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玖月の安心感

天拝山:十九=錦糸【大西19660324NHKFM
生玉神社前:十九=徳太郎196806

かつて、
このような三役格が何人もいて、
立端場を安心して聞くことができた。
浄瑠璃璃義太夫節に身も心も任せられる、
これが当たり前だった時代の尊さよ。
勘定場 2023/09/01(Fri) 08:45 No.70

捌月の芸人性

文五郎大西重孝19560220
対談・吉田文五郎・高安六郎

芸術家気取りもなく、
偉ぶることもなく、
ただ一芸人としての職人気質。
それはまた市井の人でもあり、
ここにこそ真実の芸がある。
勘定場 2023/08/01(Tue) 18:36 No.69

漆月の七十年

金殿:山城=藤蔵195505
長町裏:住つばめ=勝太郎19560731三越

十年一昔なら七十年は大昔である。
昭和三十年代の文楽界は不幸な分裂、
しかしそれだけで済ませられないのは、
確かな芸が厳かに存在していたからである。
聴いていてもし違和感を抱くのなら、
それこそが芸の隔世であろう。
耳を鍛え浄化しなければなるまい。
勘定場 2023/07/01(Sat) 07:59 No.68

陸月の躍動性

橋弁慶:山城・綱・織の=弥七・藤蔵19600102
殿中刃傷:相生=重造19671223NT

聴いていて心が躍るとはまさにこのこと。
魅力的な節付とそれを現出させる力量。
伝承の中の再現芸術という意味を反芻すべきである。
勘定場 2023/06/01(Thu) 08:46 No.67

伍月の伝承性

筆法伝授:相生=重造【菅原1横山19640501NHKR
丞相名残:綱=弥七【菅原3横山綱弥七19640515NHKR

三百年の伝承という重みと断絶の危機。
昭和四十年代を以てという司馬遼太郎の言葉は、
これらの音源を傾聴することによって納得せられよう。

なお、
(付)安井汐待:呂=清治197205NT《音源は非公開》
に関しては、
著作権保護期間内を加味しても、
今月最も魅力的な一段が累卵の危うさにあるが故に敢えて掲げたものである。
心の耳にて再生いただきたい。
仍て参考となるリンク先を提示した。

※劇場に出掛けた結果不幸にも漱石枕流の必要が生じた場合は、
 試聴室を利用またはDVD-BOXを視聴いただきたい。
勘定場 2023/05/01(Mon) 09:04 No.66

肆月の絶対性

芝六忠義:綱=弥七19560818
山の段:山城綱=藤蔵弥七19520214

この世界に絶対などというものはないとも言えるが、
絶対としか言いようのないものはやはり存在する。
前者はその継承によって、
後者はその「風」の体現によってである。
今月、此れ等を以て補完とすることもまた絶対であろう。

 なお、
 花渡し:英=清友【邦楽のひととき19880217NHKR《音源は非公開》
 に関しては、
 著作権保護期間内を加味しても、
 今月最も不安であるが故に敢えて掲げたものである。
 心の耳にて再生いただきたい。
 仍て参考となるリンク先を提示した。
 もちろんこれは相対性の中にある。
勘定場 2023/04/01(Sat) 18:17 No.65

参月の試金石

神崎揚屋:綱=喜左衛門【綱喜左衛門勝平19680709NHKFM
重の井子別れ:つばめ=喜左衛門19630115R


先月に引き続き今月も「風」。
これで大和風とはいかなるものか、
僻耳でなければお気付きいただけることと思う。
それにしても、
安直な愚行の後始末を付けるために、
三月の春に二月の冬を引き摺ることになってしまうとは。
まさしく名のみの風の寒さである。
勘定場 2023/03/01(Wed) 15:36 No.64

弐月の大和風

楼門:綱=弥七
阿古屋琴責:綱=弥七錦糸団六団二郎610114合同公演

いくら令和が勘違いから生まれた元号であるにせよ、
劇場の凋落・崩壊を目の当たりにすることになろうとは。
もちろん建て替え工事のことではない。
前年末から物議を醸している一件である。
「風など関係ないという暴言を吐いた」「さる高名な太夫」の顰みに倣ったわけでもあるまいが、
無知を根拠にした暴挙が行われるなど、
お上の政治や経済に加え文化もついに終焉の時を迎えたと言わざるを得ない。
ならば、
下々が叱声を発して斧正するより他はなく、
ここに大和風の存在を厳に示すものである。

よほど捻じ曲がった聴覚神経でない限りは、
この二段冒頭を聞き比べれば、
大和風というものが直ちに実感されよう。
そしてあらためて、
分割の愚行・蛮行に対し開いた口が塞がらなくなることであろう。
勘定場 2023/02/01(Wed) 09:04 No.63

壱月の千本桜

椎の木_小金吾討死:綱=弥七
鮓屋:若=広若19610624本牧亭

まず、立端場の魅力。
主役権太の五変(若い男、強請、成就後、対女房、対倅)
場面状況毎の詞章と節付の妙
それを十全に表現する床

続いて、三段目切場を丸ごかし語る驚異の迫力。
多彩な人物が千変万化に織り成す一段を見事に語り尽くす。
寄席の浄瑠璃というシチュエーションも堪能できる。
 なお、段切前維盛卿による頼朝云々の件が省略されているのは、
 切場全段を語るときは間々あることで、
 「尼ヶ崎」でも母と十次郎の終焉部が省かれなどする。
勘定場 2023/01/01(Sun) 09:10 No.62

十二月の至福

十種香:土佐=清六[195705道文]19600522mMBS
十種香:松=清六19600323演舞場

何と言っても美声家の語り場である。
そして、
三味線が太夫を導くときの美点。
浄瑠璃義太夫節の音楽性=「音曲の司」の本質が、
如実に現出する。

四代目の清六は山城との比較で貶められがちであるが、
それは、
衰退する山城を率直に捉えていたがゆえに、
正しく認識できない評論家などから批判されたものに他ならない。

二つの「十種香」に耳を傾ければ、
脳内がいかに幸せとなるかを感じ取ることができよう。
もちろん、
十二月東京の陣容に期するものがある故でもある。
勘定場 2022/12/01(Thu) 07:40 No.61

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