年(年齢) | 劇界・一般社会 | ○吉田栄三に関する件 ○人形浄瑠璃界に関する件 |
明治五年(一歳) | ○八月、東京府庁各興行主へ日日百分一の税銀上納を命令(観覧税の始め)。○十月、東京の守田座猿若町より京橋区新富町に転座。○十一月、暦制、改定。○東京横浜間鉄道成る。 | ○一月、文楽座松島千代崎橋東詰に新築落成、「太功記」にて柿葺落し興行。一座の太夫は春、越、古靱、越路、染。三味線は団平、吉兵衛、浜右衛門、勝七、新左衛門、猿糸。人形は玉造、辰造、喜十郎、玉治、辰五郎。この時湊太夫に代り、春太夫紋下となる、同時に玉造も紋下に入る。○当時活歴風流行にて、武智を明智、久吉を秀吉と語る。△吉田栄三、四月二十九日に生る。【四月二十九日、吉田栄三(本名柳本栄次郎)生る】 |
明治六年(二歳) | ||
明治七年(三歳) | ○大阪神戸間鉄道成る | ○一月、松鳳軒八世豊竹若太夫を襲名。○二月、六代目むら太夫四代目竹本重太夫を、鶴沢寛二郎は五代目鶴沢寛治を襲名。○四月、素人呂篤初代豊竹呂太夫となり出座。 |
明治八年(四歳) | ○一月、竹本春太夫、豊沢団平文楽座脱退。○同月、亀久太夫二世竹本南部太夫を襲名。小辰吉田寛四を相続。○二月、新三郎二世吉田松江を襲名。○九月、文楽座へ豊竹巴太夫(後の柳適太夫)・五世鶴沢友治郎初出座。 | |
明治九年(五歳) | ○十月、神風連の乱、萩の乱起る | ○一月、源吉初代吉田玉七と改名。○三月、桐竹門十郎文楽座へ出座。○同月、春栄太夫七世竹本むら太夫を相続。○九月、右門十郎桐竹亀松と改名。○同月、織太夫六世竹本綱太夫相続。○同月、七世竹沢弥七歿。 |
明治十年(六歳) | ○十月十三日、五世阪東彦三郎歿。○西南役。○京都大阪間鉄道成る。 | ○六月二十五日、五世豊竹湊太夫歿。○七月二十五日、五世竹本春太夫歿。○九月、春太夫の後を承け、三世竹本実太夫文楽座の紋下となる。 |
明治十一年(七歳) | ○五月十二日、市川門之助歿。○六月、新築の新富座開場。○七月七日、三世沢村田之助歿。 | ○二月二十四日、初代豊竹古靱太夫御霊土田席にて惨殺さる。○五月、玉枝吉田勇造と改名。【同月二十三日、初代鶴沢清六歿。】○九月、登勢太夫竹本谷太夫と改名。 |
明治十二年(八歳) | ○三月、六世梶太夫八世竹本染太夫を襲名。○四月十五日、三世豊沢浜右衛門歿。○八月二十四日、初代鶴沢勝七歿。○十月、光栄吉田栄蔵と改名。 | |
明治十三年(九歳) | ○八月、久松座開場。 | ○三月、徳太郎二世鶴沢清六を襲名。【七月、吉田金四歿。○九月二十一日、三世竹本越太夫歿。】○九月二十一日、三世竹本越太歿。○七月、吉田金四歿。○十月、二世鶴沢吉左衛門歿。【○】この年中吉田喜十郎歿。 |
明治十四年(十歳) | ○二月三日、中村翫雀歿。○十月、国会開設の詔下る。 | ○八月、文楽座京都南側大芝居出演中、頭取の消費事件起る。○十月二十二日、竹本山城椽【掾】歿。○十二月三十日、四世野沢吉兵衛歿。 |
明治十五年(十一歳) | ○二月十九日、八世岩井半四郎歿。 | |
明治十六年(十二歳) | ○一月、文楽座紋下実太夫四世竹本長登太夫を襲名。○同月、栄太夫二世竹本春栄太夫を襲名。○四月、右長登太夫紋下を退き、二世竹本越路太夫之に代る。同時に豊沢団平も紋下に入る。○同月、清次郎鶴沢又造と改名。○六月、日本橋北詰沢の席開場。△同月、右席に於て吉田栄三吉田光栄(二世)にて初舞台。○同月十一日、七世竹本染太夫東京に歿。○同月二十八日、二世豊竹靱太夫歿。○八月十六日、鶴沢清四熊本に歿。○九月二十四日、六世竹本綱太夫歿。△十月末、無鑑札の為、警察へ引張らる、無事帰還。【無鑑札の為、警察へ引致されしも、無事釈放】○十一月、この月限りにて沢の席人形芝居興行中止。 | |
明治十七年(十三歳) | ○坪内逍遙訳『シイザル締結』 公刊 | ○一月、いなり彦六席開場、△同月より同席に出勤、○豊竹巴太夫初代豊竹柳適太夫と改名して彦六席に出座。○吉田辰五郎、吉田駒十郎彦六席を退く。○二月、いなり彦六座座名を掲ぐ、四代目竹本重太夫、五代目豊沢広助出座、両人紋下に入る。○同時吉田才治、吉田小辰造入座。○三月、四代目竹本住太夫彦六座へ出座、重太夫と隔月交替の紋下となる。○同月、吉田才冶紋下に入る。○四月三日、初代竹本長尾太夫歿。○同月、友之助五世鶴沢豊吉を相続。○六月、重太夫引退。○六月十八日、八代目竹本染太夫歿。○九月、彦六座改築落成、豊沢団平出座、紋下に入る。吉田小辰造は四代目吉田三吾、吉田小兵吉は五代目吉田兵吉を襲名、竹本春子太夫三代目竹本大隅太夫を相続。○同月、五世豊竹駒太夫彦六座へ出座。○同月、文楽座御霊神社境内に新築落成。○同月、五世吉弥五世野沢吉兵衛相続、二世勝市六世野沢喜八郎を、勝助三世勝市を夫々相続。○同月十七日、七世竹本むら太夫歿。○十一月、この月より団平大隅太夫を弾く。△同月、「逆櫓」の駒若君 |
明治十八年(十四歳) | ○十一月、中座竣工。○十二月内閣官制成立。○坪内逍遙作『書生気質』公刊。 | △彦六座に出勤。○一月、豊竹駒太夫彦六座を退く。○二月、雛太夫四世竹本越太夫を相続。○六月二十一日、六世野沢喜八郎歿。○七月、彦六座昼夜二部興行、○九月、文楽座一座上京、猿若町に新築の操座に出勤。○十一月、又造三世野沢勝鳳を相続、同月、鹿造吉田燕造と改名、直ぐ元の名に復す。○十二月、四世清七二世鶴沢勝次郎を相続。○同月二十八日、二世豊沢大助歿。 |
明治十九年(十五歳) | ○二月一日、四世助高屋高助歿。○夏、大阪市中にコレラ流行。○十二月二十四日、三世中村仲蔵歿。 | △彦六座に出勤。○一月六日、初代豊沢新左衛門歿。○二月、この月より文楽座、場内改築の為、再び松島の小屋へ移る。○同月、三世綱造、四世鶴沢勝右衛門を相続。鹿造は吉田玉之助、辰枝は玉朝、鶴松は玉十郎と改名。△四月、「佐倉曙」の四男三之介。○五月、「弥陀本願三信記」彦六座に書卸し。○七月三日、初代吉田玉助歿。○八月五日、重太夫事六世竹本政太夫歿。○十月四日、初代鶴沢清八東京に歿。 |
明治二十年(十六歳) | ○四月、東京井上外相邸に天覧劇挙行さる。○河原崎国太郎歿。 | △彦六座に出勤。○一月、吉田辰五郎彦六座へ帰参。△同月、同座「先代萩」ノ【の】鶴千代君、○同月、文楽座御霊社内小屋に帰る。○二月、改訂「観音霊場記」彦六座に上場。△役光丸。○四月、春栄太夫八世竹本むら太夫を相続。△五月「菅原」の小太郎、○六月素人当昇豊竹此太夫となり彦六座に初出座。△同月、同座、「太功記」ノ【の】重若丸、○九月、「観音霊場記」続篇上場、大隅太夫役場「品川楼」人形散切頭の始め也。△十月、同座、「加賀見山」の又吉。 |
明治二十一年(十七歳) | ○十一月、角藤定憲大阪新町座に壮士芝居をはじめて興行。 | ○【△】二月、彦六座、「忠臣講釈」の太市、平吉。○同月八日午後八時頃彦六座炎上。△大和地方へ初巡業。○五月二十九日、二世鶴沢勝次郎歿。○六月、彦六座新築落成、「忠臣蔵」にて開場、○九月、吉田鹿造彦六座に出座。△同月、同座、「伊賀越」のおのち。○十月、彦六座に「逆巻浪夢之夜嵐」書卸し、人形に始めて洋服を着せる。○十一月、吉田才治この月限りにて退座。△同月、同座、「芦屋道満」の安倍童子。 |
明治二十二年(十八歳) | ○二月、憲法発布。○十一月八日、中村宗十郎歿。○十一月二十一日、東京歌舞伎座開場。 | ○一月二十二日、彦六座紋下四世竹本住太夫歿。△同月、彦六座、「妹脊山」の三作と小菊。○二月より彦六座太夫紋下欄に、座主寺井安四郎太夫本【元】として入る。△同月、同座、「菅原」の小太郎、勝野、童子。△二月二十日、初午芝居あり。△三月、同座、「太功記」の重若丸、[+森]防丸。「恋女房」の三吉。△四月、同座、「信長記」の輝若丸、蘭丸、△五月同座、「先代萩」の持命院、千松。(この月昼夜二部)。△六月、同座、「真田三代記」の住の江。「夏祭」の市松、こつぱの権。○八月、この月より竹本津太夫御霊文楽座の庵に入る。△九月、同座、「大塔宮」の若君。△十月、同座「加賀見山」の花若丸、又吉。△十一月、同座「妙法真伝記」の教市。△十二月、同座、「安達」の環の宮。 |
明治二十三年(十九歳) | ○七月、国会開設。○十一月、東京歌舞伎座に「戻橋」書卸し | △この年徴兵検査を受く。△一月、彦六座、「狭間合戦」の猿之介と【、】小冬。「明烏」のみどり。○同月、玉七二世吉田玉助を相続。○二月、この月より彦六座紋下、大隅太夫と組太夫隔月交替となる。△同月、同座、「伊賀越」のおのち、「湊町」の徳次郎。△三月、同座、「忠臣蔵」の力弥。△四月、同座、「玉藻前」の周の雷震。△五月、同座、「三十三所」のお春。△六月、同座、「大江山」の碓井貞光、「千本桜」の亀井六郎。△六月、同座、「彦山」の門脇儀平、「白石噺」のしげり。○同月興行は三代目吉田辰五郎最後の舞台、夏中病歿。○吉田兵吉退座。○九月、同座、この月より人形紋下欄へ座主寺井安四郎入る。△同月、同座、「布引」の太郎吉、小桜、長田太郎。「志渡寺」の数馬。△同月末、同座、「五天竺」の丑飼人、○十月二十一日、四世竹本長登太夫歿。△十一月【、】同座【、】「大阪落城」の菊麿公。 |
明治二十四年(二十歳) | ○五月五日、二世中村歌六歿。○五月、露国皇太子大津の変。○九月、濃尾大地震。 | △一月、彦六座、「廿四孝」の『二段目』の勝頼と入江。【】△二月より神戸楠公社内菊の亭に出勤。 |
明治二十五年(二十一歳) | ○二月六日、実川八百蔵歿。 | △神戸菊の亭に出勤、京都各席を巡業。○三月、浜之助四世豊沢浜右衛門を襲名。○彦六座は五月迄休座。○十月五日、二世鶴沢叶歿。△十一月、彦六座へ帰参。光栄より栄三と改名。「大江山」の碓井貞光、「出世太平記九ツ目」の市作。△十一月末、同座、「彦山」の絹川弥三郎、山がつ、「布引離宮」の小桜、「酒屋」の半七。 |
