ||
063 | ワリ四ツブシ | 天網島河庄 | 魂抜けてとぼ/\うか/\身をこがす | |
064 | フシカカリ | 新版歌祭文野崎村 | 五条袈裟思ひ切つたる目の中に | |
清八 例095 フシカヽリ | 歌祭文野崎村 | 「五条袈裟 思い切ったる目の中に」 | ||
065 | 同じく替え手 | 三十三所壺坂寺 | 哀れなりける次第なり | |
清八 例096 フシカヽリ | 三十三所壺阪 | 「哀れなりける次第なり」 | ||
066 | 半太夫ハルブシ | 楠昔話どんぶりこ | 今こゝに思ひ合はせし河内の国 | |
清八 例063 ハルフシ | 楠三段目 | 「今爰に思い合せし河内の国」 | ||
○ これよりハルブシの各名人の特[ ]いたしました | ||||
067 | 春太夫ハルブシ | お染久松質店 | いそいそ帰る辻占をお染はいさみ | |
清八 例064 「ハルフシ」の各名人特演例 | お染久松質店 | 「いそ/\帰る辻占をお染は勇み」二世此大夫 | ||
068 | 同じく二世綱太夫 | 勢州阿漕浦平次内 | 仕習ひ易き下司仕事 | |
清八 例065 「ハルフシ」の各名人特演例 | 阿漕浦平治内 | 「仕習い安き下司仕事」二世綱大夫 | ||
069 | 同じく駒太夫 | 廿四孝十種香 | こなたには心そぞろに | |
清八 例066 「ハルフシ」の各名人特演例 | 廿四孝十種香 | 「こなたには心そゞろに」初代鐘大夫 | ||
070 | 同じく重太夫 | 朝顔宿屋 | しばしは旅と綴りけん昔の人の筆のあと | |
清八 例067 「ハルフシ」の各名人特演例 | 朝顔日記宿屋 | 「暫しは旅とつゞりけん昔の人の筆の跡」重大夫 | ||
071 | ツギブシ | 太功記十段目 | 百万石に優るぞや | |
清八 例068 ツギフシ | 太功記十段目 | 「百万石に増るぞや」 丸本には中フシとあり、五字落しとも云う | ||
072 | 地ハル | 先代萩御殿場 | ドレ拵へうとかい立て傍に飾る黒棚より | |
清八 例036 ギンオクリ | 先代萩御殿 | 「かたえに飾る黒柵より 取出す錦の袋物」 | ||
073 | 同じくウク | 千本桜すしや | 思ひ召されん申し訳過ぎつる春の頃 | |
清八 例069 地ウ | 千本桜寿しや | 「思し召されん申釈 地ウ過つる春の頃」 | ||
074 | 同じく替え手 | 太功記十段目 | 世にあらうか解けて逢ふ夜のきぬ/\も | |
清八 例070 地ウ、地ハル | 太功記十段目 | 「ハルウ解けて逢夜のきぬ/\も」 | ||
075 | 同じく替え手 | 阿波鳴門八つ目 | 聞分けて去んだがよいぞやと言ひつゝ内へ針箱の | |
清八 例071 地ウ、地ハル | 阿波鳴戸八ツ目 | 「地ハルウ言ひつゝ内に針箱の」 | ||
076 | 同じく替え手 | 先代萩御殿 | ひもじうない何ともないと渋面作り | |
077 | 同じく替え手 | 鳴戸八つ目 | コレマ今一度顔をと引き寄せて | |
清八 例072 地ウ、地ハル | 阿波鳴戸八ツ目 | 「マ一度顔をと地上引きよせて」 | ||
078 | 同じく入 | 忠臣蔵六段目勘平内 | さてもさても世の中に俺が様な因果な者が | |
清八 例073 地ウ、地ハル | 忠臣蔵六段目 | 「地ハルウ扨も/\世の中におれが様な因果なものが」 | ||
079 | 同じくイチウク | 玉藻前三段目 | 前生の報ひか罪か悲しやと | |
080 | 地上ウク | 先代萩御殿 | 鉄石心さすが女の愚に返り人目なければ伏し転び死骸にひしと抱きつき前後不覚に嘆きしはことわり | |
清八 例074 地上ウ | 先代萩御殿 | 「遉が女の愚に返り人目なければ伏し転び死骸にひしと抱きつき前后不覚に歎きしは理り過ぎて道理なり」 | ||
081 | 地中 | 忠臣蔵四段目 | つぶさに承知せられよと懐中より御書取り出し | |
○ 落シの部 | ||||
082 | 大オトシ | 太功記十段目 | はら/\/\雨か涙の汐境浪立ち騒ぐごとくな[り] | |
清八 例097 大落シ | 太功記十段目 | 「雨か涙の汐境浪立騒ぐ如くなり」 | ||
083 | 同じく大オトシ代用 | 忠臣蔵四段目 | さてこそ末世に大星が忠臣義心の名を上げし根ざしはかくと知られけり | |
清八 例098 筑前オトシ | 忠臣蔵四段目 | 「忠臣義心の名を揚し根ざしは斯としられけり」 | ||
084 | 同じくことば大オトシ | 忠臣蔵六段目 | 両人共にまづまづまづまづまづ聞いてたべ 忠臣蔵の浄瑠璃には大オトシがないんでございます。あの大物の九段目でさえないのんいに。それでただいまの四段目の「根ざしはかくと知られけり」が大オトシ代用。 | |
085 | 筑前オトシ | 加賀見山長局 | 錦と替る麻の衣女鏡と知られけり | |
清八 例099 筑前オトシ | 加賀見山長局 | 「錦とかわる麻のきぬ女鑑と知られけり」 | ||
086 | 中オトシ | 菅原三段目佐太村 | その風情物ぐるはしき風情なり | |
清八 例101 中オトシ | 菅原三段目佐太村 | 「有様は物狂はしき風情なり」 (文弥オトシでやる場合もある) | ||
清八 例*102 文弥オトシ | 菅原三段目佐太村 | 「有様は物狂はしき風情なり」 | ||
087 | 上総オトシ | 菅原四段目寺子屋 | 何れもは門火/\と門火を頼み頼まるる | |
清八 例104 カズサオトシ | 菅原四段目 | 「門火/\と門火を頼み頼まるゝ」 | ||
088 | 景事オトシ | 一の谷二段目切流しの枝 | いたはしくも又道理なり | |
清八 例106 ケイジオトシ(駒太夫風) | 一の谷二段目流しの枝 | 「痛はしくも亦道理なり」 | ||
089 | 文弥オトシ | 太功記十段目 | 曇りなき涙に誠あらはせり | |
清八 例111 文弥オトシ | 太功記十段目 | 「曇りなき涙に誠あらはせり」 | ||
090 | キオイオトシ | 伊賀越八つ目岡崎 | くれよかしと庭にまろびつ這廻り抱きしめたる我が身も雪と消ゆべき風情なり | |
清八 例107 キオイオトシ | 伊賀越岡崎 | 「抱き入れたる我が身も雪と消ゆべき風情なり」 | ||
091 | 同じく替え手 | 三勝半七酒屋 | 内と外一度にわつと湧き出づる涙浪花江泉川小きんを汲み出すごとくなり | |
清八 例109 キオイオトシ | 三勝半七酒屋 | 「涙浪花江泉川小きんを汲出す如くなり」 | ||
092 | 三ツ間オトシ | 花上野志渡寺 | 座敷の内もお手車乳母も衣裳を着飾つて | |
093 | 四ツ間オトシ | 玉藻前三段目 | かこち給へば初花も共に涙にむせかへり | |
094 | 五ツ間オトシ | お俊伝兵衛堀川 | 女の道を立てとほす娘の手前面目ない | |
095 | 四ツオリオトシ | 心中天網島河庄 | 帰る姿もいた/\しくあと見送り声を上げ | |
096 | セキオトシ | 玉藻前三段目 | こればっかりがと言いさして声曇らせば初花姫 | |
097 | ハズミオトシ | 玉藻前三段目 | 胸に迫つて一言もお礼は口へは出ぬはいなア | |
098 | 五字オトシ | 一の谷三段目陣屋 | いかゞ過ぎ行き給ふらん未来の迷ひこれ一つ | |
099 | これよりハズミ | 忠臣義士伝本蔵下屋敷 | 主人桃井若狭之助忍びと見えて | |
清八 例162 ハヅミ | 増補忠臣蔵本蔵下邸 | 「主人桃の井若狭之助忍びと」 | ||
100 | 同じく替え手 | 菅原伝授四段目寺子屋 | 松王は駕籠に揺られて立ち帰る | |
清八 例165 ハヅミフシ | 菅原四段目 | 「松王は駕にゆられて立帰る」 | ||
101 | 同じく替え手 | 一の谷二の中組討 | 船一艘もあらざれば詮方波に | |
102 | 同じく替え手 | 千本桜すしや | お触れのあつた内侍六代維盛弥助めせしめて | |
103 | 同じく替え手 | 箱根霊験記躄瀧 | こいつあかなわぬとして来いなと尻引っからげ大磯さして駈けり行く | |
104 | 同じく津賀太夫が申しましたハズミ | こいつあかなわぬと逃げて行く | ||
清八 例167 ハヅミ津賀太夫クセ | いざり滝の段 | 「こいつは叶はぬと逃て行く」 | ||
105 | 江戸ハズミ | 蝶花形八つ目小坂部館 | まだ十才の腕白盛り | |
清八 例168 江戸ハヅミ | 蝶花形八ツ目 | 「まだ十才の腕白ざかり」 | ||
106 | ノリハズミ | 八陣守護城正清本城 | のうこれ待つてと雛絹が取付き縋るを振払い見返りもせず駈けり行く | |
清八 例169 ノリハヅミ | 八陣ハツ目 | 「母上さらばと言捨てゝこそ欠り行く」 | ||
107 | モロハズミ | 蝶花形八つ目 | 股立ちりゝしく身ごしらへ | |
清八 例170 モロハヅミ | 蝶花形八ツ目 | 「股立ちりゝしく身ごしらえ」 | ||
108 | 拍子 | 堀川猿廻し | 婿入り姿ものっしりとのっしりと | |
清八 例171 拍子 | 堀川猿廻し | 「聟入姿ものつしりと/\」 | ||
109 | 同じく替え手 | ひらかな盛衰記逆櫓 | ヤッシヽヽやっしっし/\/\ | |
清八 例172 拍子 | ひらかな盛衰記さかろ | 「ヤツシイシヽヤツシツシ シヽヤツシツシ」 | ||
110 | ノル | 堀川猿廻し | アアいやゝのいやゝのアヽあた世話な家持よりは金持が | |
清八 例173 ノル | 堀川猿廻し | 「アヽいやゝの/\アヽあた世話な家持よりは金持に」 | ||
111 | 詞ノリ | 太功記十段目 | これ見給へ光秀殿 俗に言うにはサワリサワリと申しますが決してサワリじゃあございません。地合でありながら言葉で半分言うので詞ノリというのがホンモンでございます | |
清八 例174 ノル | 太功記十段目 | 「コレ見給へ光秀どの・・・・より以下」 | ||
清八 例255 四ツ間 | 太功記十段目 | 「コレ見給へ光秀殿」 | ||
