はじめまして。 投稿者:青月@学生
投稿日: 1月 7日(日)17時59分06秒
浄瑠璃は全くの初心者です。
私は今絶滅しかけている動物について学んでいるのですが
(近々クラス発表する予定です。)
鯨のヒゲが浄瑠璃の人形を操るために
内部で使われているというのは本当ですか??
今でも使用されているのでしょうか??
また どうして糸ではダメだったんでしょう??
不躾にも初対面の方に質問するのをお許し下さい。
グローバリズムの虚偽 投稿者:勘定場 投稿日: 1月 7日(日)23時22分59秒
>青月@学生 さん
こういう質問こそお上がどう回答するか興味があるところです。
是非大阪日本橋の国立文楽劇場へ問い合わされることをおすすめします。
また、現在劇場内一階ロビーでは「文楽入門」なる展示が行われており、
文楽人形のかしらがどういうものかも一目瞭然だと思いますので、
百聞は一見に如かずということもあり、お出かけなさるのがよろしいでしょう。
初心者ということでしたら文楽人形がどういうものかもご承知ないかもしれませんし。
とはいえわざわざこの場へ書き込み下さったのですから、
私の手元にある資料でとりあえずお答えしておきます。
「仕掛け…彫りができ上がると、耳の前で前後二つに割り、中をくり抜き、仕掛けをほどこす。
仕掛けのバネは、昔からセミクジラの俗にヒゲとよばれる部分が使われている。
これまでも別のクジラのヒゲや金属も含めてだいようできるものがないか検討されてきたが、
遣ってみてのバネの具合や耐久性においてこれに勝る物はない。
近年の捕鯨禁止の影響で心配もされたが、幸い各地から良質のヒゲが集まり、
当面の用には足りる状況になった。」(『文楽ハンドブック』「人形・首(かしら)の出来るまで」)
要するにわざわざ鯨を殺してまで入手してるのではないのです。
むしろ一般的に不要とされていた部分に目を付けた先人の知恵に驚嘆するべきでしょう。
(そもそも今日のこの鯨をめぐる状況がどこから発生したかと言うと、
鯨から油を採るだけのために悪魔の如く乱獲の限りを尽くした連中が存在したからです。
奴等は他にも例えば先住民族を皆殺しに等しい状態にしておいて、
今になってその民族の少女を主人公にした作品を都合のいいようにでっち上げ、
すました顔で勝手に贖罪を企んだりしているのです。
この手合いがまた自然保護や人権侵害等の憲兵をもって自認しているというのですから…
こういう手合いをわが国では昔から「ならず者」と称しておりますが。)
なお、コミックではありますが、『美味しんぼ』13巻「激闘鯨合戦」も参照下さい。
まさに「鯨のヒゲが浄瑠璃の人形を操るために内部で使われている」ということが、
直接話題にのぼっていましたから。
以上簡単ではありますが御容赦願います。
青月@学生さんが公正で客観的な発表をなされることを切望いたします。
Thank you 投稿者:青月@学生 投稿日: 1月 8日(月)16時58分50秒
ご返答、本当にどうもありがとうございました。m(__)m
大変勉強になりました。
プレゼンテーションで是非使わさせて頂きます。
実はプレゼンテーションは明後日ですし
海外に住んでおりますので
国立文楽劇場まで赴くことは出来ずに本当に残念です。
しかし文楽人形は機会があれば是非一度観ておきたいと思っております。
鯨をヒゲを取る為だけに殺戮しているのではないと聞いて
ちょっと安心いたしました。
「日本は世界に東京のグルメなレストランに出すために
名目上は科学的なリサーチとしておきながら
600〜700頭のクジラを獲っている」
などという内容の新聞記事を見つけて失望していたところです。
もちろん日本捕鯨協会のHPでは否定してありましたが
それはこちらの新聞には載っていませんし
当事者ではない私にはどちらが正しいのか判断出来ません。。。
本当はガソリンや石炭という資源が
クジラの油よりも採りやすく燃費がよいため捕鯨をやめた国が
「クジラが頭のいい動物でそれを殺すのはとてもできないから捕鯨を止めた」
なんて卑劣極まりないですね。
更にBlueWhaleという本当に今日絶滅してもおかしくない鯨を
(もう世界中で900頭弱しか居ません。)
捕鯨することを先住民の人達には
自分達のしでかした事の尻拭いのために許可しているなんてっ。
もちろんこんな言い方をすれば
カナダですし非難を浴びないわけにはいきませんので
もう少し大人に回りくどい言い方でそれとなくほのめかす程度に留めるつもりです。
いささか口が過ぎました。
ご気分を害された方、非礼をお詫びいたしますと供に
これがあくまで青月個人としての意見である事をご理解願います。
鯨の「ヒゲ」 投稿者:天の山 投稿日: 1月 8日(月)21時13分57秒
青月さんの鯨の「ヒゲ」の件ですが、文楽のかしらだけでなく、時計のゼンマイや歌舞伎に出てくる差し金など、日本ではバネ代わりに 鯨の「ヒゲ」が使われていたということはよくききますが、一体鯨の「ヒゲ」というのは何処のことなのか、実は知りません。自分も手元の 本を繰ってみたのですが、宮尾しげをの「図説文楽人形」には鯨の歯を薄く削ったものが使われている云々と説明されています。これが 「ひげ」なのかしら?