明治二十六年(二十二歳) | ○一月二十二日、河竹黙阿弥歿○坪内逍遙の『史劇論』発表さる。 | ○一月、鶴太郎三世鶴沢叶を相続。吉田延治郎桐竹門治を襲名。△同月彦六座、「一の谷」の梶原、「双蝶々」の長吉、「三代記」の富田六郎。○三月より彦六座紋下は太夫三味線二人となる。△同月、同座、「狭間合戦」の大垣三郎、「姫小松洞ヶ嶽」の有王。△四月、同座、「三十三所」の花かんざしや、炭屋久治郎。△五月、同座、「忠臣蔵」の弥五郎と伴内。【】△六月、同座、「太功記」の重次郎、高景、しのぶ。△七月、同座、「盛衰記」の平次、「琴責」の半【榛】沢。△九月、同座、「八陣」の主計之助。○これにて彦六座没落、神戸菊の亭へ行く。 |
明治二十七年(二十三歳) | ○五月、五世嵐璃寛歿。○八月日清役始る。 | ○三月二十六日、稲荷座開場、旧彦六座系の関係者出勤、五世竹本弥太夫、豊松清十郎出座、弥太夫は紋下に入る。△同月より稲荷座へ出勤。「菅原」の梅王、「お染久松飯椀」の久松、「式三番叟」の千歳。△五月、同座、「三信記」のお梅と捨五郎【】、「八百屋新靱」の半兵衛。○六月、吉田駒十郎稲荷座出座。△同月、同座、「忠臣蔵」の小浪と伴内、△七月同座、「白石噺」のおのぶ、「堀川」の伝兵衛。○九月、三十日、七世鶴沢三二歿。○吉田金花稲荷座出座。△同月、同座、「伊賀越」の又五郎、眼八、「四つ谷」の直介【助】権平、△十月、同座、「太功記」の重次郎、慶覚法師。△十一月、同座、「先代萩」の鉄之介、松島、「野崎村」のお染。 |
明治二十八年(二十四歳) | ○一月二十四日、有栖川宮熾仁親王薨去に付、三日間音曲停止。○四月下関条約成立。○同十六日、十世片岡仁左衛門歿。○七月二十日、二世中村雀右衛門歿。○十月、北白川宮能久親王薨去。 | △一月より神戸菊之【の】亭へ出勤。△二月初旬帰阪。稲荷座二月興行の「勧進帳」にて、駒十郎役の弁慶を代役す。(この時「勧進帳」人形浄瑠璃に改作書卸し)。△四月、同座、「帯屋」の長吉、「十種香」の勝頼、△五月、同座「三代記」のおらち、「油屋」の万野、「日向島」の天野四郎。△六月、同座「安達」の八幡太郎、「夏祭」の徳兵衛、「酒屋」の半七。○八月四日、五世鶴沢友治郎歿。△十月、同座、「猿ヶ島敵討」(新作書卸し)の桃太郎、瀧五郎、狸の八蔵。△十一月、同座、「出世太平記」の山態【熊】太郎、市作、「伊賀越北国屋」の孫八、「布引離宮」の又五郎。 |
明治二十九年(二十五歳) | △一月、稲荷座、「狭間合戦」のお杣、犬清、三上百介、「山名屋」の時次郎。○二月、桐竹紋十郎桐竹明星と改名。花助四世鶴沢勇造を相続。小綱四世沢【鶴】沢綱造を相続。△二月、同座、「玉藻前」の雷震、釆女之助、「吉野川」の久我之助、△三月、同座、「五天竺」の車匿童子、猿【猪】八戒、「春日村」の鐃八。○四月、桐竹明星元の名の紋十郎となる。幸三郎四世吉田文三を相続。卯三郎吉田助太郎と改名。△同月、同座、「大江山」の般若丸、季武、庄屋、「吉田屋」の夕霧。△五月、同座、「三信記」の住蓮坊、玉露、お梅、「合邦庵室」の朝【浅】香姫。○六月、桐竹亀松稲荷座へ出座。△同月、同座、「菅原」の梅王、宿禰太郎、勝野。○九月、識太夫六世豊竹岡太夫を相続。○十一月、稲荷座文芸株式会社の経営となる、竹本組太夫久々にて出座。△同月、同座、「忠臣蔵」の小浪、弥五郎、「式三番叟」の千歳。○十二月、大隅太夫組太夫両人櫓下の紛叫【糾】あり、櫓下弥太夫は右肩欄外の庵に入り、右両太夫二人紋下に座る。△同月、同座「盛衰記」の山吹御前、和田義盛、「紙治」の太兵衛。 | |
明治三十年(二十六歳) | ○一月、英照皇太后薨去。○八月、十二世守田勘弥歿。 | ○一月、稲荷座。この月より元の如く弥太夫紋下に座り、大隅・組両太夫は二人庵に入る。△同月、同座、「彦山」の絹川弥三郎、青侍、「冥途の飛脚」の八右衛門、この興行中、駒十郎役京極内匠を三日間代役。△三月、同座、「伊賀越」の笹尾、林左衛門、「お駒才三」の喜蔵。△四月、同座、「妹脊山」の久我之助、家主、豆腐の御用。○五月、越太夫五代目竹本住太夫を相続。△同月、同座、「双蝶々」の与五郎、「加賀見山」の谷沢求女、「大重」の菊野。△六月、同座「先代萩」の熊川源五兵衛、高尾、「大晏寺堤」の宇駄【田】右衛門、「粂仙人」の阿仏坊。△九月、同座、「太功記」の重次郎、高景、「大文字屋」の伝九郎、「八百屋新靱」の半兵衛。△十月、同座、「布引」の清盛、宗盛、藤作、「吃又」の歌【雅楽】之介。△十一月、同座、「新薄雪」の民部之丞、来園俊。 |
明治三十一年(二十七歳) | △一月十五日大阪出発上京、二月末迄、東京神田新声館及其他各席に出勤。○一月二十一日、二世桐竹亀松歿。○三月、さの太夫六世竹本文字太夫襲名。△同月末、稲荷座に帰参。○【△】三月、同座、「忠臣蔵」の喜多八。△四月、同座、「恋女房」の八平次、「帯屋」の長右衛門、「志渡寺」の「菅の谷」。この興行中駒造役の八造代役す。○同月一日、豊沢団平役場の「志渡寺」を弾き乍ら脳溢血にて倒れ、間もなく絶命。○豊沢松三郎二代目豊沢新左衛門襲名。○団平死去に付き、三味線紋下は豊沢広作となる。△五月、同座、「八陣」の主計之助と隼人之助、「佐倉曙」の弥吉。○同月、大造四世谷【豊】沢猿糸を相続。△六月、同座、「箱根霊験」の勝五郎、「鎌腹」のおかや、「油屋」のお鹿。○この興行にて稲荷座瓦解。 △九月より御霊文楽座へ出座、「双蝶々」の平岡丹平、「三代記入墨」の新左衛門、この初日、金之助役。「双蝶々相撲場」の長吉代役。△十月、同座、「安達」の文治友三【安方】、「弁慶上使」の信夫。△十一月、同座、「箱根霊験」の非人あんこ、「本蔵下屋敷」の三千歳姫。○同月、旧稲荷座系の芸人にて、堀江廓内の明楽座に旗揚げ、人形浄瑠璃を興行。 | |
明治三十二年(二十八歳) | ○一月十六日、四世中村芝翫歿。○徳冨芦花の「不如帰」発表さる。 | △一月、御霊文楽座、「廿四孝」の『二段目』の勝頼と入江。△二月同座、「日吉丸」の花形姫と岬姫、「阿波十」のおつる。○三月、鶴尾太夫三代目竹本南部太夫を襲名。△同月、同座、「恋女房」のいろは、脇僧、由留木左馬之助、○六月、吉田玉米明楽座にて歿。△同月、同座。「彦山」のお菊、辻新左衛門、堀口曾平太、△十月、同座、「白石噺」の山名群【郡】領、庄屋七郎兵衛、「春日村」の井筒姫、「皿屋餔」の三平、△十一月、同座、「忠臣講釈」の縫之助、定九郎、「炬燵」の三五郎、「阿漕」の平次の母。 |
明治三十三年(二十九歳) | ○八月十三日、三遊亭円朝歿。○雑誌「歌舞伎」創刊。 | △明楽座より借金の為出座を促される、一月は、文楽、明楽の両座に役割発表され、掛持ちにて勤む。文楽座は、「八陣」の春姫と柵、「酒屋」の半七。明楽座は、「信長記」の信長、十河軍平、「質店」の久松。△二月、明楽座、「忠臣蔵」の小浪とお園。△三月より明楽座へ出勤。○三月、徳太郎八世鶴沢三二を相続。同月【、】同座、「大江山」の金時、はしとめ、「合邦庵室」の浅香姫、この時、「大江山」の『綱屋敷』の前に、人形浄瑠璃に改作の『戻【り】橋』書卸し。△五月、同座、「佐倉曙」の喜右衛門、「先代萩」の鉄之介。△七月、同座、「廿四孝」の慈悲蔵、勝頼。○八月二十日、二世竹本織太夫歿。○十月、東京より西川伊三郎、吉田冠二下【、】阪明楽座に出座。△同月、同座、「伊賀越」の大内記、城五郎、「一の谷」の敦盛。△十月四日、二代目鶴沢勝七歿。△十一月、同座、「狭間合戦」の与六、樽井藤太、「志渡寺」の内記、「琴責」の榛沢。○西川伊三郎この興行限り退座帰京。 |
明治三十四年(三十歳) | ○二月二十一日、中村富十郎歿。○九月二十九日阪東秀調歿。○福沢諭吉歿。 | ○一月、吉田兵吉明楽座へ出座。△同月、同座、「菅原」の梅王、宅内、「腰越状」の泉三郎、この興行中一日、門造役の源蔵を代役す。△三月、同座、「千本桜」の知盛、○五月、吉子野沢八助を襲名。△同月、同座、「五天竺」の陣光随、猪八戒、仮開山、「太十」の重次郎、「帯屋」のおはん。○九月二日、初代竹本綾瀬太夫歿。△同月、同座、「加賀見山」の庄屋太郎作、弾正、「葛の葉別れ」の保名。この興行中、玉松役のお初三日間代役。○十月十三日、初代吉田玉治歿。△十一月、同座、「彦山」の内匠、「合邦庵室」の玉手御前、「お駒才三」のお駒。○十二月二十一日、二世鶴沢清六歿。 |
明治三十五年(三十一歳) | ○一月、日英同盟成立、○四月四日、中村琥珀郎歿。 | △一月、明楽座、「忠臣蔵」の平右衛門と小浪。△二月、同座、「玉藻前」の斑足王、桂姫、安部秦【泰】成、「春日村」の鐃八、「吃又」の雅楽之介、「大津絵」の鯰。△三月、同座、「妹脊山」の求女、雛鳥、入鹿。○この時、新作「雪中行軍」を上場。△役、後藤伍長。△四月、同座、「姫小松」の宗盛、亀王丸、千鳥、「佐倉曙」の伊豆守、喜右衛門、堀田政行。○五月末、同座、「三信記」の小島判官、おきよ【、】源次郎。△九月より御霊文楽座へ復帰、番附面の位置は雨晒し。「布引」の園生の方、小まん、「蝶花形八ツ目」の真弓。△十一月二十四日、父柳本栄助歿。(五十一歳)。△同月、同座、「双蝶々」の都、おはや、おてる、「三代記」の讃岐の局、「紙治」の善六。 |
明治三十六年(三十二歳) | ○二月、小松宮彰仁親王薨去。○一月二十八日、初代花柳寿輔歿。○二月十八日、五世屋[尾]上菊五郎歿。○八月二十一日、中村霞仙歿。[+○]九月十三日、九世市川団十郎歿 | ○一月、文楽座紋下越路太夫【-は】六世竹本春太夫を、同門下文字太夫三世竹本越路太夫を夫々襲名。△同月、文楽座、「八犬伝」の又太郎、亀笹、敷妙、「新口村」の伝がばゞ。○同月、堀江明楽座没落。四世勝右衛門六世鶴沢清七を相続。△三月、骨膜炎を煩ふ。△同月、同座、「廿四孝」の常盤井御前、唐織、手弱女御前。○五月紋下春太夫、摂津大掾を受領。○三世竹本大隅太夫出座。△同月、同座「妹脊山」の蓍の方、求女、入鹿。○八月二十四日、四世竹本播磨太夫歿。△九月、同座、「恋女房」の鷺坂左内、岬御前、脇僧、「帯屋」のおとせ。△十一月、同座、「太功記」の春永、初菊、勝家、「吃又」のおとく、「同大津絵」の寿老人。 |