112 | 同じ替え手 | 菅原四段目寺子屋 | 私が伜は器量よしお見違へ下さるなと | |
清八 例175 ノル | 菅原四段目 | 「私が倅は器量よしお見違え下さるなと」 | ||
○ 次は普通のノリでございますが、このノリも大ノリ中ノリとノリにもいろいろございます。 | ||||
113 | 大ノリ | 太功記十段目 | 夕顔棚のこなたより顕れ出たる武智光秀 大ノリのうちでも大きいのり。なるべく豪快に弾きます | |
清八 例176 本大ノリ | 太功記十段目 | 「現はれ出たる武智光秀」 の出の合の手 | ||
114 | 中ノリ | 菅原四段目 | されば/\北嵯峨の御かくれ家 間が中ノリになるだけでございます | |
清八 例177 中ノリ | 菅原四段目 | 「さらば/\北嵯峨の御かくれが・・・より以下」 | ||
清八 例210 アシライ | 菅原四段目 | 「されば/\北嵯峨の御かくれ家時平の家来が聞出し召取りに向うと聞それがし山伏の姿となり危い所奪い取ったり」 | ||
115 | 大和地のノリ | 傾城反魂香吃又将監内 | オオよい所へ酒肴幸ひ/\盃も戴いて | |
清八 例178 大和地とはノル事 | 反魂香吃又 | 「よい所へ酒肴幸い/\盃も戴いて」 | ||
116 | トル | 恋娘昔八丈城木屋 | 堅い商売城木屋と門へ印しの杉ならで | |
清八 例179 トルと言事 | 恋娘昔八丈城木屋 | 「堅い商売城木屋と門に印しの杉ならで」 | ||
117 | 同じく替え手 | 一の谷組討 | 鞍の塩手やしお/\と | |
清八 例180 トルと言事 | 一の谷二の中 | 「弓手に御首たずさえて」 | ||
118 | トルカカリ | 菅原三段目佐太村 | なむあみだ笠打かぶり西へ行足十万億土 | |
清八 例181 トルカヽリ | 菅原三段目佐太村 | 「なむあみだ笠打かぶり西え行く足」 | ||
119 | 同じく替え手 | 伊賀越沼津 | 影に巣をはり待かける これは三下がりでございます | |
清八 例182 トルカヽリ | 伊賀越沼津 | 「稲村の影に巣を張り待かける」 | ||
120 | クル | 三十三所壺坂 | 折しも坂の下よりも詠歌を道の枝折にて | |
清八 例184 上クル | 三十三所壺阪 | 「折りしも坂の下よりも詠歌を道のしおりにて」 | ||
120a | 上クルとございますがこれは大落しの前提ではらはら涙 雨か涙の汐境 大落しに申し上げましたら略いたします。 | |||
清八 例183 上クル | 太功記十段目 | 「はら/\/\雨か涙の汐ざかい」 | ||
121 | クルカン | 三十三所壺坂寺 | 神ならぬ身の浅ましやかかる憂目は前の世の報ひか罪かエエ情なや | |
清八 例186 クルカン | 三十三所壺阪 | 「かゝる憂目は先の世の報いか罪かエヽ情なや」 | ||
122 | クリ上ゲ | 菅原四段目寺子屋 | 疱瘡まで仕舞うた事じやとせき上てかっぱと | |
清八 例187 クリ上ゲ | 菅原四段目 | 「疱瘡まで仕舞うた事じやとせき上てかっぱと」 | ||
123 | 同じくクリ上ゲの替え手 | 太功記十段目 | 祝言さえも済まぬ内討死とは曲がない | |
清八 例188 クリ上ゲ | 太功記十段目 | 「祝言さえも済まぬ内討死とは曲がない」 | ||
124 | 八ツグリ | 一の谷三段目陣屋 | 聞へぬ我子やなつかしの此笛やと | |
清八 例189 八ツグリ | 一の谷陣屋 | 「聞えぬ我子やなつかしの此笛やと」 | ||
125 | 同じく替え手 | 忠臣蔵九段目山科 | 白髪のコレ此首聟殿へ進ぜたさ | |
清八 例190 上八ツグリ | 忠臣蔵山科 | 「白髪のコレ此首聟殿に進ぜたさ」 | ||
126 | 上八ツグリ | 日蓮記三段目勘作内 | わつとばかりに泣き倒れ性根正体なかりしが | |
清八 例185 上クル | 日蓮記三段目 | 「わっと斗りに泣倒れ正根正体なかりしが」 | ||
127 | ヒロイ | 明がらす山名屋 | 塀の外面を見下して | |
清八 例192 ヒロイ | 明がらす山名屋 | 「そつと高欄より塀の外面を見下して」 | ||
128 | ヒロイ | 阿波鳴門八つ目巡礼歌 | ドレ/\報謝進ぜよと盆に白げの志し | |
清八 例193 ヒロイ | 阿波鳴戸八ツ目 | 「ドレ/\報謝進ぜよと盆に白げの志し」 | ||
129 | 長地 | 朝顔宿屋 | 秋月の娘深雪は身につもる歎きの数の重りて塒失ふ目なし鳥 | |
清八 例194 長地 | 朝顔日記宿屋 | 「娘御雪は身に積る嘆きのかずの重なりて塒失う目なし鳥」 | ||
130 | 長地カカリ | 合邦辻庵室 | 親里も今は心の頼みにてなれし | |
清八 例196 長地カヽリ | 合邦ヶ辻庵室 | 「親里も今は心の頼みにて」 | ||
131 | 同じく替え手 | 三十三所壺坂寺 | まめやかに夫の手助け賃仕事つづれさせてふ洗濯や | |
清八 例197 長地カヽリ | 三十三所壺阪 | 「まめやかに夫の手助け賃仕事」 | ||
132 | 同じく替え手 | 三十三間堂柳 | じっとこらえて立寄れど得も岩代の結び松われは柳のみどり子が | |
清八 例198 長地カヽリ | 三十三間堂柳 | 「じっとこらえて立寄れど得も岩代の結び松」 | ||
133 | コハリ | 太功記十段目 | 猪首に着なす鍬形のあたり眩ゆきいでたちは | |
134 | 同じく替え手 | 玉藻前三段目 | いづれも立寄って御成敗なされよとよろぼひ/\首取り上げ | |
135 | 矢 | 義士銘々伝本蔵下屋敷 | 殿も見下し御落涙袖や袴に雨車軸流れて外へ小柴垣 | |
清八 例×101 中オトシ | 増補忠臣蔵本蔵下邸 | 「流れて外へ小柴垣庭にふちなす斗りなり」 | ||
清八 例*103 文弥オトシ | 増補忠臣蔵本蔵下邸 | 「流れて外へ小柴垣庭にふちなす斗りなり」 | ||
136 | 同じく替え手 | 先代萩御殿 | 忠義は先代末代までまたあるまじき烈女の鑑いまにその名は芳しき | |
137 | 矢トメ上 | 千本桜すしや | 手負いに取り付き天命知れや不孝の罪 | |
清八 例199 矢トメ上 | 千本桜寿し屋 | 「母は取付天命知れや不幸の罪」 | ||
138 | 同じく替え手 | 千本桜すしや | 可愛や金吾は深手の別れ | |
清八 例200 矢トメ上 | 千本桜寿し屋 | 「可愛や金吾は深手の別れ」 | ||
139 | 次も同じことです | 忠臣蔵七段目一力茶屋場 | ヤア/\/\それは本かいな | |
清八 例201 矢トメ上 | 忠臣蔵七ツ目 | 「ヤア/\/\夫はマア本かいなア」 | ||
140 | カン | 恋飛脚大和往来新口村 | 長き親子の別れともやすかたならで安き気も | |
清八 例202 カン | 恋飛脚新口村 | 「永き親子の別れとも安方ならで安き気も」 | ||
141 | もうひとつ替え手を申し上げます | 三勝半七酒屋 | 去年の秋の煩ひにいつそ死んでしまうたら | |
清八 例203 カン | 三勝半七酒屋 | 「去年の秋のわづらいにいつそ死んで仕舞うたら」 | ||
142 | ウレイハルブシ | 朝顔日記宿屋 | 朝顔殿朝顔殿と呼立る無残なるかな秋月の | |
清八 例205 ウレイハルフシ | 朝顔日記宿屋 | 「呼立る無残なるかな秋月の」 | ||
143 | 同じく替え手 | 御所桜三段目 | 始終のやうす聞く信夫 | |
清八 例206 ウレイハルフシ | 御所桜三段目 | 「始終の様子聞く信夫」 | ||
144 | ハズミハルブシ | 和田合戦三の切市若初陣 | 館をば出るも思ひ見る思ひ | |
清八 例207 ハヅミハルフシ | 和田合戦三の切 | 「館をば出るも思い見る思い」 | ||
145 | ハルブシカカリ | 玉藻前三段目 | 哀れはかなき有様を | |
清八 例208 ウギンハルフシカヽリ | 玉藻前三段目 | 「露を待間やかげろうの哀れはかなき有様を」 | ||
146 | 替え手 | 一の谷陣屋 | 武士を捨て住所さえ定めなき | |
清八 例209 ハルフシカヽリ | 一の谷陣屋 | 「武士を捨て住所さえ定めなき」 | ||
147 | 二ツユリ | 安達原三段目 | 身に応ゆるは血筋の縁 | |
清八 例113 二ツユリ | 安達原三段目 | 「身に応ゆるは血筋の縁」 | ||
148 | 三ツユリ | 玉藻前三段目 | 胸にひつしと萩の方途方涙に暮れ給ふ | |
清八 例114 三ツユリ | 玉藻前三段目 | 「胸にひつしと萩の方途方涙に暮れ給う」 | ||
149 | 四ツユリ | 菅原四段目 | 散りぬる命是非もなや | |
清八 例121 四ツユリ | 菅原四段目 | 「散りぬる命是非もなや」 | ||
150 | 五ツユリ | 廿四孝三段目勘助住家 | まゝならぬこそ恨みなれ | |
清八 例122 五ツユリ | 廿四孝三段目 | 「此手柏の二タ面まゝならぬこそ恨みなれ」 | ||
151 | 六ツユリ | 先代萩御殿 | 直してあふぐ扇さへ骨も砕くる思ひなり | |
清八 例123 六ツユリ | 廿四孝四段目 | 「いはいに向い手を合せ」」 | ||
152 | 七ツユリ | 妹背山杉酒屋 | 云はうとすれば胸迫り | |
清八 例124 七ツユリ | お初徳兵衛教興寺 | 「どちらをさしてよかろうやらと三人うろうろ立ちさわぐ」 | ||
153 | 九ツユリ | 千本桜すしや | どうと伏し身を震はして泣きければ | |
清八 例125 九ツユリ | 千本桜寿し | 「預りましたとどうと伏し身を震はして泣きければ」 | ||
154 | ツキユリ | 揚巻助六大文字屋 | とつかわ出るもゆっくりと泣に逝ると哀れなり | |
清八 例127 ツキユリ | 揚巻助六大文字屋 | 「とつかわ出るもゆっくりと泣に逝ると哀れなり」 | ||
155 | ユリナガシ | お俊伝兵衛堀川 | 仰ぐも我れを渋団扇眼さえ不自由な暮らしなり | |