もしご存知の方がおられましたらご教示ください。
くじらひげ 投稿者:ね太郎 投稿日: 1月 8日(月)22時38分02秒
くじらひげについては
http://www.geisya.or.jp/~sonics/sonics/kujira/zukan/hige.htm
ヒゲクジラ亜目の一覧については
http://svrsh1.kahaku.go.jp/list_html/html/family1.htm
が参考になります。
くじらひげは英語ではbaleenだそうです。
Backstage at Bunraku に大江巳之助さんがくじらひげを持っている写真が載っています。
"Whale baleen is the secret of the smooth nodding movements of puppet heads.
Minosuke Oe examines large pieces before cutting off a small strip
to use as a spring."
と説明がついています。
多謝感謝 投稿者:勘定場 投稿日: 1月 9日(火)13時28分15秒
>青月@学生 さん
貴方のように善意と想像力を持ち合わせた賢明な若者の存在に敬意を表します。
新世紀に対して凡そ明るいイメージなど抱くことの出来ない私でありますが、
貴方が当HPを訪問して下さり書き込みまでしていただいたことによって、
一筋の光明を見たような気がしています。
貴方の未来が輝かしいものであらんことを!
>天の山 様
鯨のヒゲについての御説大変参考になりました。
ありがとうございます。
>ね太郎 様
博覧強記、汗牛充棟のね太郎様、心強い限りであります。
これで青月@学生さんのプレゼンテーションも、鬼に鉄棒、釈迦に経、でありましょう。
まさしく、国性爺に甘輝の有るが如し、でございます。
氷解しました。 投稿者:天の山 投稿日: 1月 9日(火)07時01分18秒
ね太郎様、早速のご回答ありがとうございました。おかげさまで疑問が氷解しました。リンク先で「ヒゲ」と称する所以、また引用された 英文で宮尾しげをの言っていることがようやく理解できました。重ねて御礼申し上げます。
baleen 投稿者:ね太郎 投稿日: 1月 9日(火)17時54分55秒
くじらひげに関連の画像
ooe.jpg baleen.jpg baleen2.jpg
を御覧いただくとより理解しやすいのですが。
アドレスを直接お示しするわけにもいかないので、御推量ください。
鯨のひげ 投稿者:さるんど 投稿日: 1月12日(金)03時45分59秒
過去に金属でかしらの仕掛けを作ったことがあるそうです。
捕獲できない以上、代替品を考えねばなりませんから。
しかし、「かしらに魂がつたわらんのですわ」とある人形遣いの方は
言っておられました。金属は指の微細な動きをどうしても
伝えないのだそうです。芸のモジュールということかもしれません。
もちろん、私は人形を遣ったことがありませんから、
詳細はよく解りませんが。
それと現在、文楽が所有している鯨のひげは北海道か
どこかの網元がはるか昔に鯨を捕獲した
記念に所持していたひげを貰い受けて使用している筈です。
しかし、それも五十年分のストック程度といううろ覚えの
記憶もあります。こういうところから、滅びるかもしれません。
自然は本性 投稿者:勘定場 投稿日: 1月12日(金)11時52分14秒
>ね太郎 様
ご配慮感謝いたします。
>さるんど 様
人形遣いの生の発言、実に重みのあるものと存じます。
貴重な証言をその耳でお聞きになっての書き込み、
二重にも三重にもその価値は計りしれません。
鯨のヒゲとは自然と人間が共存していた証拠であるともいえましょう。
人形浄瑠璃では舞台の書き割りにも四季折々の風景が描かれていますが、
これが現代劇になると…
そういえば近代小説においても、情景描写や心象風景として、
日本の自然は確かに私たちの身近に共存していたのでした。
ところが最近流行の小説はどうでしょう、
ちっぽけな自我とその周辺が無機的に表現されているだけ。
閉鎖された上シールドまで貼られた窓からは、
外の風景など見えるはずもありますまい。
(いや、見る必要などないのかもしれませんが…)
そういう意味でも純日本文学は滅亡したということになりましょうか。
regarding to whale's baleen... 投稿者:青月@学生 投稿日: 1月12日(金)12時55分08秒
勘定場 様、天の山 様、さるんど様、ね太郎様
私のプレゼンテーションの為に
こんなに沢山資料を集めて下さって
本当に本当にありがとうございました。=)
私は日本人でありながらこのプレゼンテーションをするまで
捕鯨がまだ行われていることすら存じませんでした。
自分の国の事を知らないのは本当に恥ずかしい事だと思います。
とても反省しております。
此れを機に次回一時帰国した暁には
日本について学んできたいと思っております。
文楽も もう少し大人になってからになるとは思いますが
是非一度観てみたいです。
報告が遅れてしまいましたが
プレゼンテーションは無事終りまして
これから論文を書き上げて提出すれば終りです。
お世話になりました&お騒がせいたしました。m(__)m
彼岸と此岸 投稿者:勘定場 投稿日: 1月12日(金)22時20分23秒
>青月@学生 さん
プレゼンテーションは無事終わられたご様子、何よりでした。
一連の誠意ある言動にあらためて感じ入りました。
ちなみにこちらの話題と言えば、成人式に出席した若者の無礼極まりない言動云々という体たらく。
しかもそれに対する大新聞のコメントと来たら、知った顔のお抱え評論家によるステレオタイプ。
教育・若者といったキーワードで必ずリンクされるこの人物もまた陳腐この上なく、
逆にあなたが言われた「日本人でありながら」というフレーズの何と純粋で輝いていることか。
21世紀も未来も確かに存在するところには存在しているのでありますね。