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陸月の躍動性

橋弁慶:山城・綱・織の=弥七・藤蔵19600102
殿中刃傷:相生=重造19671223NT

聴いていて心が躍るとはまさにこのこと。
魅力的な節付とそれを現出させる力量。
伝承の中の再現芸術という意味を反芻すべきである。
勘定場 2023/06/01(Thu) 08:46 No.67

伍月の伝承性

筆法伝授:相生=重造【菅原1横山19640501NHKR
丞相名残:綱=弥七【菅原3横山綱弥七19640515NHKR

三百年の伝承という重みと断絶の危機。
昭和四十年代を以てという司馬遼太郎の言葉は、
これらの音源を傾聴することによって納得せられよう。

なお、
(付)安井汐待:呂=清治197205NT《音源は非公開》
に関しては、
著作権保護期間内を加味しても、
今月最も魅力的な一段が累卵の危うさにあるが故に敢えて掲げたものである。
心の耳にて再生いただきたい。
仍て参考となるリンク先を提示した。

※劇場に出掛けた結果不幸にも漱石枕流の必要が生じた場合は、
 試聴室を利用またはDVD-BOXを視聴いただきたい。
勘定場 2023/05/01(Mon) 09:04 No.66

肆月の絶対性

芝六忠義:綱=弥七19560818
山の段:山城綱=藤蔵弥七19520214

この世界に絶対などというものはないとも言えるが、
絶対としか言いようのないものはやはり存在する。
前者はその継承によって、
後者はその「風」の体現によってである。
今月、此れ等を以て補完とすることもまた絶対であろう。

 なお、
 花渡し:英=清友【邦楽のひととき19880217NHKR《音源は非公開》
 に関しては、
 著作権保護期間内を加味しても、
 今月最も不安であるが故に敢えて掲げたものである。
 心の耳にて再生いただきたい。
 仍て参考となるリンク先を提示した。
 もちろんこれは相対性の中にある。
勘定場 2023/04/01(Sat) 18:17 No.65

参月の試金石

神崎揚屋:綱=喜左衛門【綱喜左衛門勝平19680709NHKFM
重の井子別れ:つばめ=喜左衛門19630115R


先月に引き続き今月も「風」。
これで大和風とはいかなるものか、
僻耳でなければお気付きいただけることと思う。
それにしても、
安直な愚行の後始末を付けるために、
三月の春に二月の冬を引き摺ることになってしまうとは。
まさしく名のみの風の寒さである。
勘定場 2023/03/01(Wed) 15:36 No.64

弐月の大和風

楼門:綱=弥七
阿古屋琴責:綱=弥七錦糸団六団二郎610114合同公演

いくら令和が勘違いから生まれた元号であるにせよ、
劇場の凋落・崩壊を目の当たりにすることになろうとは。
もちろん建て替え工事のことではない。
前年末から物議を醸している一件である。
「風など関係ないという暴言を吐いた」「さる高名な太夫」の顰みに倣ったわけでもあるまいが、
無知を根拠にした暴挙が行われるなど、
お上の政治や経済に加え文化もついに終焉の時を迎えたと言わざるを得ない。
ならば、
下々が叱声を発して斧正するより他はなく、
ここに大和風の存在を厳に示すものである。

よほど捻じ曲がった聴覚神経でない限りは、
この二段冒頭を聞き比べれば、
大和風というものが直ちに実感されよう。
そしてあらためて、
分割の愚行・蛮行に対し開いた口が塞がらなくなることであろう。
勘定場 2023/02/01(Wed) 09:04 No.63

壱月の千本桜

椎の木_小金吾討死:綱=弥七
鮓屋:若=広若19610624本牧亭

まず、立端場の魅力。
主役権太の五変(若い男、強請、成就後、対女房、対倅)
場面状況毎の詞章と節付の妙
それを十全に表現する床

続いて、三段目切場を丸ごかし語る驚異の迫力。
多彩な人物が千変万化に織り成す一段を見事に語り尽くす。
寄席の浄瑠璃というシチュエーションも堪能できる。
 なお、段切前維盛卿による頼朝云々の件が省略されているのは、
 切場全段を語るときは間々あることで、
 「尼ヶ崎」でも母と十次郎の終焉部が省かれなどする。
勘定場 2023/01/01(Sun) 09:10 No.62