清八 例128 ユリナガシ | お俊伝兵衛堀川の段 | 「仰ぐも我れを渋団扇眼さえ不自由な暮らしなり」 | ||
156 | ハルユリ | 桂川連理柵帯屋 | 胸に釘打つ長右衛門面目涙に暮れ居たる | |
清八 例116 中フシ三ツユリ | 桂川帯屋の段 | 「胸に釘打つ長右衛門面目涙に暮れ居たる」 | ||
157 | ウキユリ | 新版歌祭文野崎村 | 気の毒さ振りの肌着に玉の汗 | |
清八 例118 中フシ三ツユリ | 歌祭文野崎村 | 「気の毒さ振りの肌着に玉の汗」 | ||
158 | シブユリ | 妹背門松質店 | 夢合せ幾瀬の思いぞ辛気なる | |
清八 例117 中フシ三ツユリ | 妹背の門松質店 | 「夢合せ幾瀬の思いぞ辛気なる」 | ||
159 | ウキギンユリ | 忠臣蔵九段目 | 只アイ/\も口の内帽子まばゆき風情なり | |
清八 例119 裏三ツユリ | 忠臣蔵九段目 | 「只アイ/\も口の内帽子まばゆき風情なり」 | ||
160 | クルマユリ | 心中天網島紙治内 | 心の限りくどき立て恨み歎くぞ誠なる | |
清八 例094 色三ツユリ雛型ブシ | 天網島紙冶 | 「心の限りくどき立て 恨み歎くぞ誠なる」 | ||
161 | ハネユリ | 一の谷陣屋 | よるもよられず悲しさの千々に砕くる物思い | |
清八 例120 フシアト三ツユリ | 一の谷陣屋 | 「よるもよられず悲しさの千々に砕くる物思い」 | ||
162 | オルユリ | お染久松野崎村 | 骨身に応え久松お染何と返事もないじゃくり | |
清八 例129 オルユリ | 歌祭文野崎村 | 「骨身に応え久松お染何と返事もないじゃくり」 | ||
163 | キオイユリ | 累物語埴生村 | 彼の男納戸へこそは入りにけり | |
清八 例130 キオイユリ | 累物語埴生村 | 「いそ/\として彼の男納戸へこそは入りにけり」 | ||
164 | ユリブシ | 廿四孝十種香 | 立戻って手を合はせ御経読誦の鈴の音 | |
清八 例131 ユリフシ | 廿四孝四段目 | 「立戻って手を合はせ御経読誦の鈴の音」 | ||
165 | 同じく替え手 | 千本桜すしや | 知らぬ道をば行き迷う | |
清八 例132 ユリフシ | 千本桜寿し屋 | 「知らぬ道をば行き迷う」 | ||
○ ギンの部 | ||||
166 | 枕のウキギン | お俊伝兵衛堀川 | 同じ都も世につれて | |
清八 例133 枕のウギン | お俊伝兵衛堀川 | 「同じ都も世につれて」 | ||
167 | 同じく文章の中のウキギン | お俊伝兵衛堀川 | 言葉に否も泣顔を隠す硯の海山と | |
清八 例135 ウギン | お俊伝兵衛堀川 | 「詞に否も泣顔を隠す硯の海山と」 | ||
168 | 同じく替え手 | 白石噺揚屋 | 宮城野が部屋は上品奥二階箪笥長持鏡台の | |
清八 例136 ウギン | 白石噺揚屋 | 「部屋は上品奥二階箪笥長持鏡台の」 | ||
169 | 同じく替え手 | 先代萩御殿 | 湯の試みを千松に飲ます茶碗も楽ならで | |
170 | ハリギン | 加賀見山長局 | 胸撫で下ろし手を組んで思い詰たる其顔色 | |
清八 例137 ハリギン | 加賀見山長局 | 「胸撫で下ろし手を組んで思い詰たる其顔色」 | ||
171 | 同じく替え手 | 忠臣蔵九段目 | 枝打払えば雪散って延るはすぐなる竹の力 | |
清八 例138 ハリギン | 忠臣蔵九段目 | 「枝打払えば雪散って延るはすぐなる竹の力」 | ||
172 | 同じく替え手 | 妹背門松質店 | 心は跡に沖の船裾もゆら/\走り行く | |
清八 例139 ハリギン | 妹背の門松質店 | 「心は爰に沖の船裾もほら/\走り行く」 | ||
173 | 同じく替え手 | 新版歌祭文野崎村 | 燃ゆる思いは娘気の細き線香に立つ煙 | |
清八 例140 ハリギン | 歌祭文野崎村 | 「燃ゆる思いは娘気の細き線香に立つ煙」 | ||
174 | 中ギン | 加賀見山長局 | 憂涙包むに余る小風呂敷 | |
清八 例141 中ギン | 加賀見山長局 | 「憂涙包むに余る小風呂敷」 | ||
175 | 同じく替え手 | 一の谷三段目陣屋 | 纜にや障子に写るかげろうの | |
清八 例142 中ギン | 一の谷陣屋 | 「纜にや障子に写るかげろうの」 | ||
176 | ワリギン | 勢州阿漕浦平治内 | 涙の雨身に降りかゝるを身に受けて | |
清八 例144 ツリギン | 勢州阿漕ヶ浦平治内 | 「思いやるせも涙の雨身に降りかゝるを身に受けて」 | ||
177 | 江戸ギン | 一の谷陣屋 | さしもの平山あしらひ兼ね浜辺をさして | |
清八 例152 江戸ギン | 橋弁慶 | 「肌に練の御あはせ・・・・・以下」 | ||
178 | 説経ギン | 妹背門松質店[蔵前] | 心は先へ | |
179 | ユリギン | 伊賀越岡崎 | 両腰そっと道端の雪かき集め押隠す | |
清八 例145 ユリギン | 伊賀越岡崎 | 「両腰そっと道端の雪かき集め押隠す」 | ||
180 | ノルギン | 太功記妙心寺 | 軍配取って一戦に | |
清八 例146 地中ギン | 太功記妙心寺 | 「父に替って某が軍配取って一戦に」 | ||
181 | ノリギン替わり手 | 和田合戦市若初陣 | 縋れば払う愛別離苦 | |
清八 例147 地中ギン | 和田合戦市若初陣 | 「礼義に隠す涙の袖縋れば払う愛別離苦」 | ||
182 | ウラギン | 花上野志渡寺 | 額を土にうづくまる | |
清八 例148 ウラギン | 花上野志度寺 | 「偏に願上ますと額を土にうづくまる」 | ||
183 | ハヤギン | 一の谷二の中組討 | ことありと須磨の磯辺へ出でられしが | |
清八 例149 ウラギン | 一の谷組打 | 「告知らす事有りて須磨の磯辺へ出られしが」 | ||
184 | スエギン | 忠臣蔵道行 | 薩垂峠にさしかゝり見返れば | |
清八 例164 ハヅミ | 忠臣蔵道行 | 「さった峠にさしかゝり見返れば」 | ||
185 | 揚ギン | 一の谷陣屋 | さらばさらばおさらばと声も涙にかきくもり別れて | |
清八 例150 揚ギン | 一の谷陣屋 | 「さらば/\おさらばの声も涙にかきくもり」 | ||
186 | 同じく替え手 | 玉藻前三段目 | そのお言葉たとえ何れの胤なりとも | |
清八 例151 揚ギン | 玉藻前三段目 | 「そのお言葉たとえ何れの胤なりとも」 | ||
187 | 地中ハル | 忠臣義士伝本蔵下屋敷 | 我身ぞ知る三世の縁も浅草の | |
清八 例153 地ハルフシ | 増補忠臣蔵本蔵下邸 | 「我身ぞ知る三世の縁も浅草の」 | ||
188 | 同じく替え手 | 一の谷陣屋 | 申し上ぐれば御涙を浮め給い | |
清八 例154 地ハルフシ | 一の谷三段目陣屋 | 「申し上ぐれば御涙を浮め給い」 | ||
189 | 同じくウク | お俊伝兵衛堀川 | 嘘とは知れど老の身は | |
190 | 同じく替え手 | 千本桜すしや | こちらはこゝに天井抜け寝て花やろと | |
191 | 地色 | 菅原四段目 | かゝる所へ春藤玄番首みる役は松王丸 これは地合ともつかず色ともつかず両方を兼ねておりますので地色と申します。「かかる所へ春藤玄番」だけが地色でございます。 | |
清八 例155 地色ハル | 菅原四段目 | 「かゝる所へ春藤玄番」 | ||
192 | 同じく地色のハル | 恋飛脚新口村 | 言葉の端に孫右衛門さてはそうかと恩愛の | |
清八 例156 地色ハル | 恋飛脚新口村 | 「言葉の端に孫右衛門さてはさうかと」 | ||
193 | 同じく替え手 | 傾城反魂香吃の又平 | 将監も不便さの これは河内ハリマと申し上げます。一説に。 | |
194 | 同じくウク | 千本桜すしや | 様子聞たかいがみの権太勝手口より躍り出で | |
清八 例157 地色ウ | 千本桜寿し屋 | 「様子聞たか 此間ホス いがみの権太」 | ||
195 | 同じく中 | 玉藻前三段目 | 母の嘆きにかきくもる | |
清八 例161 地色中 | 玉藻前三段目 | 「母の嘆きにかきくもる」 | ||
196 | 同じく上 | 三十三所壺阪寺 | ハハハアヽヽヽヽ有難や忝なや | |
清八 例158 地色上 | 三十三所壺阪 | 「ハハ、ハアヽヽヽヽ有難や忝なやこれより」 | ||
197 | 色 | 太功記十段目 | はっと驚き口に手を当てアヽコレ/\声が高い初菊殿 これは各段如何なる義太夫にもございます | |
清八 例159 色ドメ | 太功記十段目 | 「はっと驚き口に手を当て」 | ||
198 | 同じく色ドメ | 太功記十段目 | かけ戻ってハッタとにらみ | |
清八 例160 色ドメ | 太功記十段目 | 「かけ戻ってハッタとにらみ」 | ||
199 | タタキ | 妹背門松質店 | 裸にしたかぬくもりのさめぬを待てど身は寒き | |
200 | 同じく替え手 | 白石噺揚屋 | 宮城野が部屋は上品奥二階 | |
清八 例211 タヽキ | 白石噺揚屋 | 「宮城野が部屋は上品奥二階」 | ||
201 | 同じく替え手 | 廿四孝四段目十種香 | 鈴ンの音 | |
清八 例212 タヽキ | 廿四孝四段目 | 「鈴ンの音こなたも同じ松虫の」 | ||
202 | [同じく替え手] | [お俊伝兵衛堀川] | [契]りやと枕につとう露涙 | |
清八 例213 タヽキ | お俊伝兵衛堀川 | 「薄き親子の契りやと枕につとう露涙」 | ||
203 | 下タタキ | 花上野志渡寺 | 伏拝む手に露涙 | |
清八 例215 下タタキ | 花上野志度寺 | 「伏し拝む手に露なみだ」 | ||
204 | ハリタタキ | 太功記十段目 | どう急がるゝものぞいのと泣く泣く取り出す緋縅の | |
清八 例216 ハルタヽキ | 太功記十段目 | 「急がるゝ物ぞいのと泣々取り出す緋威の」 | ||