明治三十七年(三十三歳) | ○二月、日露役始る。○三月十六日、四世清元延寿太夫歿。○三月二十七日、市川権十郎歿。○四月三十日、浪花座焼失。○八月市川左団次歿。 | △一月、御霊文楽座、「薄雪」の籬、国俊、大膳、「布引」の松並検校。○二月十八日、五世豊沢広助歿、その為、文楽座紋下は摂津大掾、玉造の二名となる。△二月、同座、「八陣」の主計之介、真田幸村、柵、「安達ヶ原」の浜夕。△三月、同座、「伊賀越」のお谷、靭負、笹尾、「同新関の引抜」の春太郎、日本少佐。「鈴鹿合戦」の平次母。△四月、同座、「彦山」のおかつ、春風藤造、斧右衛門、鼬川、「妹脊門松生玉の引抜」の支那人。△六月、同座、「一の谷」の菊の前、経盛、藤の方、「酒屋」の三勝、「日吉丸三」堀尾茂助。△九月、同座、「朝顔日記」の千里、関介、「鰻谷」のお妻。△十一月、同座、「鬼一」の岡右衛門、お京、「合邦庵室」の浅香姫。△十一月末、同座、「加賀見山」のおつゆ、庄屋治郎作、仁木左京之進、「天網島」の小春。 |
明治三十八年(三十四歳) | ○一月二十三日、実川延三郎歿。○同月二十四日、嵐みんし歿。○九月、日露閉戦。 | ○一月十三日、文楽座人形紋下吉田玉造歿、紋下は摂津大掾一人となる。三世広作六世豊沢広助を襲名。△同月、御霊文楽座、「菅原」の輝国、玄番、希世、八重。△三月、同座、「千本桜」の維盛、相模五郎、相板坊。△四月、同座、「狭間合戦」の与六、足柄金造、三輪五郎、犬清、「中将姫」の桐ヶ谷。△六月、同座、「三代記」の大庭、おくる、「お染久松」の久松。○七月二十五日、六世竹本組太夫歿。○八月十七日、六世豊竹時太夫歿。○九月、旧明楽座の顔触れにて、堀江市之側に堀江座開場。△同月、同座、「双蝶々」の長吉、平岡舟【丹】平、「橋供養」の尉俊、混伽羅童子。△十一月、同座、「箱根霊験」の勝五郎、三千介、教清、「岸姫松」の朝日【比】奈、「山名屋」のお辰。 |
明治三十九年(三十五歳) | ○一月四日、福地桜痴歿。二月二十四日、市川荒五郎歿。○三月十一日、岩井松之助歿。○五月六日、常盤津林中歿。○五月七日、市川寿美蔵歿。○六月、八月岸沢式佐歿。○九月十四日、岡安喜三郎歿。○十二月十一日片岡市蔵歿。 | △一月、御霊文楽座、「先代萩」の原田、神彦【主】豆彦、義綱公、「鎌腹」の和介。○二月、兵三郎三世吉田小兵吉を相続。【+○】三月、同座、吉田玉助二代目吉田玉造を相続。△同月、同座、「廿四孝」の慈悲蔵、勝頼、「帯屋」の儀兵衛。○四月、源子太夫七代目竹本源太夫を襲名、△同月、同座、「大江山」の怪童丸、金時、盤若丸、おふく、「新口村」の梅川。○六月、この月限り三世竹本大隅太夫退座。△同月、同座、「伊賀越」の城五郎、林左衛門、武介、夜廻り、お米、「宮守酒」の女之介。△九月、同座、「白石噺」の谷五郎、どじやう、「堀川」の官左衛門。○十月三十日、五世竹本弥太夫歿。△十一月、同座、「布引」の長田太郎、飛騨左衛門、越中次郎、矢橋仁惣太、「大文字屋」の栄三郎、「二代鑑」の行司庄九郎。 |
明治四十年(三十六歳) | ○一月二十日、角藤定憲歿。○十月十五日、実川正朝歿。 | △一月、御霊文楽座、「日吉丸」の源次郎、堀尾茂助、鬼取軍太、この興行中紋十郎役「和田合戦三段目」板額【-役】【を】九日間代役す。○三月二十三日、二代目吉田玉造歿。○同月三十日,初代豊竹呂太夫歿。○同月、蓑助三世桐竹亀松を相続。△同月、同座、「忠臣蔵」若狭之助、おかる、天川屋儀平。△五月、同座、「三代記」の牧の戸、結城隼人、 時姫、「琴責」の榛沢。△八月、京都南座に出勤。○九月、桐竹紋十郎座頭となり、助太郎、栄三、玉次郎三人中軸となる、○同月、相生太夫二世竹本綾瀬太夫を相続。吉弥六世野沢吉兵衛を襲名。仙左衛門三世豊沢団平を相続。△同月、御霊文楽座、「彦山」の春風藤造、鼬川、「長局」の尾上、「鰻谷」の八郎兵衛。○十一月、祖太夫二世豊竹呂太夫を襲名。△同月、同座、「八陣」のお時、主計之介、「質店」のお勝、「出立」の赤垣源蔵。 |
明治四十一年(三十七歳) | ○十月、戊申詔書下る。 | △一月、御霊文楽座、「信長記」の久吉、三好有保、つぶての三。○二月、市治郎四世野沢吉三郎相続。△三月、同座、「妹脊山」の求女、雛鳥、蓍の方。△四月、同座、「太功記」の重次郎、中川清秀、「湊町」のお梅、「同道行」の下女。△六月、同座、「盛衰記」のお筆、和田義盛、「天王寺村」の眼兵衛。△九月、同座、「朝顔日記」の浅香、桂庵、「芦屋道満」の野干平。【○同月、】生島太夫三世竹本島太夫を相続。○十一月、同座、「庵紋下」竹本津太夫之にて休座。△同月、同座、「日蓮記」の吉祥丸、日朗、お梅、勘作の母、頼才坊。○同月、亀松元の吉田蓑助に復す。 |
明治四十二年(三十八歳) | ○十月伊藤博文暗殺さる。○自由劇場、文芸協会等の新劇運動盛んとなる。 | △一月、御霊文楽座、「【新】薄雪」の国俊、幸崎奥方、「天網島」の治兵衛。△三月、同座、「菅原」の源蔵、梅王、【○】この興行限り植村氏、文楽座を松竹合名会社へ譲渡す。○四月、松竹合名会社の第一回興行、津ばめ太夫二世豊竹古靱太夫を襲名。△同月、同座、「先代萩」の累、三婦、金五郎、右三役『土橋』にて早替り、栄三の早替りは之が初め也。○五月、勝市初代野沢喜左衛門と改名。○玉松三世吉田玉造を襲名。蓑助吉田文五郎を相続。△同月、同座、「伊賀越」の重兵衛、林左衛門、お谷、助平、茶店女。△六月、同座、「夏祭」の団七九郎兵衛、「昔八丈」のお駒。△九月、同座、「廿四孝」の山本勘助、八重垣姫(興行中通し【じ】紋十郎の代役)、「合邦庵室」の入平、「壷坂」の沢市。○九月二十二日、五世竹本住太夫歿、○十一月、文太夫竹本浜太夫を襲名、同月十日、四世桐竹門造歿。△同月、同座、「忠臣蔵」の石堂、戸無瀬、「弁慶上使」のおあ【わ】さ。 |
明治四十三年(三十九歳) | ○二月十七日、大阪帝国座開場。[○]八月、日韓併合。 | ○一月、津太夫七世竹本綱太夫を相続。浜太夫三世竹本津太夫を相続。△同月、御霊文楽座、栄三書出しへ昇進、「太功記」の重次郎、「鷓山」の岩根御前、雷神。○二月、吉田玉治四世吉田文三を襲名。△同月、同座、「千本桜」の小金吾、「玉藻前」の金藤次、「柳」の平太郎。○四月【-、】六日、二世鶴沢重造歿。△同月、同座、「釈迦如来誕生会」の悉多太子(『壇特山』の太子は紋十郎)、「順礼歌」のお弓。△五月、同座、「八陣」の主計之介、「本下」の若狭之助。△六月、同座、「箱根霊験」の勝五郎、三千助【介】、「宿屋」の深雪。【+○】八月十五日二世桐竹紋十郎歿。○九月、この興行より人形座頭空位、吉田多為蔵再出座。△同月同座、「嬢景清」の重忠、「盛綱陣屋」の微妙、外に多為蔵役「嬢景清」の景清を五日間代役。○十月十一日、文楽座名奥役清水福太郎歿。この月限りにて吉田助太郎退座。△同月、同座、「一の谷」の相模、「志渡寺」のお辻。 |
明治四十四年(四十歳) | ○二月一日、堂島座開場。○三月、東京帝国劇場開場。○五月十四日、清元梅吉歿。○九月十一日、七世市川団蔵歿。○同日川上音二郎歿。 | △一月、御霊文楽座、「狭間合戦」の木下藤吉、「合邦庵室」の玉手御前、「野崎村」のお光。○二月十八日、二世竹本瀬綾【綾瀬】太夫歿。△同月、同座、「菅原」の源蔵、白太夫、「新口村」の梅川。△四月、同座、「伊賀越」の重兵衛、お谷、「吃又」の又平、○五月、市の側堀江座瓦解。△六月、同座、「彦山」のお園、「三代記絹川村」の時姫、「白石揚屋」の宗六。○八月十三日、竹本七五三太夫歿。△九月、同座、「双蝶々」の長五郎、「廿四孝」の慈悲蔵、八重垣姫。△十月、同座、「布引」の義賢、「天網島」の治兵衛、「出立」の赤垣源蔵。 |
明治四十五年大正元年(四十一歳) | ○七月三十日、明治天皇崩御。○七月三十日、大正天皇踐祚、同日より大正と改元、○乃木希典歿。 | ○一月十三日、近松座開場。○一月、猿糸六世鶴沢友治郎を相続。△同月、御霊文楽座、「先代萩」の累、政岡、「帯屋」の長右衛門。△二月、同座、「盛衰記」の重忠、「■[卅]【三十】三間堂」のお柳、「琴責」の阿古屋。△四月、同座、「妹脊山」のおみわ、雛鳥、「湊町」の徳右衛門。○五月、同座、「忠臣蔵」、竹本摂津大掾七十七歳にて「山科」一世一代也。△判官、おかる、戸無瀬。△六月、同座、「出世太平記」の久吉、「大文字屋」の栄三郎、「岸姫松」の藤巻、「宿屋」の深雪。○七月二十三日、七世竹本綱太夫歿。△九月、同座、「恋女房」の重の井、徳作、「国姓爺」の錦祥女、外に三左衛門役お染代役。△十月、同座、「安達」の袖萩、生駒之介、「合邦庵室」の玉手御前、「山名屋」の浦里。△十二月、京都南座へ出勤。 |
大正二年(四十二歳) | ○十一月徳川慶喜歿。 | ○一月、鶴太郎四世鶴沢叶を襲名、大糸三世鶴沢燕四を襲名。△同月、御霊文楽座、「太功記」の孫市、操、「堀川」のお俊、「吉田屋」の伊左衛門。○三月、長子太夫六世竹本弥太夫を相続。[近松座]△同月[2月]、同座[御霊文楽座]、「千本桜」の静御前、お里、「雪責」の中将姫。○四月、竹本摂津大掾引退披露興行、九世竹本染太夫も之にて引退。△同月、同座、「日吉丸」の木下藤吉、「炬燵」のおさん、「勧【楠】昔噺」の小仙、「勧進帳」の富樫。△六月、同座、「忠臣講釈」の重太郎、「順礼歌」のお弓、「盛綱陣屋」の微妙、「壷阪」のお里。初代吉田栄之助入門。○七月十一日、六世豊竹駒太夫歿。○七月三十日、三世竹本大隅太夫台南にて歿。△九月、同座、「信長記」の信長、乳母侍従、「烏羽離宮」の越中次郎、「野崎村」のお光。○十月、吉田駒十郎出座。△同月、同座「加賀見山」お初、「酒屋」のおその、「弁慶上使」のおわさ。 |
