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【 文楽座フアン 忠告 】

(2023.03.01)
提供者:ね太郎
 浄瑠璃雑誌 385号 21ページ
 
●忠告●
 多年斯道奨励に尽瘁せられつゝある樋口吾笑氏の健在を祝福し同時に 這般御歴々が浄瑠璃雑誌同人会を組織し、 貴社を後援せられる趣洵に慶賀の至りに堪ず、 抑も創刊第一号より引続き愛読する 小生として此機会に際し衷心御喜び申上る 次第である。
 然る処第三百八十三号誌上に 掲載の文楽座芸評を拝見し不快の念を 感ぜざるを得ず即ち紋下津大夫の大文字屋の言葉 が朗読的で人形の区別が出来てない、 歌舞伎の故仁左衛門との比較等脱線の嫌あり 役者の台詞と対照して非難を受けては 紋下も迷惑千万実に気の毒に思ふ。殊に 今回は調子も平素より一調子高く語音も明瞭に遉がと 敬服した。
 次に古靱大夫の堀川は某氏所感の如く「全体としては感興が極めて 淡かつたといふ一事を指摘して置く」 至極同感である。 其他の批評に関しては之を割愛す。
 されど或方面では批評が偏頗過る 浄曲破壊者と謗る者 特に多数の素義連が憤慨してゐる由洩れ聴いて黙許するに忍びず、社長吾笑氏の考慮を煩したい。 素より発行紙数の減少は免れぬと思ふ。 無論覚悟の上であろふが要するに後援会同人のある 目的の為に経歴のある貴誌を利用され 犠牲者にならぬ様折角御自重な望み 併せて御発展を祈る。
昭和十四年十二月   文楽座フアン
浄瑠璃雑誌社
  社長 樋口吾笑殿