205 | 同じく替え手 | 三十三所壺坂寺 | 乱るゝ心取直し上る段さえ四ツ五ツ早暁の鐘の声 | |
清八 例217 ハルタヽキ | 三十三所壺阪 | 「乱るゝ心取直し上る段さえ四ツ五ツ」 | ||
206 | 中タタキ | 玉藻前三段目 | 用意の褥四隅には | |
清八 例218 中タヽキカヽリ | 玉藻前三段目 | 「取出す用意の褥四隅には」 | ||
207 | 同じく替え手 | 先代萩御殿 | お末が業を信楽や | |
清八 例219 中タヽキカヽリ | 先代萩御殿 | 「楽ならでお末が業を信楽や」 | ||
208 | タタキカカリ | 太功記十段目 | かゝれとてしもうば玉の | |
清八 例220 ウタヽキカヽリ | 太功記十段目 | 「別れの涙かゝれとてしもうば玉の」 | ||
209 | 同じく替え手 | 日吉丸三段目 | 片時も思い忘るゝひまもなう | |
清八 例221 ウタタヽキカヽリ | 日吉丸三段目 | 「片時も思い忘るゝひまもなう」 | ||
210 | 大マワシ | 恋飛脚新口村 | 落人の | |
清八 例222 大マワシ | 恋飛脚新口村 | 「落人の」 | ||
211 | 小マワシ | 妹背門松質店 | 草鞋とく/\お上に揚り | |
清八 例223 小マワシ | 妹背門松質店 | 「草鞋とく/\お上へ揚り」 | ||
212 | 同じく替え手 | 蝶花形八ツ目 | 心も先きへ飛石伝い | |
清八 例224 小マワシ | 蝶花形八ツ目 | 「心も先きえ飛石伝い」 | ||
213 | 六法 | 太功記十段目 | 真柴が武勇仮名書き | |
清八 例225 六法 | 太功記十段目 | 「真柴が武勇仮名書きに」 | ||
214 | 同じく替え手 | 三勝半七酒屋 | 茜染今色上し艶で姿 | |
清八 例227 六法 | 三勝半七酒屋 | 「茜染今色上し艶で姿」 | ||
215 | ウラ六法 | 菅原伝授四段目 | あとは門火にえひもせず | |
清八 例228 ウラ六法 | 菅原四段目 | 「あとは門火にえひもせず」 | ||
216 | ウレイ六法 | 迎駕聚楽町 | 小梅も梅の花ちらしやがて茜の知るべまで | |
清八 例229 ウレイ六法 | 迎駕聚楽町 | 「小梅も梅の花ちらしやがて茜の知るべまで」 | ||
217 | 位(くらい) | 忠臣蔵四段目 | 入来る上使は石堂右馬之丞 | |
清八 例230 位フシ | 忠臣蔵四段目 | 「入来る上使は石堂右馬之丞」 | ||
218 | 位オチ | 忠臣蔵六段目 | 身をへり下り述ければ 行儀とも申しましす。行儀と位オチと三味線の手數にしたら一撥か二撥違うだけで名前が違うんでございます | |
清八 例231 行儀(位オチとも云う ) | 忠臣蔵六段目 | 「身をへり下り述ければ」 | ||
219 | 行儀 | 忠臣蔵九段目 | 幸ひ今日は日柄もよしサ御用意なされ下さりませと相述ぶる 「くださりませ」の「と」の一字手が違うだけでございます | |
清八 例232 行儀(位オチとも云う ) | 忠臣蔵九段目 | 「御用意なされ下さりませと相述る」 | ||
220 | 景事ブシ | 忠臣蔵道行 | 連れて親子の二人連れ 道行ものは全部景事で申しますとにかく一番派手な語り風でございます。皆音がギンに懸かっております | |
221 | ヒナガタ | 忠臣蔵九段目 | あの力弥様の御屋敷はもうここかえわしや恥ずかしいとなまめかし | |
清八 例233 雛形フシ | 忠臣蔵九段目 | 「もう比処かえわしや恥しいとなまめかし」 | ||
222 | シャキリ | 忠臣蔵九段目 | 由良殿といふも涙にむせ返れば | |
清八 例234 シヤキリ | 忠臣蔵九段目 | 「由良殿と言うも涙にむせ返れば」 | ||
223 | シャリセン 只今の文章の次でございます | 忠臣蔵九段目 | 妻や娘はあるにもあられず | |
清八 例235 シヤリセン | 忠臣蔵九段目 | 「むせ返れば妻や娘は有るにもあられず」 | ||
224 | 長持 | 日蓮記三段目勘作住家 | 返らぬ事を口説き立てそこよこゝよと駆け廻り | |
225 | 伐害(ばつがい) | 安達原三段目 | 申し申しとのびあがり かたわの出るときに用いるフシでございます 他に志渡寺の坊太郎これはおしでございます、躄瀧の勝五郎これはあしなえでござります | |
清八 例236 伐害(ザンガイ) | 安達原三段目 | 「申し/\と伸び上り」 | ||
清八 例239 伐害(ザンガイ) | 花上野志度寺 | 「いかにがんぜがない迚ても」 | ||
清八 例237 伐害(ザンガイ) | いざり滝の段 | 「心ばかりは勝五郎」 | ||
226 | 八郎兵衛フシ | 恨鮫鞘鰻谷 | うぬ真二つにヤアきり/\/\な斬殺し浮世の夢や鮫鞘に 鰻谷だけの用いません手でございます。 | |
227 | 八文字 | 戻り駕籠 | 花よ花よと金やろ客が | |
清八 例241 八文字六法 | 戻り駕 | 「恥し乍ら咄しませう花よ/\と金やる客は志んぞぶり出す八文字」 | ||
228 | 乱レ | 伊賀越沼津 | サヽ御座れと先に立つ平作は千鳥足しんどが利になる蒟蒻の砂になるかと悲しさに小腰屈めて | |
清八 例242 乱レ | 伊賀越沼津 | 「サヽ御座れと先に立つ平作は千鳥足辛度が利になるこんにやくの砂になるかと悲しさに」 | ||
229 | ツナギ | 恋飛脚大和往来新口村 | 馴れぬ旅路を忠兵衛がいたわる身さえ雪風に | |
清八 例243 ツナギ | 恋飛脚新口村 | 「馴れぬ旅路を忠兵衛がいたわる身さえ雪風に」 | ||
230 | ハリマ | 玉藻前三段目 | かくと知らせに館の後室衣紋正しく出で迎え これは井上播磨掾さんの編み出されたフシでございまして一番最初のフシとも申します。十二文字になればいずれに付けても付く手でございます | |
清八 例256 ハリマ | 玉藻前三段目 | 「斯くと知らせに館の後室衣紋正しく出迎い」 | ||
231 | 同じく替え手 | 忠臣蔵六段目 | 縞の財布の紫摩黄金仏果を得よと言ひければ 東風でござりますれば音遣いをのんびりと語り、西風になればすこし早くかつすねて語るんでございます。 | |
清八 例257 ハリマ | 忠臣蔵六ツ目 | 「縞の財布の紫摩黄金仏果を得よと言ければ」(註)東風なればヲン(のんびり語る)西風なれば少し早くスネル | ||
232 | 同じくハリマガカリ | 菅原四段目 | 立派なやつや九つで | |
清八 例258 ハリマカヽリ | 菅原四段目 | 「立派なやつ健気な八つや九つで」 | ||
233 | ハリマ重ネ | 千本桜すしや | 若葉の内侍は若君を宿ある方へあずけ置き | |
清八 例259 ハリマ重ネ | 千本桜寿し屋 | 「若葉の内侍は若君を宿ある方へ預け置き」 | ||
234 | 国太夫 | 浪花八重霞新屋敷 | それも誰レゆへ秋鹿の | |
235 | 文弥 | 先代萩御殿 | 忠と教へる親鳥の | |
清八 例261 文弥 | 先代萩御殿 | 「忠と教へる親鳥の」 | ||
236 | 同じく替え手 | 日蓮記三段目 | しほ/\と涙片手に舁き入れて | |
清八 例262 文弥 | 日蓮記三段目 | 「しお/\と涙汗手に舁入て」 | ||
237 | 同じく替え手 | 三代記八ツ目 | 聞き納めと思へば弱るうしろ髪 | |
清八 例263 文弥 | 鎌倉三代記八ツ目 | 「聞納めと思へばよわる後髪」 | ||
238 | 同じく替え手 | 廓文章吉田屋 | アヽコレさりとては紙子ざはりが荒い/\引けば破れる掴めば跡にしはす浪人昔は鑓が迎ひに出る今はやう/\長刀の | |
清八 例264 文弥 | 廓文章吉田屋 | 「引けば破れるつかめば跡に師走浪人昔は槍が迎いに出る今はやう/\長刀の」 | ||
239 | 同じく替え手 | 伊賀越沼津 | はよう苦痛を止めてくだされ親子一世の逢ひ初めの逢ひ納め | |
清八 例266 文弥 | 伊賀越沼津 | 「親子一世の逢初の逢納め」 | ||
240 | 同じく替え手 | 妹背山三の切 | サアかゝさん切て/\と身を惜しまぬ我が子の覚悟に励まされ | |
清八 例267 文弥 | 妹背山三の切 | 「サアかゝさん切て/\と身を惜まぬ我子の覚悟にはげまされ」 | ||
241 | 同じく替え手 | 躄滝 | 泣上戸めったやたらに腹立上戸 | |
清八 例268 文弥 | いざり滝の段 | 「泣上戸めったやたらに腹立上戸」 | ||
242 | 同じく替え手 | 中将姫雪責 | けさまでもいたわりかしずく身なりしに | |
清八 例269 文弥 | 中将姫雪責 | 「けさまでも痛わりかしづく身なりしに」 | ||
243 | 表具 | 忠臣蔵七段目 | 数に入ってお伴にたたん小身ものの悲しさは | |
清八 例270 表具 | 忠臣蔵七段目 | 「数に入ってお供に立たん小身物の悲しさは」 | ||
244 | 同じく替え手 | 中将姫雪責 | さあどうじゃとするどなる詮議に姫は顔を上げ愚かの仰せ候らうぞや | |
清八 例271 表具 | 中将姫雪責 | 「詮義に姫は顔を上げ愚かの仰せ候らうぞや」 | ||
245 | 同じく替え手 | 堀川猿廻し | 暫し此世を仮ぶとん薄き親子の契りやと | |
清八 例272 表具 | お俊伝兵衛猿廻し | 「暫し此世を仮ぶとん薄き親子の契りやと」 | ||
246 | 同じく替え手二代目綱太夫が語ったフシ | [花上野志渡寺] | 乳母が亡き跡亡き父の | |
清八 例273 表具 | 花上野志度寺 | 「乳母が亡き跡亡き父の」 | ||
247 | 同じく三代目綱太夫の替え手 | 合邦内 | かゝるけやけき姿をばお目に | |
清八 例274 表具 | 摂州合邦辻下の巻 | 「かゝるけやけき姿をば」 | ||
248 | 同じく替え手麓太夫 | 蝶花形八ツ目 | 捨つる命のありがたき | |
清八 例275 表具 | 蝶花形八ツ目 | 「捨つる命の有難き」 | ||