大正三年(四十三歳) | ○四月、中村伝五郎歿。○四月、照憲皇太后崩御。○六月、世界大戦起る。○八月二十日、六世市川門之助歿。○八月二十三日、日独開戦。 | ○一月、四世才治五世竹沢権右衛門を、大三郎五世鶴沢才治を相続。○【△】同月、御霊文楽座、「三代記」の時姫、「寿門松」の吾妻、「吃又」のおとく、「同大津絵」の福禄寿。○二月三日、三世野沢語助歿。○同月、竹本伊達太夫、豊沢猿二【治】郎出座。△同月、同座、「菅原」の菅【相丞】丞相、千代、「十種香」の八重坦【垣】姫。○三月、同座、猿二【治】郎四世豊沢仙糸を襲名。△同月、同座、「忠臣蔵」のおかる、戸無瀬、「壷坂」の沢市。○五月、富太夫七世豊竹駒太夫を襲名。△同月、同座、「先代萩」の政岡、「三十三間堂」のお柳、「沼津」の重兵衛、「鈴ヶ森」のお駒。△六月同座、「朝顔日記」の深雪、「堀川」のお俊、「油屋」の貢。○七月十九日、桐竹三左衛門歿。△同月、名古屋御園座へ出勤。△九月、御霊文楽座、「一の谷」の相摸【模】、「合邦庵室」の玉手御前、「冥途の飛脚」の忠兵衛。△十月、同座、「盛衰記」の千鳥後に梅ヶ枝、「市若初陣」の板額、「帯屋」のお半。○同月、近松座休座。○十一月二日、二世竹本勢見太夫歿。 |
大正四年(四十四歳) | ○四月二十日、三世嵐橘三郎歿。 | ○一月、野沢吉三郎、吉田文五郎文楽座へ出座。△同月、御霊文楽座、「太功記」の孫市、操、「雪責」の中将姫。○一月三十日、五世鶴沢文蔵歿。○二月、竹本越路太夫文楽座櫓下となる。吉田玉蔵出座。△同月、同座、「伊賀越」の重兵衛、お谷、団子売、「琴責」の阿古屋。△三月、同座、「千本桜」のお里、小金吾、「壷阪」の沢市。○四月、吉田兵吉出座△同月、同座、「廿四孝」の勝頼、「天網島」の治兵衛。[「卅三間堂」のお柳]○六月、常子太夫八世竹本八十太夫を襲名。[△同月、同座、「双蝶々」の長吉、「鰻谷」の八郎兵衛、「宿屋」の岩代(年表)]○七月五日、吉田兵吉歿。○九月、玉助四世鶴沢勝七を襲名。△同月、同座、「八陣」の隼人之介、「酒屋」のお園、「道春館」の桂姫。△十月【、】同座、「忠臣蔵」の戸【+無】瀬、石堂、平右衛門、「同八段目引抜」の万歳。 |
大正五年(四十五歳) | ○一月十九日、秋月桂太郎歿。○一月三十一日、中村仲蔵歿。○三月十九日、市川齋入歿。○九月二十四日、高田実歿。○十月十五日、松永和風歿。○十二月、大山元師歿す。 | △一月、御霊文楽座、「菅原」の源蔵、梅王、「恋女房叶【十】」の重の井。○二月、近松座首振芝居にて開場。○【△】同月、同座、「先代萩」の累、三婦、金五郎、「大文字屋」の栄三郎、「山名屋」のお辰。○二月十七日、九世竹本染太夫歿。△三月、同座、「妹背山」の求女、久我之助、「順礼歌」の十郎兵衛、○四月、八助八世野沢吉弥【+を】襲名。○【△】同月、同座、「大江山」の渡辺綱、「謙杖館」の袖萩、「野崎村」のお光。△六月、同座、「朝顔日記」の深雪、「春日村」の豆四郎、「天王寺村」の段八。門弟栄之助廃業。○八月一日、八世竹沢弥七歿。△十月、同座、「狭間合戦」の藤吉、「新口村」の忠三女房、「三十三間堂」の【+お】柳。○十月二十一日、吉田多為蔵歿。○十一月七日、二世豊沢広左衛門歿。△同月、同座、「加賀見山」の尾上、庄屋太郎作、「白石揚屋」の宮城野、「帯屋」のお半。同月、近松座没落。 |
大正六年(四十六歳) | ○三月二十七日、五世杵屋勘五郎歿。 | ○一月、吉田駒十郎之にて退座。△同月、御霊文楽座、「一の谷」の相摸【模】、「堀川」の伝兵衛、「雪責」の中将姫。○二月六日、京都竹豊座開場。○同月、兵内九世野沢吉五郎を襲名。△同月、同座、「太功記」の重次郎、阿能局、「芦屋道満」の葛の葉。△三月、同座、「彦山」の京極内匠、[四三の銅八(年表)]原作「天網島」の治兵衛。この興行中骨膜炎再発一週間程休演。○四月、玉市二代目吉田玉松を襲名。△同月、同座、「千本桜」の知盛、お里、「壷阪」のお里[沢市(年表)]。○四月二十六日、二代目豊竹柳適太夫歿。△五月、同座、「日吉丸」の藤吉郎、「酒屋」のお園、「鳥羽離宮」の越中次郎。△六月、同座、「伊賀越」の大内記、重兵衛、「鈴ヶ森」のお駒。○九月、光ル吉田光造を襲名。△同月、同座、「廿四孝」の勘助、濡衣、「橋本」の与次兵衛、「山名屋」の浦里。○十月九日、竹本摂津大掾歿。同十四日葬儀当日休業。○同月十四日、初代豊沢小団二歿。○同月、六世竹本弥太夫出座。△同月、同座、「忠臣蔵」、判官、戸無瀬、平右衛門。○十二月。文楽座場内修理。 |
大正七年(四十七歳) | ○四月竹田宮恒久王薨去。○六月九日、阪東彦十郎歿。○六月二十日、三世松島庄五郎歿。○十一月二十四日、嵐璃玨歿。○十一月、欧州大戦休戦条約成立。 | ○一月、文楽座場内改築落成。△同月、御霊文楽座、「菅原」の源蔵、覚寿、「式三番叟」の三番叟、「引抜」の春駒お楽、「野崎村」のお光。△二月、同座、「八犬伝」の信乃、大助、「御殿」の政岡、○三月、一弥二世野沢錦糸を襲名。△同月、同座、「妹背山」の雛鳥、芝六、豆腐の御用、橘姫、「鰻谷」の銀八。△四月、同座、「加賀見山」のお梅の方、お初、「鎌腹」の弥作。△五月、同座、「信長記」の久吉、「一の谷」の敦盛、相摸【模】、「宿屋」の深雪[駒沢(年表)]。○五月三十一日、四世豊沢広作歿。△六月、同座、「白石噺」のおのぶ、「岸姫松」の藤巻、「大重」の初右衛門。○六月二十九日、八世鶴沢三二歿。△九月、同座、「双蝶々」の妙りん、十次兵衛、「橋供養」の袈裟御前、「新口村」の忠兵衛、「伊右衛門内」の小助。○十月八日、六世豊竹岡太夫歿。△十月、同座、「布引」の実盛、難波六郎、「雪責」の岩根御前。○十月十六日、頭取四世吉田三吾歿。△十一月、同座、「忠臣講釈」の重太郎、「炬燵」の治兵衛、「道春館」の桂姫。 |
大正八年(四十八歳) | ○五月三十一日、三世中村歌六歿。○八月十三日、河原崎国太郎歿。○八月二十七日、尾上菊次郎歿。 | △一月、御霊文楽座、「日吉丸」の藤吉郎、「堀川」の伝兵衛、「吉田屋」の伊左衛門。△二月、同座、「太功記」の重次郎、「鳴戸」のお弓、「三十三間堂」のお柳[平太郎(年表)]、吉田栄枝入門、△三月、同座、「千本桜」の小金吾、お里、「袖萩祭文」の貞任。△四月、同座、「廿四孝」の慈悲蔵、八重垣姫、「艶容女舞衣」の三勝【、】「壷阪」の沢市。○五月十七日、四天王寺に竹本摂津大掾の銅像完成除幕式。○【△】六月、同座、銅像建設記念与【興】行、「先代萩」の累、「楠昔噺」の小仙、「本蔵下屋敷」の若狭之助、「悌写縁当矢[どんかちん]」、の[蔵前]のお染。△八月、文楽座人形浄瑠璃上京、十五日間新富座に出勤。△九月、御霊文楽座、「朝顔日記」の浅香、「逆櫓」の重忠、「油屋」の貢、△十月同座、「忠臣蔵」の若狭之助、戸無瀬、平右衛門。 |
大正九年(四十九歳) | ○三月十九日、中村又五郎歿。○八月二十日、七世芳村伊三郎歿。○十月、第一回国勢調査。○十一月八日、田村成義歿。 | ○一月、吉田辰五郎出座。△同月、御霊文楽座、「菅原」の菅相丞【丞相】、松王△二月、同座、「加賀見山」の尾上、「合邦庵室」の玉手御前、「山名屋」のお辰。吉田栄枝廃業。△三月、同座、「彦山」の京極内匠、「道春館」の桂姫、「歌祭文」のお染。○五月、同座、越代太夫三世竹本相生太夫を襲名。△同月、同座、「伊賀越」の重兵衛、大内記、団子売、「壷阪」の沢市。△六月、同座、「出世太平記」の信永、「恋女房十」の重の井、「天網島」の治兵衛。光之助息吉田栄太郎入門。○七月二十九日、六世鶴沢清七歿。△八月、[7月3日から16日間(年表)]東京新富座に出勤。△九月、御霊文楽座、「狭間合戦」の藤六[吉]、「冥途の飛脚」の忠兵衛。△十月、同座、「白石噺」の谷五郎、宮城野、「盛綱陣屋」の盛綱。 |
大正十年(五十歳) | ○五月八日、中村梅玉歿。○十月三十日、東京歌舞伎座焼失。 | △一月、御霊文楽座、「忠臣蔵」の戸無瀬、平右衛門、「引抜」の万歳。[「堀川」の伝兵衛(年表)]○一月二十九日、吉田玉五郎歿。○同月、京都竹豊座閉場。○二月十日、八世竹本むら太夫歿。△同月、同座、「千本桜」の小金吾、お里、「野崎村」のお光。△三月、同座、「加賀見山」のお初、「お駒才三」のお駒。△四月、同座、「妹背山」の雛鳥、豆腐の御用、橘姫。○五月五日、三世豊沢団平歿。△同月、同座、「先代萩」の累、政岡、「観音霊場記」の沢市。△六月、同座、「朝顔日記」の浅香、「酒屋」のお園、「鰻谷」の八郎兵衛。○九月十三日、二世豊沢龍助歿。○同月、同座、「双蝶々」の十次兵衛、「順礼歌」の十郎兵衛(年表では文三)、「道春館」の桂姫。○十月、同座、「八陣」の主計之助、「伊右衛門内」のお岩、「天網島」の治兵衛。△十一月、同座、「廿四孝」の慈悲蔵、八重垣姫。 |
大正十一年(五十一歳) | ○一月、大隈重信歿。○二月、山縣有朋歿。○同月六日、二世市川段四郎歿。○五月六日、五世市川小国[団]次歿。○六月、東伏見宮依仁親王薨去。 | ○一月三日、七世野沢喜八郎歿。○一月十九日、三世鶴沢清六歿。○一月、紋下越路太夫病気全快久々にて出勤。門治五世桐竹門造を相続。△同月、御霊文楽座、「八犬伝」の大助と【、】信乃、「市若初陣」の板額、「本蔵下屋敷」の若狭之助。△二月、同座、「一の谷」の相模、「大文字屋」の栄三郎、「恋女房十」の重の井。○三月、越路太夫病気再発休演。○同月七日、五世鶴沢才治歿。△同月、同座、「菅原」の覚寿、源蔵、「山名屋」のお辰。○四月、二世豊沢新左衛門出座。○四月二十四日、三世竹本南部太夫歿。△同月、同座、「白石噺」の宮城野、「大晏寺堤」の春藤、「腰越状」の和泉三郎、「戻駕」の与四郎。△五月、同座、「彦山」の六助、横田右近、「小牧山」のお政。△六月、同座、「伊賀越」の重兵衛、大内記、「堀川」の伝兵衛、「五条橋」の牛若、○七月六日より十一日まで第一回向上会。○八月、桐竹紋三歿。△九月、同座、「朝顔日記」の深雪、「箱根霊験」の勝五郎、「岩井風呂」の団七茂兵衛、「植木屋」の弥七。△十月、同座、近松門左衛門二百年忌記念与【興】行、「釈迦如来誕生会」の太子、「聚楽の栄華」の不破件【伴】作、「博多小女郎」の宗七。△十一月、同座、「布引」の実盛、「炬燵」の治兵衛、「野崎村」のお染。 |