十二月の至福

十種香:土佐=清六[195705道文]19600522mMBS
十種香:松=清六19600323演舞場

何と言っても美声家の語り場である。
そして、
三味線が太夫を導くときの美点。
浄瑠璃義太夫節の音楽性=「音曲の司」の本質が、
如実に現出する。

四代目の清六は山城との比較で貶められがちであるが、
それは、
衰退する山城を率直に捉えていたがゆえに、
正しく認識できない評論家などから批判されたものに他ならない。

二つの「十種香」に耳を傾ければ、
脳内がいかに幸せとなるかを感じ取ることができよう。
もちろん、
十二月東京の陣容に期するものがある故でもある。
勘定場 2022/12/01(Thu) 07:40 No.61

十一月の特別

脇が浜解説:綱・大西
宝引:綱=弥七

「宝引」は綱弥七に極まる。
そして、
綱弥七による「宝引」は数あるが、
この録音は極上にして特別なものである。

自分が好きなものは他人にも知らせたい、
これは人情として当然である。
ところが、
唯一無二でかけがえのないものとなると、
この絵だけは誰にも見せたくない、
この店だけは誰にも教えたくない、
というところに至る。

今回は咲太夫師が勤められる(三味線は燕三)ということでもあり、
特別に皆様のお耳へもお達しすることとした。
一聴にして、
極上かつ特別である理由がおわかりいただけると思う。
勘定場 2022/11/01(Tue) 18:15 No.60

十月の直験

二上り三番叟:相生=重造
万歳・海女・鷺娘:南部織の十九=弥七錦糸団二郎R

正直者の頭に神宿る
彼処には神在すに仍て霊験灼なり。
彼処とは此処に非ず。
故に間直し、真直し。
勘定場 2022/10/01(Sat) 07:47 No.59

九月の記念

浄曲窟埒外 悪疫退治祈念

科有る者を成敗の磔といふはた物の。塩梅見よと振廻し日来には似ぬ強勢も。狐や力添へぬらんはげしかりける働なり。落合は逃仕度段八雲蔵生兵法。肋と眉間に大疵請けのたり廻つて死してげり。

師弟は内証敵同士。このまゝ帰るは卑怯者。返せと一声切りつくる。得たりと請ける半蓋に馬士の胴切重切。

言捨てかけ出す後より。はつしと打つたる手裏剣は。骨を貫く鋼鉄の石鑿うんとばかりに息絶ゆる。

一心こつたる主の仇かよはき力にふりほどき付入/\いどみ合。念力通す恨みの刃。請取給へと名乗懸。柄もおれよと突通され。流石の岩藤七転八倒。


はね込み蹴込み泥まぶれ。はねは我が身にかゝるとも知らず立つたる後より。逸散に来る手負猪。是はならぬと身をよぎる。駈来る猪は一文字。木の根岩角踏立て。蹴立て鼻いからして泥も草木も一まくりに飛行けば。あはやと見送る定九郎が。背骨へかけてどつさりと肋へ抜ける二つ玉。うんともぎやつとも云ふ間もなく。ふすぼり返つて死したるは心地よくこそ見えにけれ。


実盛透さず馬上より用意の鎌縄打かくれば。首にかゝつてきり/\/\。引寄引上ひつ掴み。遖儕は日本一の。大欲無道の曲者めと。鞍の前輸に押付て。首かき切て捨てげり。

気転の駒沢有合ふ温湯刀に注げば。下には血汐と心得て。してやつたりと畳はね上げ。現はれ出づる笆久蔵。駒沢覚悟と斬付くる。刃を恐れぬ煙管のあしらひ。廊下伝ひに来かゝる亭主。スハ何事と窺ふ内。苦もなく刀打落し。取るなり斬るなり途端の拍子。首は遙かに飛散つたり。ヤレ天晴お手の内。

判官輝国大きに感じ。伯母御前に先とられ跡に退つたおのれが成敗。強欲非道の皺頭と水もたまらず打落す。

モウこれまでと八汐が懐剣。心得政岡請流す。互に嗜む太刀さばき手を尽したる。二人の女。我が子の恨み一心に突込む懐剣打落し。直ぐに切込む八汐が肩先。ひるむを取つて突通され。虚空を掴んで悶き死。悪の報ひは忽ちに心地よくこそ見えにけり。
勘定場 2022/09/01(Thu) 07:25 No.58

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