249 | 同じく替え手組太夫 | 菅原三段目佐太村 | 是非に及ばぬあの木とともに枯れし命の桜丸 | |
清八 例276 表具 | 菅原三段目佐太村 | 「枯れし命の桜丸」 | ||
250 | 表具カカリ | 堀川猿廻し | この世に残っている気はあるまいいずくいかなる国の果て山の奥にも身を忍び | |
清八 例277 表具カヽリ | お俊伝兵衛猿廻し | 「此世に残っている気はあるまいいずこいかなる国の果」 | ||
251 | 表具クズレ | 恋飛脚新口村 | 懐ろに温められつ温めつ | |
清八 例278 表具クズシ | 恋飛脚新口村 | 「懐ろに温められつ温めつ」 | ||
252 | 同じく替え手 | 堀川猿廻し | そも逢いかゝるはじめより末の末まで言い交わし | |
清八 例×278 表具クズシ | お俊伝兵衛猿廻し | 「そも逢かゝる初めより末の末まで言かわし」 | ||
253 | 表具重ネ | 千本桜すしや | 栄華の昔父のこと思い出だされ御膝に落つる涙ぞいたわしき 表具が二重になっています | |
清八 例279 表具重ネ | 千本桜寿し屋 | 「栄華の昔 父の事思い出され御ひざに落つる涙ぞ」 | ||
254 | 土佐節 | 六韜[鬼一法眼]三略巻橋弁慶 | 西塔の武蔵坊弁慶は其頃都にありけるが五条の橋には人を悩す曲者ありと聞きしかばそれを従へ召使はんと心も空も晴るゝ夜の月も音羽の山の端に出立つ鎧は黒革威好む所の道具には熊手ない鎌鉄の棒さい槌鋸まさかり刺股さすまゝに権現より給はつたる大薙刀真中取ツて打かづきゆらり/\と出でたる有様如何なる天魔鬼神なりとも面を向くべきやうあらじと我身ながらも物頼もしく手にたつものゝアヽほしやと一人言して打ち渡りンに向ふをきつと見てあれば | |
清八 例280 土佐ブシ | 三略巻橋弁慶 | 「西塔の武蔵坊弁慶は其頃都にありけるが五条の橋には人を悩ます曲者有しと聞しかば夫を従へ召使はんと心も空も晴るゝ夜も月も音羽の山の端に出立鎧は黒皮威好む所の道具には熊手ない鎌鉄の棒…………以下」 | ||
255 | 外記 | 三十三堂柳 | 名を挙げてたもヤアヤアヤア母は今を限りにて このフシは院本には角太夫節と書いてございますが、いかほど調べても角太夫節じゃございません。外記節でございます | |
清八 例281 角大夫ブシ | 三十三間堂柳 | 「名を揚げてたもや母は今を限りにて」 | ||
256 | 同じく替え手 | 大江山二段目切保昌館 | やあやあ怪童尋ぬる母はここにありとくとく出よと呼ばわったり | |
清八 例282 外記 | 大江山保昌館 | 「ヤア/\怪童尋ぬる母は爰にありとくとく出よと呼はったり」 | ||
257 | 江戸 | 太功記十段目 | 対面せんと呼ばわって三衣にかわる陣羽織小手臑当も優美の骨柄悠然として | |
清八 例283 江戸 | 太功記十段目 | 「三衣に替る陣羽織小手脚当も優美の骨柄悠然として」 | ||
258 | 同じく江戸 | 岸姫三段目 | 相の襖を押し開き司姫を小脇にかゝえ勢いこんで義秀が | |
清八 例284 江戸 | 岸姫松三段目 | 「間の襖を踏ひらき 司姫を小脇にかゝえ勢い込んで義秀が」 | ||
259 | 半太夫 | 恋飛脚大和往来新口村 | ためかや今は冬枯れてすゝき尾花はなけれども世を忍ぶ身はあとやさき | |
清八 例285 半中 | 恋飛脚新口村 | 「落人の為かや今は冬枯れてすゝき尾花はなけれども」 | ||
260 | 同じく替え手 | 揚巻助六大文字屋 | かげも心もかき曇るお松といへど色かわる | |
清八 例286 半中 | 紙子仕立大文字屋 | 「かげも心もかきくもるお松と言へど色かわる」 | ||
261 | 同じく半太夫 | 野崎村 | ちょき/\/\切っても切れぬ恋衣や元の白地をなまなかにお染は思い久松が | |
清八 例287 半中 | 歌祭文野崎村 | 「切っても切れぬ恋衣や元の白地をなま中にお染は思い久松が」 | ||
262 | 同じく替え手 | 桂川帯屋 | 信濃屋のお半は胸のうさつらさよそ目を包む振袖の | |
清八 例288 半中 | 桂川帯屋の段 | 「同じ思ひを信濃屋のお半は胸のうさつらさ余所目を包む振袖の」 | ||
263 | 半太夫のつづき | 堀川猿廻し | よう合点いたしました殊にまた伝兵衛さんつい一通りで逢うた客深い訳でもないわいなしかし勤めの習ひにて人の落目を見捨つるを廓の恥辱とするわいなとても末の詰らぬこと | |
清八 例290 半中 | お俊伝兵衛猿廻し | 「ツイ一ト通りで逢うた客深い訳でもないわいなァ」 | ||
264 | 同じく猿廻しのつづき | [堀川猿廻し] | 憎し悪しもないやうに得心をさせまして品よく訳の立つやうに | |
265 | 同じく替え手 | 祇園信仰記笠の舞 | たどりたどりて | |
266 | カサ半太夫 | 祇園祭礼信仰記[二段目切] | かけて結んで付き纏われて | |
清八 例293 半太夫 | 祇園信仰記 | 「あゝ申しその足元ではあぶない夜道せめてこれをといひ筒守りをブラ/\/\とかけて結んで付まとわれて猶も思いがまさきのかづらたぐりくる/\いつともなしに」 | ||
○ 繁太夫節 地唄の富崎春昇さんのやられます繁太夫節と義太夫の繁太夫節とちょっとかわってございます。大体におきまして同じことでございますが、あちらさまの「親方とこことにまだ五年ある年のうち」これが義太夫と地唄の方と音が違ごうております。つまりツボが違うんでございます。それから次にまいりまして、「人手に取られては私はもとより主はなお」ここが違うんでございます。それから次に参りまして「いっそ死んでくれぬかアア死にましょうと、引くに引かれぬ義理詰にふっと言いかわし」これが音が違ごうております。大体におきましてあまり違わんのでございますけども、義太夫ではあとが詞になっておりますので、「いつなんどきを最期とも」これで義太夫の方は節が終いになっております。地唄の方はまだ引き続きましてずっとそののちも地合になっとります。ご参考のためにちょっと申し上げておきます。 | ||||
267 | 繁太夫 | 天網島河庄 | 紙治さんと死ぬる約束親方にせかれて逢瀬も絶え差合ひあつて今急に請出すことも叶はず南の元の親方とこゝとにまだ五年ある年の中人手に取られては私は元より主はなほい一ち分立たずいつそ死んでくれぬかアゝ死にましよと引くに引かれず義理詰めにふつと言ひ交はし首尾を見合せ合図を定め抜けて出よう抜けて出よといつなんどきを最期ともその日送りのあへない命 | |
清八 例295 繁大夫 | 天網島河庄 | 「紙治さんと死る約束親方にせかれて逢瀬も絶え差合有って今急に請出す事も叶はず南の元の親方と此処とにまだ五年ある年の内………………以下其の日送りのあへない命迄」 | ||
268 | 道具屋 | 伊勢音頭油屋 | 北六万野が取り/\に、とさん盃硯蓋 | |
清八 例296 道具屋 | 伊勢音頭油屋 | 「北六万野が取り/\にとさん盃硯蓋」 | ||
269 | 同じく替え手 | 千両幟猪名川内 | 町中の贔屓に肩も猪名川が | |
清八 例297 道具屋 | 千両幟猪名川 | 「町中のひいきに肩も猪名川が」 | ||
270 | 同じく替え手 | 勢州阿漕浦平治内 | かかる嘆きの胴中へ | |
清八 例298 道具屋 | 阿漕浦平治内 | 「かゝる歎きの胴中へ庄屋を案内に打連れて」 | ||
271 | 同じく替え手 | 廿四孝三段目中下駄場 | 二重の腰の白妙も | |
清八 例299 道具屋 | 廿四孝下駄場 | 「二重の腰の白妙も」 | ||
272 | 同じくカカリ | 三十三間堂柳 | 夜は山賊の大胆不敵何でも掘出ししこ溜んと | |
清八 例300 道具屋カヽリ | 三十三間堂柳 | 「夜は山賊の大胆不敵何でも掘出ししこ溜んと大刀さし足」 | ||
273 | 園八 | 廓文章吉田屋 | 忍ぶとすれど古しえの花は嵐のおとがいの | |
清八 例301 宮園 | 廓文章吉田屋 | 「忍ぶとすれど古しえの花は嵐のおとがいの」 | ||
274 | スエテ | 三勝半七酒屋 | やつぱり元の嫁娘とおつしやつて下さりませお二人様とあとは言葉も涙なり | |
清八 例302 スエ(又スエテ) | 三勝半七酒屋 | 「おっしやって下さりませお二人様と後は言葉も涙なり」 | ||
275 | 同じく替え手 | 一の谷陣屋 | 討つて無常をさとりしか遉に猛き武士も物の哀れを今ぞ知る | |
清八 例303 スエ(又スエテ) | 一の谷陣屋 | 「遉に猛き武士も物の哀れを今ぞ知る」 | ||
276 | 同じく替え手 | 堀川猿廻し | 十五夜の月はさゆれど胸の闇すぎしわかれのいいかわし | |
277 | スエ | 菅原二段目切道明寺 | 心のなげきを隠し歌 「テ」がございません。「スエ」 | |
278 | 同じく替え手 | 安達原三段目祭文 | 皮も破れし三味線の | |
清八 例×303 スエ(又スエテ) | 安達原三段目 | 「皮も破れし三味線の」 | ||
279 | 政太夫のスエ | 忠臣蔵九段目 | 祝言させてくださりませと縋り嘆けば母親は | |
清八 例304 スエ(又スエテ) | 忠臣蔵九段目 | 「祝言させて下さりませと縋り嘆けば母親は」 | ||
280 | 同じく染太夫のスエ | 妹背山三段目 | 久我之介はうつ/\と父の行く末身の上を守らせ給へと心中に | |
清八 例305 スエ(又スエテ) | 妹背山三段目 | 「父の行末身の上を守らせ給へと心中に」 | ||
281 | 同じく春太夫 | 廿四孝四段目 | 不憫ともいたわしともいわんかたなき二人が心とそぞろ涙にくれけるが | |
清八 例×305 スエ(又スエテ) | 廿四孝四段目 | 「言はん方なき二人が心とスエテそゞろ涙に暮れけるが」 | ||
282 | スエカカリ | 合邦内 | 玉手御前俊徳丸の御行方尋ねかねつゝ | |
清八 例307 スエカヽリ | 摂州合邦辻下の巻 | 「俊徳丸の後行衛尋ねかねつゝ」 | ||