大正十二年(五十二歳) | ○二月、伏見宮貞愛親王薨去。○四月北白川宮成久王薨去。○七月二十日、中村伝九郎歿。○九月一日、関東大震災、十二月、関根黙庵歿。 | △一月、御霊文楽座、「太功記」の阿能局、「日向島」の景清、「戻【+り】橋」の綱。△二月、同座、「先代萩」の政岡、「沼津」の重兵衛、「帯屋」の長右衛門。△三月、この月より文楽座前売切符を発売。【+△】同月、同座、「千本桜」の小金吾、典侍の局、「雪責」の中将姫。○四月、六世豊沢広助名庭絃阿弥となる。△同月、同座、「廿四孝」の慈悲蔵、八重垣姫。○五月、竹三郎五世豊沢猿糸を襲名。△同月、同座、「加賀見山」の尾上、「弁慶上使」のおわさ、「琴責」の阿古屋。△六月、同座、「双蝶々」の与五郎、十次兵衛、「天王寺村」の兵助。○六月二十六七両日、向上会。△八月、東京有楽座に出勤。○十月、徳太郎四世鶴沢清六を襲名。△同月、御霊文楽座、「忠臣蔵」戸無瀬、平右衛門、「壷阪」の沢市。○十一月、京都新京極中座改築落成、京都文楽座として開場。△同月、京都文楽座、「太功記」の操、「炬燵」の治兵衛、「植木屋」の弥七。△十二月、同座、「白石揚屋」の宮城野、「戻り橋」の若菜実は息【鬼】女。 |
大正十三年(五十三歳) | ○二月華頂宮博忠王薨去。○四月十四日、浅尾工左衛門歿。○七月、松方正義歿。 | △一月、御霊文楽座、「菅原」の覚寿、千代、「出立」の赤垣源蔵。△二月、同座、「八陣」の主計之介、「冥途【+の】飛脚」の忠兵衛。○三月十八日、紋下三世竹本越路太夫歿。○同十九日、三味線紋下名庭絃阿弥歿。△同月、京都文楽座、「加賀見山」の尾上[お初(年表)]、「帯屋」及「道行」のお半。△同二の替り、「菅原」の源蔵、「酒屋」のお園、「琴責」の阿古屋。○四月、文楽座紋下空位の為、松竹合名社紋下欄に座る。△同月、同座[京都文楽座]、「一の谷」の相模、「壷阪」の沢市、「千両幟」の猪名川。○五月、三世竹本津太夫文楽座紋下となる。○同月、御霊文楽座、「白石噺」の宮城野、「一の谷」の相模、「壷阪」のお里。○六月四日、六世野沢吉兵衛歿。○同六日、六世竹本弥太夫歿。△六月、同座、「太功記」の操、「伊賀越」の重兵衛、「矢口」のお舟。○七月一二両日、向上会。△八月、四国方面巡業。○九月、友松事鶴沢道八出座に関し、大紛糾起り、紋下津太夫休座。○同月、伊達太夫六世竹本土佐太夫を襲名し、庵に入る。○【△】同月、御霊文楽座、「加賀見山」の尾上、「吃又」のおとく、「山名屋」のお辰。○十月、鶴沢道八出座。△同月、同座、「布引」の実盛、「炬燵」の治兵衛、「三十三間堂」のお柳、△十一月、同座、「恋女房」の慶政。重の井、「吉田屋」の夕ぎり。 |
大正十四年(五十四歳) | ○一月四日、東京歌舞伎座開場○一月二十三日、藤間勘翁歿。○四月一日、新橋演舞場開場。○五月十日、大婚二十五年記念奉祝。○十二月、曾我廼家十郎歿。 | ○一月、竹本角太夫出座。△同月、御霊文楽座、「廿四孝」の腰元八つ橋、お種、八重垣姫、「堀川」の伝兵衛、「弁慶上使」のおわさ。△二月、京都文楽座、「盛衰記」の松右衛門、「堀川」の与次郎、「戻橋」の若菜実は鬼女。△同二の替り、「鎌腹」の弥助、「桂川」の長吉、お半。△三月、同座、「加賀見山」のお初、「野崎村」の久作。△同二の替り、「沼津」の平作、「炬燵」のおさん、「嫗山姥御殿」の八重桐、「同足柄山」の山姥。△四月、同座、「太功記」の操、「お駒才三」のお駒。△同二の替り、「八陣」の雛絹、灘右衛門、「三十三間堂」のお柳。△五月、御霊文楽座、「彦山」のおその【園】、「国姓爺」の錦祥女、「お駒才三」のお駒。△六月、同座「喜内住家」のおりへ、「岸姫松三」のおそよ、「壷阪」のお里、「戻橋」の若菜実は鬼女。二世吉田栄之助入門。○七月五六両日、向上会。△七月二十六日より東京歌舞伎座へ出勤。△八月九月、中国九州方面巡業の、後【後、】京都南座へ出勤。△十月、道頓堀中座、「廿四孝」の八重垣姫、「式三番叟」の三番叟、「沼津」の重兵衛、「河庄」の治兵衛。○十一月、八十太夫七世竹本文字太夫を襲名、△同月、御霊文楽座「小阪部館」の真弓、「合邦庵室」の玉手御前、「吉田屋」の伊左衛門。京都文楽座閉場。 |
大正十五年昭和元年(五十五歳) | ○三月二十六日、七世沢村訥子歿。○九月十一日、、尾上松之助歿。○十二月十八日、大正天皇御不例に付き各劇場休場、○同月二十五日、大正天皇崩御。○十二月二十五日今上天皇踐祚昭和と改元。 | △一月、御霊文楽座、「一の谷」の相模、「四季寿」の鷺娘、「野崎村」のおみつ【光】。△二月、同座、「新薄雪物語」の妻平、「鰻谷」の八郎兵衛。○三月、同座、故竹本越路太夫の遺子四世竹本常子太夫となり初出座。△同月、同座、「忠臣蔵」の戸無瀬、平右衛門。△四月三日、母柳本あい歿(七十九歳)。○同月十三日、五世竹沢権右衛門歿。△同月、同座、「加賀見山」の尾上、「勧進帳」の富樫。○五月、同座、竹田出雲百七十年忌記念興行、「菅原」の覚寿、源蔵。○同月二十五日、四天王寺権右衛門追慕碑の建碑式挙行。△六月、同座、「朝顔日記」の浅香、「妹背山吉野川」の雛鳥、「同道行」のお三輪。○六月二日、竹本越登太夫歿。○七月一二両日、向上会。△七月二十八日より十二日間、東京歌舞伎座に出勤。後神戸へ出勤。○八月十三日、四世竹本雛太夫歿。○同月二十九日、吉田光造歿。○九月九日、吉田玉蔵歿。△九月【、】御霊文楽座、「伊賀越」の大内記、重兵衛、団子売、「油屋」の貢。△十月、同座、「三代記」の三浦之介【助】、「市若初陣」の板額、「戻り駕」の吾妻与四郎。△十一月、同座、「法然上人」の法然上人、鈴虫、「天網島」の治兵衛。○十一月二十九日(千秋楽の翌日)文楽座内より出火、全焼。△十二月、中国方面へ巡業。 |
昭和二年(五十六歳) | ○一月七日、二世尾上多見蔵歿○二月七・八日、大正天皇御大葬。○九月十八日、徳富芦花歿[○]十月四日、六世嵐吉三郎歿。○十一月十五日、三世中村雀右衛門歿。 | ○一月より道頼【頓】堀弁天座にて仮宅興行と定【+ま】る。○東京より竹本朝太夫、豊沢松太郎来座。○この興行より一幕見復活。△同月、道頓堀弁天座、蓑助三世桐竹紋十郎を襲名、△同月、同座、「太功記」の重次郎、「吉田屋」の伊左衛門、「湊町」のお梅。○二月十三日、四世吉田文三歿。△同月、同座、「先代萩」の政岡、「逆櫓」の松右衛門。△三月、番附人形欄改正、吉田栄三座頭となり吉田辰五郎退座。△同月、同座、「廿四孝」の勘助、「天網島」の治兵衛。△四月、同座、昼夜二部興行、昼の部「忠臣蔵」の由良之助、夜の部「千本桜」の知盛、権太。△五月同座、「菅原」の菅相丞【丞相】、松王丸、「淡路町」の忠兵衛。○六月十六日、四世吉田辰五郎歿。△同月、同座、「一の谷」の熊谷、「油屋」の貢。吉田栄三郎入門。○六月二十五六両日、向上会。△十月、同座、「白石噺」の宗六、「盛綱陣屋」の盛綱、「堀川」の与治【次】郎。△十一月、同座、「布引」の行綱、実盛、「冥途の飛脚」の忠兵衛。 |
昭和三年(五十七歳) | ○一月十六日、尾上卯三郎歿。○九月五日、五世尾上松助歿。○十一月十日、御即位の御大礼○十二月二十六日、富士田音蔵歿。 | △一月、京都南座に出勤。○二月十八日、鶴沢文駄歿。△二月、道頓堀弁天座、「伊賀越」の政右衛門、重兵衛、「吉田屋」の伊左衛門。△四月【、】同座、「合邦庵室」の玉手御前、「妹背山吉野川」の大判事、「先代萩」の八汐。○五月五日、二世竹本春子太夫歿。△六月、同座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平、「鈴ヶ森」のお駒。△七月一日より二十日間、東京新橋演舞場に出勤。△同月二十五日より二十九日迄東京明治座に出勤、「忠臣蔵」(役、由良之助、勘平)にて大当り。○八月十八日【、】桐竹紋五郎歿。○九月八日、天瑞寺に竹本播磨少掾の百八十五回忌施行。△九月、京都南座へ出勤。△十月、道頓堀弁天座、昼夜二部興行、昼の部、「合邦庵室」の玉手御前、夜の部、「日向島」の景清、「引窓」の十次兵衛。 |
昭和四年(五十八歳) | ○一月、久邇宮邦彦王薨去。二三日、御葬儀当日各劇場休場。○三月四日、沢田正二郎歿。○八月三十日、道頓堀弁天座改築落成映画館として開場。○九月九日、東京新宿歌舞伎座開場。○十月一日、十四世長谷川勘兵衛歿。 | △一月、神戸八千代座、名古屋御園座、岐阜松竹座、豊橋東雲座を巡業。△二月、岡山、広島、小倉、別府、博多、下【-の】関を巡業。△三月道頓堀弁天座、「太功記」の光秀、孫市、「河庄」の治兵衛。○三月二十六日、六世鶴沢才治歿。△四月、天満八千代座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平、「壷阪」の沢市。△五月、道頓堀弁天座、「一の谷」の熊谷、「恋女房」の八造。△六月、名古屋、豊橋、岡山を巡業。△七月一日、東京新橋演舞場に出勤。△九月、神戸、高松を巡業。△十月、広島、博多、熊本、宮崎を巡業。○十月八日、竹本摂津大掾十三回忌追善浄瑠璃会朝日会館にて開催さる。△同月、神戸松竹座へ出勤。△十二月、東京新橋演舞場へ出勤。○これにて竹本朝太夫退座。○同月二十六日、四ツ橋【-々】畔元近松座改築落成、文楽座として開場、同日開場式挙行。△「寿式三番叟」の三番叟を勤む。 |
