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 【 懐中浄瑠璃 音曲玉揃 [三編] 】

(2008.09.20)
懐中浄瑠璃 音曲玉揃 三編
参照:立命館本 立命館大学 ARC書籍閲覧システム
参照:国会図書館本 明治27年刊 
 
   [表紙]
   三編の書名は「[御]さしき浄るり 音[曲] 三編目」。左に「まんえん二酉のはつ春新刻」とある。
   六編の書名も「御ざしき浄るり音曲玉揃」(立命館本)。
  [外題目録]
  立命館本三編は外題目録のふりかななし。
  [浄瑠璃太夫出語之図]
  立命館本の三編では別図[猪名川内]となっており、本図は立命館本では五編にある。※
  立命館本では太夫の顔、手は着色されていない。三味線の糸も不明瞭
  出語り座の後ろの衝立の絵は鳳凰か。七冊目表紙では獅子に牡丹が描かれている。
  [衝立の絵は、戯場楽屋図絵拾遺には松、牡丹、艶姿歌伎結には鶴の意匠がある]
  [奥付]
  立命館本奥付は「東京大坂画双紙仕入所」「絵双紙仕入処 前田喜兵衛」「浄瑠璃本板元 加島清助」とある。
  演劇書のページでは『D万延2年』とのみ記載されるが、立命館本は彩色の色調からも明治期の後印か。

※立命館本見開き図題はその編に掲載されている浄瑠璃本文によるというわけでもない。
編 見開き図題  本文掲載編
宿屋 初編
金殿 二編
猪名川内 三編
稽古之図 −
出語之図 −
三浦別 初編
新口村 三編
御殿 掲載なし
 
国会図書館本、立命館本の本文は同版である。
(顕著な例としては、半丁の半ばで『竹に雀』が終わり、『城木屋』が始まる(国:五編、立:二編))
しかし、国会図書館本には、立命館本にはない以下の段が含まれる。
小坂部館の口(初編)、上燗屋、惣五郎子別れ(三編)、宿屋(五編)、御殿(六編)
 
なお、浄瑠璃佐和里都々一 [初編]の阿古屋琴責の段は同版。奥付もほぼ同一の内容、同一の意匠だが版は異なる。

 

荻田清 『浄瑠璃の本いろいろ3−さわり本つづき−』(国立劇場第161回公演プログラムp11-12)に初編、二編ついての記述がある。

 

提供者:ね太郎