283 | 同じく替え手 | お染久松野崎村 | 連れて行くその間遅しと駆入るお染逢いたかったと久松に縋りつけば | |
清八 例308 スエカヽリ | 歌祭文野崎村 | 「逢いたかったと久松に縋り付けば」 | ||
284 | 同じくスエカカリ | すしや | お変りないかとびっくりも一度に興をぞさましける | |
清八 例309 スエカヽリ | 千本寿桜し屋 | 「お変りないかとびっくりも一度に興をぞさましける」 | ||
285 | 大スエ | 一の谷陣屋 | 或はくやみ或は怒り涙は滝をあらそへり | |
清八 例306 大スエテ | 一の谷陣屋 | 「さぞ御一門の魂魄我を恨みんあさましやと或いは悔み或いは怒り大スエテ涙は滝をあらそへり」 | ||
286 | 同じく大スエ | 忠臣蔵六段目 | 推量あれと血ばしる眼無念の涙[演奏なし] | |
清八 例×306 大スエテ | 忠臣蔵六ツ目 | 「推量あれとスエテ血走る眼に無念の涙」 | ||
287 | 同じく[大スエ] | 反魂香吃又 | さりとはつれないお師匠じゃと声をあげて泣きいたる[演奏なし] | |
清八 例×306 大スエテ | 反魂香吃又 | 「さりとは情ないお師匠じやとスエテ声を上げて泣きいたる」 | ||
288 | 同じスエテで四段目のスエテは少し違います | 菅原四段目 | 急度見るより暫くは打守居たりしが | |
清八 例×306 大スエテ | 菅原四段目 | 「キツト見るより暫らくは四段目スエテ打守りいたりしが」 | ||
289 | 新内 | 明がらす山名屋 | 情ない今宵別れ私が身や [解説(翻字略)] | |
清八 例310 新内 | 明がらす山名屋 | 「今宵別れてわしが身や」 | ||
290 | 新内 | 明がらす山名屋 | かかる憂き目をみせるのも皆私から起つた事 [解説(翻字略)] | |
清八 例311 新内 | 同 | 「かゝる憂目を見せるのもみんなわしから起ったこと」 | ||
291 | サハリ | 廓文章吉田屋 | 夕霧涙もろともに恨みられたりかこつのは色の習と言ひながら 俗に世間でサハリと申しますのはクドキとか[ ]と言う工合になっている。本当のサハリと申しますのは変わった手がございます | |
清八 例312 サハリ | 廓文章吉田屋 | 「夕霧涙諸共に恨みられたりかこつのは色の習と言ひながら」 | ||
292 | 舞 | 反魂香吃又 | それは土佐坊これは土佐の又平光起が師匠の御恩を報ぜんと身にも応ぜぬ重荷をば大津の町や追分の絵にぬるごふんはやすけれど名は千金の絵師の家今墨色を上にけり | |
清八 例313 舞 | 反魂香吃又 | 「是は又土佐の又平光起が師匠の御恩を報ぜんと身にも応ぜぬ重荷をば大津の町や追分の絵にぬるごふんは安けれど名は千金の絵師の家今墨色を上にけり」 | ||
293 | 平家 | 千本桜渡海屋 | 美しき御手を合せ見奉れば気も消え/\ | |
清八 例315 平家 | 千本桜渡海屋 | 「美しき御手を合せ見奉れば気も消え/\」 | ||
294 | [平家] | 布引瀧四段目三人上戸琵琶 | いざや諷わん是迚も浮世は夢の現つとやさわあれど恩愛の中心留って腸を断つ魂を動さぬということなし | |
清八 例314 平家 | 布引滝四段目 | 「いざや諷わん是迚も浮世は夢の現つとやさわあれど恩愛の中心留って腸を断つ魂を動かずということなし」 | ||
295 | 鼓歌 | 日蓮記三段目 | 燈火眠る隙間より吹来る風の身に染みて | |
清八 例321 鼓歌 | 日蓮記三段目 | 「姿も見えず仏壇の燈火眠る隙間より吹来る風の身に染みて」 | ||
296 | 放下僧 | 伊賀越五つ目政右衛門屋敷 | 市松人形風車七つになる子に殿を持たせ済ました | |
清八 例322 放下僧 | 長柄人柱あしかり道行 | 「三下り放下僧あら面白の水の流れや筆にかくともつきずまじ東には八幡山崎長柄堤を迥れば廻れわすれたりとよ」 | ||
297 | 琴唄 | 朝顔宿屋 | 露の干ぬ間の朝顔を照らす日影のつれなきに哀れ一むら雨のハラ/\と降れかし | |
清八 例324 琴唄 | 朝顔日記宿屋 | 「露の干ぬ間の朝顔を照らす日影のつれなきに哀れ一むら雨のハラ/\と降れかし」 | ||
298 | 地唄 | 三十三所壺坂 | 鳥の声鐘の音さえ身にしみて思ひ出すほど涙がさきに落ちて流るゝ妹背の川 | |
清八 例325 地唄 | 三十三所壺阪 | 「鳥の声鐘の音さえ身に染みて思ひ出す程涙が先へ落ちて流るゝ妹背の川を」 | ||
299 | 次に地唄がひとつございますけれどこれは三味線なしでございますので略いたしておきます。 | |||
清八 例326 地唄 | 三十三所壺阪 | 「エヽ儘よ憂が情か情が憂か露と消えゆく我身の上は」 | ||
300 | 祭文 | 安達原三段目 | お願い申したてまつる今の憂き身の恥づかしさ父上や母様のお気に背きし報ひにて二世の夫にも引別れ泣きつぶしたる目なし鳥二人が中のコレこのお君とて明けてやう/\十一の子を持つて知る親の恩知らぬ祖父様祖母様を慕ふこの子がいぢらしさ不憫と思し給はれとあと歌ひさし | |
清八 例327 祭文 | 安達原三段目 | 「お願い申し奉る今の浮身の恥しさ父上や母様のお気に背きし報いにて二世の夫にも引別れ泣潰したる目なし鳥二人が中のコレこのお君とて……………以下」 | ||
301 | 同じく祭文 | お駒才三鈴ヶ森 | 不憫やお駒は夫のためかゝる憂き身の縛り縄首にかけたる水晶の数珠の数さへ消えてゆく屠所の羊の歩みより | |
清八 例329 二上リ祭文 | お駒才三鈴ヶ森 | 「不便やお駒は夫マの為かゝる憂目のしばり縄首にかけたる水晶の数珠のかずさえ消えて行く」 | ||
302 | 同じく祭文替え手 | お染久松質店 | 尊いも卑いも姫御前の肌触れるのはただ一人親兄弟も振捨てて殿御につくが世の教へ | |
清八 例328 祭文 | お染久松質店 | 「高いも低きいも姫御前の肌ふれるのは只一人親兄弟もふり捨てゝ」 | ||
303 | 冷泉 | 玉藻前三段目 | 立つる樒の一ト本も | |
清八 例330 冷泉 | 玉藻前三段目 | 「四隅には立る樒の一ト本も」 | ||
304 | 同じくカカリ | 伊賀越五つ目政右衛門屋敷 | 後から着せる羽織をひつしよなく | |
清八 例331 冷泉カヽリ | 伊賀越五ツ目 | 「後から着せる羽織もひつしよなく」 | ||
305 | 同じく替え手 | 伊勢音頭油屋 | なく/\硯引き寄せて書き置く筆も命毛も | |
清八 例332 冷泉カヽリ | 伊勢音頭油屋 | 「泣く/\硯引よせて書置く筆の命毛も」 | ||
306 | 江戸冷泉 | 加賀見山長局 | 思ひ詰めたる浮き涙 | |
清八 例333 江戸冷泉 | 加賀見山長局 | 「小文庫に思い詰たるうき涙」 | ||
307 | 半冷泉 | 彦山九つ目 | 折節竹の音も冴えて | |
清八 例334 半冷泉 | 彦山権現九ツ目 | 「折ふし竹の音もさえて」 | ||
308 | ニシキ | 御所桜三段目 | 紅に大振袖の伊達模様 | |
清八 例335 ニシキ | 御所桜三段目 | 「大振袖の伊達模様」 | ||
309 | 同じく替え手 | 天網島紙治内 | 紐つく帛紗押開き差出す一包み | |
清八 例092 ニシキ | 天網島紙治 | 「押開き差出す一包」 | ||
清八 例336 ニシキ | 天網島紙治 | 「紐つく帛紗押開き差出す一包み」 | ||
310 | 同じく替え手 | 阿波鳴門巡礼歌 | 豆板のまめなを喜ぶ餞別と紙に包んで持つて出で | |
清八 例337 ニシキ | 阿波鳴戸八ツ目 | 「豆板の豆なを悦ぶ餞別と紙に包んで持って出で」 | ||
311 | 説経 | 玉藻前三段目 | 斯くとは誰も白小袖死出の晴着と姉妹が | |
清八 例340 説経 | 玉藻前三段目 | 「斯くとは誰も白小袖死出の晴着と姉妹が」 | ||
312 | 同じく替え手 | 先代萩御殿 | なんの便りがあろぞいな | |
清八 例343 説経 | 先代萩御殿 | 「千年万年待ったとて何んの便りが有ろぞいなァ」 | ||
313 | 説経ガカリ | 三十三所壺坂寺 | この世も見えぬ盲目の闇より闇の死出の旅 | |
清八 例345 説経カヽリ | 三十三所壺阪 | 「此世も見えぬ盲目の闇より闇の死出の旅」 | ||
314 | 地蔵経 | 彦山九つ目 | さそはれ帰る稚子の目元しほ/\亡き母と知らでこがるゝ子心に聞き覚へてや拾ひ取り小石積んではかゝ様と慕ふ涙の雨やさめ草葉に落ちておのづから手向の水の | |
清八 例346 地蔵経 | 義仲勲功記上 | 「地蔵様は六道の能化あなたをお頼申して極楽の道迷はぬ様にいてたもや/\只願はくば地蔵尊迷いを導き給うべし」 | ||
315 | 同じくカカリ | 玉藻前三段目 | さいの河原をこの世から積む石数も姉妹の年も重目に持つ涙 | |
清八 例347 地蔵カヽリ | 玉藻前三段目 | 「とく/\と賽の河原を此世から積む石数も姉妹の年も重目に持つ涙」 | ||
316 | 詠歌 | 三十三所花の山壺坂寺 | 岩を建て、水をたたへて壺坂の | |
317 | 同じく詠歌 | 岸姫松三段目飯原兵衛館 | 八千年や柳に長き命寺 この詠歌は普通の詠歌とちがいまして舟歌を加味してございますんでとてもやりにくいんでございます | |
清八 例374 巡礼歌 | 岸姫松三段目 | 「八千年や柳に長き命寺」 註 岸姫松の詠歌は特長のあるもの | ||
318 | 同じく第二の詠歌 | 岸姫松三段目 | 遠き国より運ぶ歩みを | |
319 | 舟歌 | 八島日記日向島 | 四海波風静かにて枝も鳴らさぬノンエイ玉の小柳もまれてよれてたどろもんどろ靡き治る八島のエイヨホンホヨホンホホンホン外まで君が代の | |
清八 例375 舟歌 | 娘景清日向島 | 「棹の歌々四海浪静かにて枝もならさぬ…………以下」 | ||
320 | 馬子唄 | 恋女房十段目三吉子別れ | 泣き声に坂は照る照る鈴鹿は曇る土山間の間の土山雨が降る | |