昭和五年(五十九歳) | ○二月十五日、常盤津豊後椽[掾]歿。○三月二十六日、帝都復興祭。○三月二十九日、東京劇場開場。○五月十八日、市川荒五郎歿。○十月四日、七世富士松加賀太夫歿。○十一月十七日、嵐巌笑歿。 | ○一月元旦、四ツ橋文楽座柿葺落し初日、この興行より三時開演。△同月、同座、「式三番叟」の三番叟、「引【-授】抜【+柱】立万歳」の万歳、「橋本」の甚兵衛、「鬼界ヶ島」の俊寛。△二月、同座、「国姓爺」の甘輝、「勧進帳」の弁慶、「合邦庵室」の合邦。○三月、三世竹本越路太夫・名庭絃阿弥両人の七回忌追善として、「空也念仏」上演、常子太夫四世竹本さの太夫を襲名。△同月、同座、「良弁杉」の良弁僧正、「空也念仏」の禅才坊、「妹背山吉野川」の大判事、「野崎村」のお光。○四月一日、二世豊沢団平三十三回忌、同妻ちか女三十七回忌法会を阿倍野墓地にて執行。△同月、同座、「太功記」の光秀、「千本桜」の権太、狐忠信。○五月、越名太夫四世竹本南部太夫を襲名、鶴尾太夫三世竹本長尾太夫を襲名、浅造四世鶴沢重造を襲名、野沢吉弥、吉田小兵吉、吉田玉徳出座。△同月、同座、「日向島」の景清、「堀川」の与次郎、「神崎揚屋」の梅ヶ枝。○六月七日、豊竹呂昇歿。△同月、同座、「廿四孝」の勘助。「沼津」の重兵衛、「妹背山道行」の求女。△七月、同座、「釈迦如来誕生会」の太子、「吃又」の又平。○八月一日より十日間、文楽座太夫三味線連東京劇場にて素浄瑠璃興行。△同月、四ツ橋文楽座、「夏祭」の団七九郎兵衛、「寺子屋」の松王丸。三世吉田栄之助入門。△同月二十二日より五日間京都南座へ出勤。△九月、四ツ橋文楽座、「八陣」の政清、「引窓」の十次兵衛。△同月二十五日、特別貸切興行にて、「千本桜道行」の狐忠信を勤む。○同月二十五日、二世豊竹呂太夫歿。△十月、同座、「春日村」の有常、「帯屋」の儀兵衛、「道春館」の金藤次。△同月二十二日より五日間、名古屋御園座へ出勤、△十一月、四ツ橋文楽座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平。△十二月、同座、「安達」の貞任、「お駒才三」の丈八、「膝栗毛」の弥次郎兵衛。 |
昭和六年(六十歳) | ○二月二十五日、五世関三十郎歿。○三月二十日、中村嘉七歿。○九月、満州事変勃発。 | △一月、四ツ橋文楽座、「忠臣蔵九段目」の由良之助、「式三番叟」の三番叟、「三人座頭」の福の市、「天網島」の治兵衛。○同月五日、四世野沢勝市歿。○二月一日、三世鶴沢重造事鶴沢重太郎歿。△同月、同座、「一の谷」の熊谷、「飯椀」の小助。○三月、猿糸七世豊沢広助を襲名。△同月、同座、「伊賀越」の政右衛門、「鎌腹」の弥作、「千本桜」の源九郎狐忠信。○四月、日蓮上人六百五十年忌記念興行、△同月、同座、「日蓮記」の日蓮上人、「堀川」の与次郎。△四月八日、伏見宮両殿下御台覧に附き、特別興行にて、「千本桜」の源九郎狐忠信、「寺子屋」の松王、「堀川」の与次郎を勤む。△同月十三日、久邇宮大妃殿下、東伏見伯御台臨、特別興行にて、「日蓮記」の日蓮上人、「千本桜」の源九郎狐忠信、「堀川」の与次郎を勤む、△五月、同座、「菅原」の菅相丞【丞相】、松王【+丸】。△六月、同座、「加賀見山」の尾上、「大文字屋」の権八、「弁慶上使」の弁慶。△七月一日より六日迄、京都南座出勤。△同十一日より十六日間、東京明治座に出勤。○八月、竹本小春太夫初出座。△同月、四ツ橋文楽座、「合邦庵室」の合邦。△同月二十日、秩父宮両殿下大阪城内紀州御殿にて人形浄瑠璃御台覧、「太十」の光秀を勤む。○九月、鶴沢綱造出座。△同月、同座、「盛衰記」の松右衛門、「蝶花形八」の音親、「壷阪」の沢市。△十月、同座、「布引」の実盛、行綱、「三十三間堂」の平太郎。△十一月、同座、「伊賀越」の政右衛門、重兵衛、団子売。△十一月二十七日より十七日間、東京明治座へ出勤。[「勧進帳」の弁慶] |
昭和七年(六十一歳) | ○二月二十二日、肉弾三勇士廟行鎮の花と散る。○五月十五日、五・一五事件。○五月二十二日、市村座焼失。○六月十六日、十三世守田勘弥歿。○七月十二日中村鶴蔵歿。○八月十五日、伊井蓉峰歿。○九月、満州国承認○九月二十八日、大阪歌舞伎座開場。 | △一月、四ツ橋文楽座、「四季寿」の関寺小町、「盛綱陣屋」の盛綱、「冥途の飛脚」の忠兵衛。△二月、同座、「菅原」の松王丸、「合邦庵室」の合邦、「湊町」の太左衛門。○三月、島太夫三世豊竹呂太夫襲名。△同月、同座、「妹背山」の鱶七、「河庄」の治兵衛、「芦屋道満」の狐葛の葉。△四月、同座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平、「新作三勇士」の作江一等兵。△五月四日より十五日間、東京劇場に出勤。△同月二十一日より六日間、神戸松竹劇場に出勤。△六月四日より同月十五日迄、広島寿座、博多大博劇場、熊本旭座、若松旭座を巡業。△同月十八日より二十八日迄、京都南座へ出勤、○七月一日、吉田市松歿。△同月、四ツ橋文楽座、「堀川」の与次郎、「熊谷陣屋」の熊谷。○八月十五日、三世豊沢大助歿。△九月、同座、「勧進帳」の弁慶、「皿屋敷」の青山鉄三、「新作血桜日記」の空閑少佐。△十月同座、「さくら時雨」の灰屋三郎兵衛、「八陣本城」の政清、「宵庚申」の八百屋半兵衛。△十一月、同座、「太功記」の光秀、「寺小【子】屋」の松王丸、「炬燵」の治兵衛、「千本桜道行」の狐忠信。○十一月三十日、八世野沢喜八郎歿。○十二月二十一日、文楽協会の建議案大阪府知事へ提出さる。 |
昭和八年(六十二歳) | ○七月十四日、松居松翁歿。○八月二日、富本豊前歿。○同月十一日、五世中村(成駒屋)福助歿。○同月三十一日、大阪東洋劇場開場。 | △一月、四ツ橋文楽座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平。○一月二十三日第六十四回帝国議会衆議院に於て、「文楽座保護に関する建議案」可決○同月三十日、竹本朝太夫歿。△二月十五日、津太夫、土佐太夫、栄三、文五郎上京、衆議院に謝意を表す。△同月、同座、「質店」の久作、「堀川」の与次郎、「恋女房十」の重の井。○三月、津太夫、古靱太夫、紋下譲歩【渡】問題にて紛糾。△同月、同座、「合邦庵室」の合邦、「壷阪」の沢市△四月、同座、昼夜二部興行、昼の部、「千本桜」の権太、忠信、夜の部「沼津」の重兵衛。△五月、同座、昼夜二部興行、昼の部、「累物語」の絹川与右衛門、「岸姫松三」の与茂作、夜の部、「志渡寺」のお辻。○五月四日、三世豊沢団平十三回忌法会木津唯専寺にて営まる。△同月二十一日、京都帝国大学講堂にて「式三番叟」の三番叟を勤む。△六月、四ツ橋文楽座、「加賀見山」の尾上、「苅萱桑門」の新洞左衛門、苅萱道心。○七月十五日、吉田伝之助歿。△七月一日より十二日間、東京劇場に出勤。△九月、四ツ橋文楽座、「絹川村」の佐々木高綱、「引窓」の十次兵衛。○十月、津太夫、古靱太夫和解。△同月、同座、「菅原」の白太夫、「妹背山吉野川」の大判事、「河庄」の治兵衛、△十一月、同座、「一の谷」の熊谷、「大晏寺堤」の春藤次郎衛門。○十二月、元祖竹本義太夫二百五十年忌記念興行を東京歌舞伎座にて開演、同座出勤。 |
昭和九年(六十三歳) | ○一月一日、東京宝塚劇場開場○二月八日、尾上幸蔵歿。○同月十八日、片岡長太夫歿。○四月十五日、八世富士加賀太夫歿○六月五日、東郷元帥国葬に付き各劇場休場。○八月十日、東京新宿歌舞伎座第一劇場と改称○九月二十一日、関西風水害。○十月十六日、十一世片岡仁左衛門歿。○十一月四日、六世尾上梅幸歿。 | △一月、四ツ橋文楽座、「良弁杉」の良弁僧正、「四季寿」の関寺小町、「官兵衛砦」の竹中官兵衛、「勧進帳」の弁慶。○三月、福太郎五世鶴沢鶴太郎襲名。○【△】同月、同座、「太功記」の光秀、「曾我五人兄弟」の朝比奈「鎌腹」の弥作。△同月二十三日、朝日会館に於ける竹本三蝶主宰「女流人形浄瑠璃の夕」の手摺を勤む。△四月、四つ【ツ】橋文楽座、「いろは物語」の多度六、「鮓屋」の権太、「大文字屋」の権八。○五月、二世桐竹紋十郎二十五回忌追善興行。△同月、同座、「廿四孝」の勘助、勝頼、「吃又」の又平、「野崎村」の久作。○五月二十九日。東京日比谷公会堂に於て義太夫協会発会式にて「琴責」の重忠を勤む。△七月二十四日より、十二日間、東京歌舞伎座に出勤。△八月二十七日より三日間、朝日会館に於ける竹本三蝶主宰、「女流人形浄瑠璃の夕」の手摺を勤む。△同月二十九日、夜【夜、】大阪中央放送局より芸談を放送。△九月、九州中国方面巡業。△同月三日、福岡日日新聞社主催「芸談と実演の会」にて、「人形遺【遣】ひの修業談」と題する講演をなす。○十月、道頓堀浪花座にて元祖竹本義太夫二百五十年祭記念興行を開場、△役「玉藻前」の金藤次、金毛九尾狐、「碁盤太平記山科」の由良之助、「堀川」の与次郎。△十一月、四ツ橋文楽座「忠臣蔵」の由良之助、勘平。△十二月二十一日より二十八日迄、東京歌舞伎座出勤。 |