清八 例377 馬子唄 | 恋女房十段目 | 「泣声に坂はてる/\鈴鹿はくもる相の土山雨が降る」 | ||
321 | 同じく馬子唄 | 伊賀越八つ目中相合傘 | いやかいの/\いやな風にもよなびかんせまえ | |
清八 例378 馬子唄 | 伊賀越相合傘 | 「いやかいの/\いやなァ風にもョなびかんせェ」 | ||
322 | 童歌 | 先代萩御殿 | しゃくりながらのしめり声こちの裏のちさの木に/\雀三匹止まって/\一羽の雀がいうことにゃ/\アアこれ夕べよんだはなよめ御/\ | |
清八 例×383 童べ唄 | 先代萩御殿 | 「こちの裏のちさの木に/\雀が三疋とまって/\一羽の雀の言う事にや/\わしが息子の千松が/\」 | ||
323 | 同じく[童歌] | 先代萩御殿場 | 紛らす声も震はれてわしが息子の千松が/\アヽコレ七つ八つから金山へ/\一年待てどもまだ見へぬ/\ | |
324 | 俗謡 | 桂川連理柵帯屋 | 七くどいわいナア/\コレその長さんまいるはナア内の子飼いのこの長吉よ | |
清八 例×384 俗歌 | 桂川帯屋 | 「七くどいわいナア/\コレ其長さん参るはなァ内の子飼の此長吉よ長さま参るお半よりテツヽツツンテレンチチンチンチイチイトチヽヽヽヽ」 | ||
325 | 同じく[俗謡] | 帯屋 | うれしいごげんの願いまいらせそろう長さま参るお半より | |
326 | 節季候 | 恋飛脚新口村 | 節季候だい/\代々は節季候お目出度いは節季候 | |
清八 例×386 節季候 | 恋飛脚新口村 | 「節季候だい/\代々は節季候お目出度いは節季候」 | ||
327 | 題目 | 忠臣蔵二つ玉 | 南無妙法蓮華經南無妙法蓮華経あれわいさこれわいさよやまかせ | |
清八 例×388 ひょうし題目 | 忠臣蔵二段目[二つ玉] | 「南無妙チヨイナ法蓮華経南無妙法蓮華経」 | ||
328 | 祈り | 花上野志渡寺 | 南無金比羅大権現/\/\/\ | |
清八 例×389 祈り | 花上野志度寺 | 「南無金比羅大権現/\」 | ||
329 | 同じく祈り | 加賀見山長局 | さうぢゃ/\とちり手水一心無我の手を合せ南無観音様/\南無鬼子母神様/\ | |
清八 例×390 祈り | 加賀見山長局 | 「南無観音様/\南無鬼子母神さま/\」 | ||
○ 念仏 | ||||
330 | 責念仏 | 摂州合邦辻合邦庵室 | つゆと消え行くすすめの念仏南無阿弥陀仏/\/\/\/\/\/\ | |
清八 例×395 責念仏 | 摂州合邦辻下之巻 | 「南無まいだ/\/\/\」 | ||
331 | 歌念仏 | 忠臣蔵九段目 | 泣く娘共に死骸に向ひ地の回向念仏は恋無常出で行く足も立ち留り六字の御名を笛の音に南無阿弥陀仏/\これや尺八煩悩の枕並ぶる追善供養閨の契りは一夜ぎり 但し枕並ぶるよりは枕念仏となります。 | |
清八 例×396 歌念仏 | 忠臣蔵九段目 | 「回向念仏は恋無常出行足も立どまり六字の御名を笛の音に…………以下一卜夜ぎり」(註)枕ならぶるより枕念仏となる | ||
332 | 地念仏 | 菅原三段目佐太村 | 鉦もしどろに南無あみだ/\南無あみだ/\/\南無あみだ/\/\ | |
清八 例×397 地念仏 | 菅原三段目佐太村 | 「なむまいだ/\/\/\/\」 (註)拍子乱れてなまいだ/\/\/\ は責念仏 | ||
333 | 掛念仏 | 桂川連理柵帯屋 | なまいだ、なまいだ、なまいだ | |
清八 例×398 掛念仏 | 桂川帯屋 | 「南無阿弥陀/\/\」 | ||
334 | 空也念仏 | [空也念仏※] | 思えば浮世は程もなし栄華は皆是春の夢冥利の心をとゞめて急いで浄土を願うべし南無阿弥だんぶや/\なもだ/\願ふ浄土は他にあらず聖衆の来迎時を待つ南無阿弥だんぶや/\なもだ/\三界処広けれど到りて留まる処なし譬へば夢にぞ似たりけれ | |
清八 例×399 空也念仏 | 「思えば浮世は程もなし栄華は皆是春の夢冥利の心をとゞめて急いで浄土を願うべし南無阿弥陀ばんぶやなもだ/\」 | |||
335 | 入 | 合邦内 | 駈け出る玉手のう懐しや俊徳様 | |
清八 例×400 入 | 摂州合邦下の巻 | 「かけ出る玉手ノウ懐しや俊徳様」 | ||
336 | 同じく入 | 菅原四段目 | すすみ兼てぞ見へにける小太郎が母涙ながら | |
清八 例×401 入 | 菅原四段目 | 「小太郎が母涙ながら」 | ||
337 | クセ | 千本桜すしや | お暇乞に参りましたヤアととさんにもお前にも随分おまでおまめでと ことばの中に三味線なしで地合がございます これをクセと申します | |
清八 例×402 クセ | 千本桜寿し屋 | 「お暇乞に参りました 親父様にもお前にも随分おまめで/\と」 | ||
338 | カカリ | 廿四孝十種香 | こんな殿御と添臥の身は姫御前の果報ぞと | |
清八 例×404 カヽリ (詞より地合いにカカルとき) | 廿四孝四段目 | 「こんな殿御と添臥の身は姫御前の果報ぞと」 | ||
339 | イロガカリ | 恋飛脚大和往来新口村 | 尽きぬ涙を押しとどめ これはハリマブシよりでた上総の一種でございます | |
清八 例×405 イロカヽリ(ハリマより出たる上総の一種) | 恋飛脚新口村 | 「なをも涙を押ぬぐい」 | ||
340 | 同じくイロガカリ綱太夫 | 鳴戸 | 心を鎮め余所/\しく | |
清八 例×407 イロカヽリ(綱大夫風) | 阿波鳴戸八ツ目 | 「心をしづめ余所/\しく」 | ||
341 | ヒバリ | 苅萱高野山 | 暮れゆく秋の眺めには | |
342 | 鉢タタキ | 敵討襤褸錦雨[百]夜の数え唄 | 暫しやすろう軒の戸をたたく水鶏のそれにはあらで叩く瓢べの音も冴えて二人連なる鉢たゝき仏も元は思わくの功徳のきづな結んでは抱いて涅槃の長枕かわすさんしたと聞くものをどうしたことの因果やらなもうだ/\ このフシもとても珍しいフシでございます。 | |
清八 例348 鉢タヽキ | 襤褸錦夜の計歌 | 「叩く瓢べの音も冴えて二人連なる鉢たゝき仏も元は思わくの恋路のきづな結んでは抱いてねはんの長枕かわさんしたと聞くものをどうしたことの因果やらなもうだ/\」 | ||
343 | 岡崎 | 伊賀越八つ目 | 無慚や肌も郡山の国に残せし女房の思いのたねのうまれ子をだいてはるばる海山をたどり/\て岡崎の 夜道をとぼとぼ歩くときとか夫を尋ぬる時に用いるフシでございます。 | |
清八 例351 ウタヽキ | 伊賀越八ツ目 | 「無残や肌も郡山の国に残りし女房の」 | ||
清八 例349 岡崎 | 伊賀越八ツ目 | 「外は音せで降る雪に」 | ||
344 | 同じく岡崎 | 伊賀越沼津 | ヤツト任せの八兵衛とな杖する度に追従口 | |
345 | 海道 | 忠臣講釈喜内住家 | 祝ひし神送り | |
346 | 同じく替え手 | 本朝廿四孝下駄場 | 雪の中なる白髪の雪 | |
347 | 相の山 | 恋女房沓掛村 | つまみ銭煙も立たぬ貧家の軒その日 | |
清八 例352 相の山 | 恋女房沓掛村 | 「いざり仕事のつまみ銭煙りも立ぬ貧家の軒」 | ||
348 | 同じく替え手 | 布引瀧四段目 | 血筋四筋の糸筋に | |
清八 例353 相の山 | 布引滝四段目 | 「恩愛の血筋四筋の糸筋に」 | ||
349 | 同じく替え手 | 廓文章吉田屋 | 胸と心の相の山 | |
清八 例355 相の山 | 廓文章吉田屋 | 「縁と縁胸と心の相の山」 | ||
350 | 同じく替え手 | 太功記妙心寺 | 是非なく次へ入相の | |
清八 例356 相の山カヽリ | 太功記妙心寺 | 「親子三人打連れで是非なく次へ入相の」 | ||
351 | 小室節 | 一の谷組討 | 鞍のしほでやしを/\と弓手に御首携へて | |
清八 例362 小室フシ | 一の谷組打 | 「鞍の塩手やしお/\と弓手に御首携えて」 | ||
352 | 同じく小室節 | 太功記妙心寺 | 栗毛の駒光秀ゆらりと打ち乗って この小室節は馬にのるときにきっと使う手でございます | |
清八 例363 小室フシ | 太功記妙心寺 | 「栗毛の駒光秀ゆらりと打乗って」 | ||
353 | 有田節 | 堀川猿廻し | お猿はめでたやめでたやネ聟入姿ものっしりと/\コレさりとは/\ナウヨウあろかいなさんなまたあろかいな | |
清八 例364 有田フシ | お俊伝兵衛猿廻し | 「お猿は目出度や/\ねェ聟入姿ものつしりと/\コレ去とはノウ有かいなさんない又有かいな」 | ||
354 | オロシ | 一の谷三段目 | こは/\思いがけなき御対面と飛退き敬い奉れば | |
清八 例365 オロシフシ | 一の谷陣屋 | 「思ひがけなき御対面と飛退き敬い奉れば」 | ||
355 | 同じく替え手 | 忠臣蔵四段目 | 並み居る諸士も顔見合はせ呆れ果たるばかりなり | |
清八 例366 オロシフシ | 忠臣蔵四段目 | 「列いる諸士も顔見合せあきれ果たる斗りなり」 | ||
356 | 同じく替え手 | 日吉丸三段目 | 対面せんと明智の一声鶴の間の襖左右に押し開かせ悠々然と | |
清八 例367 オロシフシ | 日吉丸三段目 | 「襖左右へ押開かせ悠々然と」 | ||
357 | 大オロシ | 勧進帳 | 当来にては九品ン蓮台の上に座せん | |
清八 例369 大オロシ | 勧進帳 | 「当来にては九品ン蓮台の上に座せん」 | ||
358 | 音頭 | 佐倉曙下総屋 | せじよや万じよの鳥追が参りて | |
清八 例370 オンド鳥追 | 佐倉曙下総屋 | 「表の方にさゝら四ツ竹鳥追がヤンラ目出度やヤンラ楽しやせじよや万じよの鳥追が参りて」 | ||
359 | 伊勢音頭 | 勢州阿漕浦平治内 | 古郷は都茲は又 | |
清八 例371 伊勢オンド | 阿漕浦平治内 | 「故郷は都茲は又」 | ||
360 | 同じく替え手 | 勢州阿漕浦平治内 | 胴中へ庄屋を案内に打連れて | |
361 | 木遣音頭 | 三十三間堂柳 | 勇ましや和歌の浦には名所が御座る一に権現二に玉津島三に下り松四に塩釜よヨーイ/\ヨーイトナ | |
清八 例372 木ヤリオンド | 三十三間堂柳 | 「勇ましや和歌の浦には名所が御座る一に権現二に玉津島三に下り松四に塩釜よヨーイ/\ヨーイトナ」 | ||
362 | 同じく後の[木遣]音頭 | 三十三間堂柳 | 木遣音頭は父が役、かざす扇もしをれ声むざんなるかな幼き者は母の柳を都へ送る元は熊野の柳の露に育て上げたるそのみどり子がヨイ/\ヨイトナ | |
363 | 馬子唄 | 妹背山四段目竹に雀 | 竹にサ雀はナア品よくとまるナとめてサとまらぬナ色の道かいなア | |
清八 例376 馬子唄 | 妹背山四段目 | 「立上り竹にさァ雀はなァ品よくとまるナとめてさァとまらぬナ色の道かいなョ」 | ||
364 | 子守唄 | 天網島紙屋内 | すかせばすや/\稚子をいぶりながらも口説ごと | |
清八 例×379 子守唄 | 天網島紙治 | 「すかせばすや/\稚子をいぶりながらも口説ごと」 | ||
365 | 同じく子守唄 | 忠臣蔵道行 | やゝ生んでねん/\や/\ねんねが守りはどこへいた | |
清八 例×380 子守唄 | 忠臣蔵道行 | 「二人が仲にやゝ生んでねん/\や/\ねんねが守りはどこへいた」 | ||
366 | 糸繰唄 | 伊賀越岡崎 | 来いと言た迚行かれる道か道は四十五里波の上 この唄はなるべくさみしそうに居眠るように唄うのが規則でございます。 | |
清八 例×382 糸繰唄 | 伊賀越岡崎 | 「来たと言た迚行かれる道か道は四十五里波の上」 | ||
367 | 万才 | 三十三所壺坂寺 | 観音の御利生ありけるや見えぬ眼も見え明らかにありがたかりける新珠の年立返るごとくにて水も漏らさぬ夫婦の命も助かりけるは誠に目出たう候ひけるけふは嬉しや杖を納めて折しも朝の日の目を拝んでお礼申すや神や仏万見せ給ふはこれひとへに観世音 | |
清八 例×392 万才 | 三十三所壺阪 | 「御利生ありけるや……………以下偏に観世音」 | ||
368 | これより河内地を申し上げます。これは西風でございます | 菅原三段目佐太村 | 烏帽子子になし下され、御恩は上なき築地の勤め三人のその中に桜丸が身の幸ひ人間の胤ならぬ竹の園生の御所奉公下々の下々たる牛飼舎人勿体なくも身近く召され菅丞相の姫君とわりなき中の御文使ひ仕終せたが仇となつて讒者の舌に御身の浮名つひには謀叛と言ひ立てられ菅原の御家没落是非もなき次第なれば宮姫君の御安堵を見届け | |
清八 例×411 河内地 | 菅原三佐太村 | 「えぼし子になし下され…………以下御安堵を見届け」 | ||
369 | 同じく河内地 | 傾城反魂香吃又 | もうすも涙がこぼれまする。奥様まではもうせしが | |
清八 例×412 河内地 | 反魂香吃又 | 「奥様迄は申せしが」 | ||
370 | 同じく河内地 | 恋飛脚大和往来新口村 | 世のたとへにも言ふとほり | |
清八 例×414 河内地 | 恋飛脚新口村 | 「世のたとえにも言通り」 | ||
371 | 四段目と申しますとだいたい東風になりまして西風にはございません。そのまた四段目は菅原四段目の中に一箇所だけこの河内地がございます。それを申し上げます | |||
371 | [河内地] | 寺子屋 | 春藤玄蕃、首見る役は松王丸 [解説(翻字略)] | |
372 | 大体三段目は西風と申しまして地味なもんでございますが、中途から四段目にかわります、つまり東風にかわるものがございます。その中の主なる者を申しあげます | |||
372 | 花上野志渡寺 | 入相の花は昔と散り失せて [解説(翻字略)] | ||
373 | 同じく西風から東風にかわりますもの | 近江源氏八つ目盛綱館 | 峯吹き通す木枯らし | |
374 | 次は三段目西風のかちかちのものでございますけど途中から一箇所四段目になります。つまり東風で語らんならんのが | |||
374 | 国性爺三の切獅子が城 | 錦祥女はすがり付き一生に親知らずつひに一度の孝行なく何で恩を送らうぞ死なせて給べ母上と口説き嘆けば | ||
清八 例×418 西風であって途中より東風に変るもの | 国姓爺三の切 | 「錦祥女は縋りつき一生親知らずついに一度の孝行なく何で恩を送ろうぞ」 | ||
375 | 同じく三段目から四段目に変わりますもの | 千本桜すしや | 神ならず仏ならねど これから東風になるみたいです | |
376 | 今ひとつ同じく三段目で四段目に変わります | 安達原三段目祭文 | あいとは云へど袖萩が久しぶりの母の前琴の組とは引きかへて露命をつなぐ古絃に [解説(翻字略)] | |
377 | アテブシ | 御所桜三段目 | こればっかりに引かされて三途の川や死出の旅 | |
清八 例×416 当ブシ | 御所桜三段目 | 「三途の川や死出の旅」 | ||
○ これより各太夫の特別の風がございます。 | ||||
378 | 住太夫風 | 先代萩御殿 | 跡見送りて政岡が 他に加賀見長局・岸姫三段目 | |
379 | 麓太夫風になりますと派手になります | 太功記十段目 | 残る莟の花一つ、水上げかねし風情にて 十八年がその間 [解説(翻字略)] | |
380 | 綱太夫風 | 合邦内 | 寝た間も [解説(翻字略)] | |
381 | ネジガネブシ | 心中天網島河庄 | その涙が蜆川へ [解説(翻字略)] | |
382 | 次は河庄 | 河庄 | 天満にとしふる千早ふる [解説(翻字略)] | |
清八 例×417 ネジカネフシ | 天網島河庄 | 「天満に年ふる千早ふる」 | ||
383 | オクリの部で天王オクリが抜けておりましたんで申し上げます | |||
383 | 天王オクリ | 勧進帳 | 越路の春の急ぐらん御心根ぞ |
233 | スリアゲ | 『増補忠臣蔵』本蔵下屋敷 | 「これが忠義の仕納めかと。思へば足も」 |
234 | スリサゲ | 『絵本太功記』尼ヶ崎 | 「真柴にあらで真実の母の皐月が七転八倒」 |
235 | 投込 | 『伊賀越道中双六』岡崎 | 「拙者が金打と。死骸を庭へ投げ捨てたり」 |
236 | 勇込 | 『箱根霊験躄仇討』箱根滝 | 「瞬く内イザ御出と。勇み立ち」 |
237 | 割込 | 『菅原伝授手習鑑』寺子屋 | 「五色の息を一時にハツト吹きなすばかり也」 |
238 | セリ込 | 『勢州阿漕浦』平次住家 | 「下んせ下んせは。伊勢路にはやる言葉かや」 |
239 | 責込 | 『彦山権現誓助剣』毛谷村 | 「母様用意と勇み立つ」 |
240 | キメ込 | 『源平布引滝』九郎助住家 | 「鞍の前輪に押し付けて。首掻き切つて捨てにけり」 |
241 | 五重下リ | 『伊賀越道中双六』沼津 | 「悲しい金の才覚も。男の病が治したさ」 |
242 | 五重カカリ | 『仮名手本忠臣蔵』山科閑居 | 「母も追付け後から行く。覚悟は良いかと。立派にも涙留めて立ち掛り」 |
243 | 四ツ折 | 『碁太平記白石噺』新吉原揚屋 | 「意見上手な親方が籠る情に宮城野が」 |
244 | 四ツ間 | 『絵本太功記』尼ヶ崎 | 「コレ見給へ光秀殿」 |
○太平三重 例057 | 太功記鉄扇 | 「せん方涙諸共に御門の外へ」 | |
○セリコミフシ 例093 | 天網島紙冶 | 「心地して一間の内へ」 | |
○九ツカゝリ 例126 | 伊賀越岡崎 | 「菰に積りし雪の儘着せて」 | |
○上タヽキ 例214 | 加賀見山長局 | 「中結ひ〆て玉の緒も今を限りの空結に」 | |
○ナゲフシ 例240 | 大江山戻り橋 | 「今日の細布ならずして」 | |
○投込 例244 | 伊賀越岡崎 | 「拙者が金打と死骸を庭へ投捨たり」 | |
○勇込 例246 | いざり滝の段 | 「瞬く中イザ御出と勇み立ち」 | |
○割込 例247 | 菅原四段目 | 「五色の息を一時にホット吹き出す斗りなり」 | |
○セリ込 例248 | 勢州阿漕浦平治内 | 「下んせ/\/\は伊勢路にはやる言葉かや」 | |
○責込 例249 | 彦山権現九ツ目 | 「母様用意と勇み立ち」 | |
○キメ込 例250 | 布引滝三段目 | 「鞍の前輪に押付て首かき切って捨てンけり」 | |
○五重下リ 例251 | 伊賀越沼津 | 「悲しい金の才覚も男の病が治したさ」 | |
○五重カヽリ 例252 | 一の谷陣屋 | 「いかゞ過行き給うらん未来の迷い是一つ」 | |
○四ツオリ 例254 | 白石噺揚屋 | 「意見上手な親方がこもる情に宮城野が」 | |
○舞詞 例316 | 反魂香吃又 | 「去る程に鎌倉殿義経の討手を向うべしと武勇の達者を選ばれし」 | |
○謡 例317 | 娘景清日向島 | 「松門独り閉じて年月を送り自ら清光を見ざれば時の移るをも弁へず暗々たる庵室に徒らに眠り衣寒暖に与えざれば肌はぎようこつと衰えたり春や昔の」 | |
○吉野山 例357 | 八陣六ツ目此村屋敷 | 「早程もなく入り来る上使は片桐市のかみと名乗るは表うら若き姿は花の盛りまつ吉野の山の初桜」 | |
○サイ原 例358 | 梅川忠兵衛新町 | 「けんの手品の手もたゆく」 | |
○シバガキ 例359 | 妹背山二の切万才 | 「五本の柱は五畿内安全八重九重の内までも治りなびく君が代の」 | |
○林清 例360 | 苅萱高野山 | 「いたわしや石動丸かゝる難所もたど/\と心も空に浮草の根ざしの父は顔知らず名のみしるべにたずね行く袖の涙ぞあわれなる」 | |
○オロシフシ 例368 | 菅原四段目 | 「夢か現か夫婦かとあきれて詞もなかりしが」 | |
○読売 例×385 | 妹背門松質店 | 「此間大阪の町々で以下…………大きな声では言はれぬこと/\」 | |
○題号 例×387 | 紙子仕立大文字屋 | 「格子先妙法蓮華経申すも忝や祖師日蓮大菩薩 以下」 | |
○白骨文章 例×391 | 妹背門松質店 | 「夫レ人間の浮世なる相つら/\以下」 |