昭和十年(六十四歳) | ○一月二十七日、五世嵐橘三郎歿。○二月一日、中村雁治郎歿○同月二十八日、坪内逍遙歿。○三月、満州国皇帝陛下御来朝○九月十四日、水谷竹紫歿。 | △一月、四ツ橋文楽座、「菅原」の菅相丞【丞相】、松王丸。この興行中紳経痛にて三日間欠勤。代役は相丞【丞相】、「車場」の松王を玉次郎、「寺小【子】屋」の松王を玉松勤む。△二月、東海道方面を巡業。○三月、五世豊沢広助三十三回忌追善、猿太郎六世豊沢猿糸【-京】を襲名、玉松四世吉田玉蔵襲名、△同月、四ツ橋文楽座、「新作修善寺物語」の夜叉王、「信州川中島合戦三段目」の山本勘助、「冥途の飛脚」の忠兵衛。○同月二十二日、五世豊沢広助三十三回忌法要高津正法寺にて施行さる。○同月二十六日、文楽座国庫補助金三千円下附さる。○四月七日、七世竹本源太夫歿。△同月、同座、「忠【+臣】蔵九段目」の由良之助、「勧進帳」の弁慶。○同月二十七日より三日間、道頓堀浪花座にて竹本三蝶主宰「女流人形浄瑠璃と公演」の手摺を勤む。△五月、四ツ橋文楽座、「熊谷陣屋」の熊谷、「三十三間堂」の平太郎。△同月二十八日より六月十五日迄、中国九州方面巡業。△同月三十一日、福岡日日新聞社主催にて同社講堂に「文楽の芸談と実演の会」席上にて、芸談を講演す。○七月一日より十七日間、東京明治座に出勤。○八月、紋下津太夫、文五郎外数十名、皇軍在満同胞慰問の為渡満。△九月二十一日より一週間京都南座に出勤。○十月、芳之助五世鶴沢弥三郎を襲名、△同月、四ツ橋文楽座、「沼津」の重兵衛、「太功記尼ヶ崎」の光秀、「合邦庵室」の合邦。○同月五日、近松柳の追悼法会を生玉大宝寺にて執【施】行。△十一月、同座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平。△十二月、神戸、中国九州及名古屋を巡業。【△十二月十八日より六日間、神戸松竹劇場に出勤h、中国九州及び名古屋を巡業】 |
昭和十一年(六十五歳) | ○二月二十六日、二・二六事件○四月二十日、四世沢村源之助歿。○五月二十六日、大森痴雪歿。○六月二十九日、石割松太郎歿。○七月十二日、七世市川中車歿。○十月三月、四世市川右団治歿。○十一日、日独防共協定成立。○十二月五日、中村珊瑚郎歿。 | △一月、四ツ橋文楽座、「音冴春臼月」の団子売、「八陣」の政清、「堀川」の与次郎。△同月十六日、門弟吉田栄之助歿。○二月、豊竹つばめ太夫、竹本南部太夫、野沢勝平外九名文楽座退座、新義座を結成、巡業の旅に登る。○同月一日、五世鶴沢弥三郎歿。△同月、北陸東海道方面巡業。△同月四日、吉田扇太郎歿。△同月十六日より六日間、京都南座出勤。○三月十八日、三世竹本越路太夫十三回忌法会西徳寺に執行。△同月、四ツ橋文楽座、「伊賀越」の政右衛門、「新作大赤【森】彦七」の大赤【森】彦七、「野崎村」の久作。△四月二日より十七日迄、名古屋(御園座)、豊橋、一の宮、神戸(松竹劇場)を巡業。○同月十七日、二世鶴沢寛治郎歿。△五月三日より、岡山、九州、広島を巡業、この巡業中広島滞在中より骨膜炎再発。△五月二十七八両日、北陽演舞場に於ける同【因】会女子部研究会の手摺を勤む。○六月、小春太夫四世竹本伊達太夫を襲名。△同月、四ツ橋文楽座、「国姓爺」の甘輝、「吃又」の又平、「新曲連獅子」の雄獅子。骨膜炎手術の為四日間欠勤、代役は甘輝、又平を玉市、雄獅子を光之助勤む、△七月、静養の為同月興行欠勤。△同月二十四日より八月二日迄、東京歌舞伎座に出勤。△「中央公論」九月号に河竹繁俊編の「栄三芸談」掲載さる。△九月一日より六日迄、京都南座に出勤。△同月(十二日より)、四ツ橋文楽座、「新作東海美女伝」の徳川家康、「天王寺村」の兵助、「扇屋」の熊谷。△十月【、】同座、「良弁杉」の良弁僧正、「天網島」の治兵衛、「新作釣女」の太郎冠者。○同月六日、鶴沢綱右衛門歿。△十一月同座、「近江源氏」の盛綱、「新作神崎東下り」の丑五郎、「膝栗毛」の弥次郎兵衛。○同月十六日、野沢喜左衛門歿。△同月二十四五両日、堀江演舞場に於ける因会女子部研究会の手摺を勤む。△十二月、中国九州巡業。 |
昭和十二年(六十五【六】歳) | ○一月十日、曾我廼家蝶六歿。○七月七日、支那事変勃発。○十一月、日独伊防共協定或[成]立。○十二月十三日、南京陥落。 | △一月、四ツ橋文楽座、「菅原」の松王丸、「橋本」の甚兵衛、「新曲三人片輪」の躄。△二月、同座、「一の谷」の熊谷、「式三番叟」の三番叟、「吉田屋」の伊左衛門。○三月の源路太夫八世竹本源太夫を襲名、団六三世鶴沢寛治郎を襲名、野沢吉弥出座。△同月、同座、「千本桜」の権太、「沼津」の重兵衛、「勧進帳」の弁慶。△四月、同座、「逆櫓」の松右衛門、「新作大楠公」の楠正成。この興行中風邪にて欠勤、代役光之助。○五月、竹本土佐太夫、野沢吉兵衛引退披露。△同月、同座、「楠昔噺」の小仙、「帯屋」の儀兵衛、この興行中も未だ全快せず。△同月二十八九両日、北陽演舞場に於ける因会女子部研究会の手摺を勤む。△六月一日より二十日間、東京明治座に出勤。△七月、四ツ橋文楽座、「沼津」の重兵衛、「寺小屋」の源蔵。△同月十八日より五日間、京都南座に出勤。△同月十九日、門弟吉田光之助応召。○八月、四ツ橋文楽座にて事変ニュース上映、△九月、北陸、名古屋巡業。△十月一日より一週間、京都祇園弥栄会館に出勤。△同月十日より、八日間、北陽演舞場、「式三番叟」の翁、「合邦庵室」の合邦、「勧進張【帳】」の弁慶。△十一月、【-東京】新町演舞場「新作[+支那事変]御旗本」の長尾部隊長、「冥途【の】飛脚」の忠兵衛。△十二月、北陽演舞場、「忠臣蔵」の師直、由良之助。○同月二十六日三味線紋下鶴沢友治郎引退発表。 |
昭和十三年(六十七歳) | ○四月一日、劇場入場税制施行さる。興行時間単縮。○五月十五日、清元喜久太夫歿。○同月十九日、徐州陥落。○同日、望月朴清歿。○八月十九日、張鼓峰事件勃発。○十月二十一日、広東陥落。○同月二十七日、武漢三鎮陥落。【以降昭和23年5月版に記載なし】 | △一月、北陽演舞場、「四季寿」の関寺小町、「天網島」の治兵衛、「吃又」の又平。△同月、新町演舞場、「鎌腹」の弥作、「壷阪」の沢市【、】「吉田屋」の伊左衛門。△二月、同演舞場、「白石揚屋」の宗六、「合邦庵室」の合邦、「帯屋」の儀兵衛。△同月十七日より一週間、京都祇園弥栄会館に出勤。○三月、豊竹つばめ太夫、竹沢団二郎出座。○この時より三味線紋下鶴沢友治郎の名前番附より消ゆ。△同月、新町演舞場、「太功記」の光秀、「寺小屋」の源蔵、「妹背山吉野川」の大判事。△同月、北陽演舞場、「良弁杉」の良弁【-僧正】、「沼津」の重兵衛。○五月、昨夏来事変ニユース上映の【-四ツ橋】文楽座は当月より人形浄瑠璃を興行。○同月、つばめ太夫四世竹本織太夫を相続、団二郎七世竹沢団六を相続。△同月、同座、「歌祭文」の小助、「日吉丸」の久吉、「逆櫓」の松右衛門、「新曲連獅子」の雄獅子。○六月、吉田文五郎、桐竹紋十郎渡満に付き文楽一座休演。△七月一日より十三日間、東京新橋演舞場に出勤。△八月六日より十日間、京都南座に出勤。△九月十七日より十二日間、東京明治座に出勤。△十月、四ツ橋文楽座、「忠臣蔵」の由良之助、勘平、「契情倭草子道行」の助国。○同月十九日、豊沢松太郎歿。△十一月、同座、「加賀見山」の尾上、「絹川村」の高綱、「お駒才三」の丈八。【以下昭和23年5月版にて追補】△十二月、同座、「岡崎」の政右衛門、「吉田屋」の伊左衛門、「淡路町」の忠兵衛。 |
昭和十四年(六十八歳) | △一月、四ッ橋文楽座、「忠臣藏九段目」の由良之助、「日向島」の景清、「勧進帳」の弁慶、「団子売」の杵造。△二月一日より七日間、京都南座に出勤。△同月十一日より五日間、神戸松竹劇場に出勤、小倉ほか巡業。△三月、四ツ橋文楽座、「千本桜」の権太、「新口村」の孫右衛門、「腰越状]の五斗。△同月二十日より十日間、東京明治座に出勤。△四月、四ッ橋文楽座、「炬燵」の治兵衛、「妹背山吉野川」の大判事、「三人座頭」の福の市。△五月、同座、「菅原」の丞相、松王丸、「膝栗毛」の弥次郎兵衛。△同月十九日より五日間、名古屋御園座に出勤。△六月、四ッ橋文楽座、「毛谷村」の六助、「吃又」の又平、「阿波十」の十郎兵衛。△七月、同座、「熊谷陣屋」の熊谷、「橋本」の甚兵衛、「釣女」の太郎冠者。△同月二十一日より六日間、京都南座に出勤。△八月二日より十九日間、東京明治座に出勤。△九月二日より五日間、名古屋御園座に出勤△同月九日より四日間、神戸松竹劇場に出勤。鳥取(大国座)、博多(大博劇場)其他を巡業。〇十月、この時より番附三味線紋下欄に再び鶴澤友治郎の名を掲ぐ。△同月、四ツ橋文楽座、「新作恩讐の彼方に」の了海、「大文字屋」の権八、「堀川」の伝兵衛。〇十一月、吉田光之助出座。△同月、同座、「伊賀越」の政右衛門、重兵衛、「引抜団子売」の杵造。△十二月、同座、「忠臣藏」の師直、由良之助、「吉田屋」の伊左衛門。 | |
昭和十五年(六十九歳) | △一月、四ツ橋文楽座、「熊谷陣屋」の熊谷、「新曲三人片輪」の躄、「鎌腹」の弥作。△二月、同座、「盛綱陣屋」の盛綱、「天網島」の治兵衛、「新作三勇士」の作江一等兵。△三月、同座、「喜内住家」の重太郎、「帯屋」の儀兵衛、「合邦庵室」の合邦。△四月、同座、「妹背山」の鱶七、「鰻谷」の八郎兵衛、「新曲連獅子」の雄獅子。〇五月、竹太夫五世竹本雛太夫を相続。野澤吉五郎出座。△同月、同座、「楠昔噺」の小仙、「千本桜」の狐忠信。△六月、同座、「双蝶々」の十次兵衛、甚兵衛、「契情倭荘子道行」の助国。△同月二十五日より六日間、神戸松竹劇場に出勤。△七月、四ツ橋文楽座、「夏祭」の団七、「白木屋」の丈八、「吃又」の又平。△七月二十日より五日間、京都南座に出勤。△同月、溝口健二作並に演出映画「浪花女」の劇中劇「千本桜道行」に狐忠信にて出演のため南座興行打揚後、同座に於て録音。△八月一日より二十四日間、東京明治座に出勤。△同月末、東京より帰阪後、松竹帷子ノ辻撮影所に於て前記映画「浪花女」撮影に出演。△十月、四ツ橋文楽座、「良弁杉」の良弁僧正、「勧進帳」の弁慶、「国姓爺」の甘輝。○同月二十七日、累代桐竹門造墓碑除幕式並に四世三十三回忌法会を神崎久久地広済寺にて施行・○十一月、竹本津の子太夫出座。△同月、同座、「布引」の瀬尾、行綱。△十二月、同座、「三人座頭」の福の市、「沼津」の重兵衛、「合邦庵室」の合邦○同月十三日、竹本錣太夫歿。 | |
昭和十六年(七十歳) | ○一月、竹本播路太夫、竹本叶美太夫、野澤勝平、鶴澤徳若出座。△同月、四ツ橋文楽座、「釣女」の太郎冠着、「出立」の赤垣源藏、「淡路町」の忠兵衛、「新作代唱万歳母書簡」の清水局長。△二月、同座、「佐太村」の白太夫、「逆櫓」の松右衛門、「袖萩祭文]の貞任。△三月、同座、「一の谷流しの枝」の忠度、「新作先陣訓」の菅公、楠正成、、乃木将軍、市民、「鮓屋」の権太。○同月三十一日、七世豊竹駒太夫歿。〇四月、津の子太夫五笹竹本浜太夫を相続。△同月、同座、「寺子屋」の松王丸、「妹背山吉野川」の大判事、「景事里げしき双草子」の海士、禿。○同月二日、六世竹本土佐太夫歿。○同月二十七日、豊竹辰太夫歿。○五月、駒若太夫四世豊竹司太夫を相続。△同月、同座、「志渡寺」のお辻、「新作海国日本魂」の太田次郎右衛門、阪本龍馬、広瀬中佐、「太功記尼ケ崎」の光秀。○同月七日、三世竹本津太夫歿。○六月、陸路太夫二世竹本七五三太夫を相続。竹本叶太夫、竹本角太夫、鶴澤綱造出座。△同月、同座、「熊谷陣屋」の熊谷、「白石揚屋」の宗六、「新曲小鍛冶」の老翁実は稲荷明神。△七月一日より二十八日間、東京新橋演舞場に出勤。○同興行中竹本浜太夫、吉田文二郎応召、竹本織太夫応召即日帰郷。△八月一日より八日間、京都南座に出勤。△同月九日より六日間、名古屋御園座に出勤。〇九月、文字太夫六世竹本住太夫を相続。小松太夫三世豊竹つばめ太夫を相続出座。△同月、四ッ橋文楽座、「沼津」の重兵衛、「新作名和長年」の堯心、「引窓」の十次兵衛。〇十月、叶太夫七世竹本春太夫を、角太夫五世竹本重太夫を夫々相続。○同月、竹本摂津大掾二十五年追善興行。△同月、同座、「葛の葉手子れ」の狐葛の葉、「鰻谷」の八郎兵衛、「中将姫」の豊成。○同月四日、紀海音二百年忌法会を上本町六丁目宝樹寺にて施行。〇同月中、吉田文枝応召。△十一月、同座「鎌腹」の弥作、「賢女鑑」の春元。△十一月二十九日より十二月二十三日迄、東京新橋演舞場に出勤。 | |
昭和十七年(七十一歳) | 〇一月、二世豊竹古靱太夫文楽座櫓下となり、同月その披露興行。△同月、四ッ橋文楽座、「新曲末広加利」の太郎冠者、「熊谷陣屋」の熊谷、「炬燵」の治兵衛。〇二月、喜代之助五世野澤吉三郎を、文作四世桐竹亀松を夫々相続。△同月、同座、「絹川村」の佐々木高綱、「堀川」の与次郎、「新作国威は振ふ」の河野通有、陸軍大佐。〇三月、叶二世鶴澤清八を相続。△同月、同座、「合邦庵室」の合邦、「新作忠霊」の老翁、忠霊、○同月十三日、人形頭取吉田玉次郎歿。○同月二十三四両日、同座に於て因協会第一回技芸奨励会を開催。〇四月、さの太夫八世竹本文字太夫を、常子太夫三世竹本田喜太夫を夫々相続。吉田玉市人形頭取となる。△同月、同座、「新曲連獅子」の雄獅子、「千本桜」の権太、「新作水漬く屍」の母さく。○同月二十三日、七世野澤吉兵衛歿。〇五月、玉幸三世吉田玉助を相続。△同月、同座、「廿四孝三段目」の越路、「鬼界ケ島」の俊寛、「長局」の尾上。○同月二十六日、京都帝国大学文楽研究会にて「狐火」の八重垣姫を実演。〇六月、玉蔵四世吉田玉造を相続、△同月、同座、「勧進帳」の弁慶、「由艮湊千軒長者」の橋女。○六月二十二三両日、同座、因協会第二回伎芸奨励会。△七月一日より二十八目間、東京新橋演舞場に出勤。△八月五日よち六日間。大阪劇場「千本桜道行」特別上演にて狐忠信を勤む。△九月一日より六日間、京都南座に出勤。△同月十日より四ッ橋文楽座、「油屋」の貢、「新作土屋主税」の主税。○同月二十五六両日、同座、因協会第三回技芸奨励会。〇十月、吉左野澤松之輔と改名。鶴澤観西翁出座。△同月、同座、「新作出陣」の巴御前、「阿波十」の十郎兵衛。○同月二十六七両日、同座、因協会第四回技芸奨励会。〇十一月、勝平二世野澤喜左衛門を、勝芳二世野澤勝太郎を、綱延四世野澤錦糸を夫々相続。△同月、同座、「布引」の実盛、「新作出陣」の巴御前。○同月八日、十五日、二十二日、二十三日の四日間、技芸奨励昼間興行。○同月二十二日、近松門左衛門二百十九回忌法会を谷町寺町法妙寺にて施行。△十二月一日より二十七日間、東京新橋演舞場に出勤。△同月十七日、吉田幸三郎氏企画、横浜シネマに於て「冥途の飛脚淡路町」(金懐中に、より)をトーキー撮影、豊竹古靱太夫、鶴澤清六と共に吉田栄三出演。 | |
昭和十八年(七十二歳) | 〇一月、当月より昼夜二部興行。竹本浜太夫出座。△同月、四ツ橋文楽座、「新作小鍛冶」の老翁実は稲荷明神、「寺子屋」の松王丸。○同月十一日、七世竹本春太夫歿。△同月二十九日、昭和十七年度朝日文化賞、吉田栄三吉田文五郎に授与さる。○二月、吉季五世野澤市治郎を相続。△同月、同座、朝日文化賞受賞記念狂言「千本桜道行」の狐忠信、「沼津」の重兵衛。○同月二十七日、四世吉田玉造脳溢血にて倒る。〇三月、光之助三世吉田光造を相続。△同月、同座、「忠臣藏八段目」の戸無瀬、「新作偲ぶ悌」の母キミ刀自、「毛谷村」の六助。○同月二十日、桐竹紋之助応徴(後に応召)。○同月二十四日、二世豊澤新左衞門歿。〇四月、三瀧太夫二世竹本叶太夫を、友花五世鶴澤燕三を夫々相綾。△同月、同座、「新作佐藤兄弟の妻」の佐藤兄弟の母、「新口村」の孫右衞門。○同月十二日、吉田利男歿。○同月二十六日、岡島会館に於て因協会第五回技芸奨励会。△五月、四ツ橋文楽座、「岡崎」の政右衛門。○同月二十四日、竹本播磨少掾二百周忌法会を夕陽ケ丘天瑞寺にて施行。○同月二十七日、岡島会館、因協会第六回伎芸奨励会。△同月二十八九両日、朝日会館に於ける朝日文化賞受賞披露興行。「堀川」の与次郎、「千本桜道行」の狐忠信。〇六月、呂賀太夫豊竹松太夫と改名。△同月、四ッ橋文樂座、「葛の葉子別れ」の狐葛の葉。△七月一目より八月四日迄、東京新橋演舞場に出勤。△八月六日より十日間、名古屋御園座に出勤。△九月一日より十二日間、京都南座に出勤。△九月十五日より十二日間、神戸松竹劇場に出勤。○同興行中、吉田栄三郎応徴。△十月、四ツ橋文楽座、「新作出陣」の巴御前、「饅頭娘」の政右衞門。○同月中、豊竹松太夫応徴(後に応召)。〇十一月、吉田栄三郎出座。△同月、同座、「鬼界ケ島」の俊寛、「釣女」の太郎冠者。△十二月一日より二十七日間、東京新橋演舞場に出勤。○同月三目、二世吉田玉七歿。○同月七日、野澤市治郎応召。 | |
昭和十九年(七十三歳) | △一月、四ツ橋文楽座、「先代萩御殿」の栄御前、「合邦庵室」の合邦。○同興行中、竹本越名太夫、野澤勝太郎応徴(後に応召)。○同月、竹澤団六この月限りにて休座。△二月、同座、「河庄」の治兵衛、「忠臣藏九段目」の由良之助。○同月十三日、吉田兵次郎歿。△同月二十日、前年十二月新橋演舞場上演「加賀見山旧錦絵」に対し昭和十八年度情報局総裁賞を授与さる。○同月二十九日、竹本隅若太夫応徴。○時局急迫して前年十月よbこの月に至る五ケ月間に応召、応徴其他のため番附面より名を消したるもの前記のほか竹本播路太夫、竹本長尾太夫、竹本文字太夫、鶴澤友十郎、豊澤広若、竹本文太夫、豊竹伊勢太夫、豊澤広二、鶴澤一郎右衛門、鶴澤友三郎、竹澤団作、鶴澤清広、豊澤新太郎、・豊澤仙三郎、鶴澤友造、鶴澤徳若、鶴澤燕三等。〇三月、団伊三二世鶴澤友松を相続。△同月、同座、「廿四孝三段目」の越路。○同月三十一日、二世豊竹古靱太夫第三回帝国芸術院賞を授与さる。△四月、同座、「野崎村」の久作。○同月二十五日、吉田玉男応微(後に応召)。△五月、同座、「壺坂」の沢市。○同月一日、鶴澤清友入営(後に応微)。△六月、同座、「太功記尼ヶ崎」のさつき。○同月二十七日竹本谷太夫歿。△七月、同座、「油屋」の貢。○同月十三日、竹本織太夫応召。△八月、同座、「天王寺村」の兵助。△同月二十二日より六日間、神戸八千代劇場に出勤。○同月三十一日、豊竹つばめ太夫応召。△九月、、四ッ橋文楽座、「引窓」の十次兵衛。○同月二日、桐竹紋昇応召。△十月、同座、「新作雪解水」の郷助、「合邦庵室」の合邦。△十一月五日より五日間、神戸松竹劇場に出勤。△十一月十日より四ツ橋文楽座、「道明寺」の丞相。○同月二十八日、鶴澤道八歿。△十二月、同座、「佐太村」の白太夫。 | |
昭和二十年(七十四歳) | △一月、四ツ横文楽座、「寺子屋」の松王丸。○同月十一日、吉田小兵吉歿。△二月、同座、「熊谷陣屋」の義経、病気のため全興行中欠勤にて代役光造。〇三月八目、桐竹政亀歿。○同月十三日夜半より十四日暁にかけ大阪市街空襲のため四ツ橋文楽座炎上す。△同日、南区鰻谷東ノ町吉田栄三自宅も罹災、身を以て難を避け、奈良県生駒郡片桐村大字小泉なる住野英二氏方に仮寓す。○同月十七日、神戸市街空襲のため十一日初日にて文楽一座興行中の神戸松竹劇場炎上す。△六月三十日、妻柳本なか(通称うめ)京都にて歿(七十八歳)。○七月十日、鶴澤友平歿、〇七月十一日より十日間、大阪朝日会館に於て第一回復興文楽人形浄瑠璃公演。○同興行中桐竹亀松応召。△八月五日より十日間、同会館に於ける第二回復興公演に出勤。「熊谷陣屋』の義経。○九月、桐竹紋司出座。△九月一日より十六日間、京都南座に出勤。第一回「合邦庵室」の俊徳丸、第二回「先代萩御般」の栄御前、第三回「堀川」の与次郎(薄き親子の縁迄。あと代役光造)。△同月十九日より五日間、朝日会館に於ける第三回復興公演に出勤。「新口村」の孫右衛門(仏に嘘がつかれうかとどうとひれ伏し迄、あと代役玉市)。同興行中脚部灸痕化膿のため歩行困難を加へ、遂に二十三日の千秋楽一日を残して休演。〇十月、竹本隅右太夫、野澤市治郎、鶴澤一郎右衞門、桐竹亀松出座。○同月五日より八日間、朝日会館、第四回文楽人形浄瑠璃公演。○十一月竹本織太夫、竹澤団六、豊竹つばめ太夫、鶴澤友十郎、桐竹紋之助出座。○同月二日より六日間、朝日会館、第五回文楽人形浄瑠璃公演。○同月十六日より六日間、神戸八千代劇場にて興行。○同月二十八日、五世竹本重太夫歿。○十二月桐竹紋昇出座。○同月四日より六日間朝日会館、第六回文楽人形浄瑠璃公演。△同月九日、一世吉田楽[栄]三前記小泉にて歿(七十四歳)。法名清光院浄岳直路栄満居士。 |