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【 浄瑠璃と上方落語 】
私が文楽や歌舞伎を見始めたきっかけは落語でした。ことに上方落語はこれらの芸能とは深い関わりがありまして、
いわゆる「パロディーのおもしろさ」を本当の意味で楽しみたいというのが始まりでした。
以後、落語とともにこの2つの芸は私をとらえてはなさなくなってしまいました。
まぁ、ほんまもんを知らなくても楽しめることは楽しめるのでしょうが、
三人奴の「野崎村」や「酒屋」のおそののクドキの人形ぶりなどはやっぱり元ネタを知っていた方がおもしろいですわな。
芝居ネタにしても、浄瑠璃の心得のある人のものはやはり違います。
桂雀三郎という噺家の「蔵丁稚」、忠臣蔵四段目のまねを丁稚がするのですが、力弥のせりふが音を巧みに使ったもので実に結構でした。
「浄瑠璃息子」というネタでは全編浄瑠璃の寄せ集め、これはおもしろかったです。
弟弟子の文我は「どんぐり山どじょう庭訓 どんぶりこの段」という、「どんぐりころころ」を義太夫でかたるという芸をもったはります。
浄瑠璃のエッセンスのつまった、義太夫好きにはまったく感心する他はないものです。
提供者:三楽亭さん(1999.06.10)
僕も落語をよく聞いていた頃がありました。
浄瑠璃ネタの落語にどんなものを聞いたかなと思いまして、帳面を開いてみますと、
「素人浄瑠璃」「軒づけ」忠臣蔵ものでしたら「四段目」「七段目」、
僕は聞いたことが無いですけれども、「十段目」という噺があることを思い出しました。
確か、女好きの由良之助が、天川屋義平の女房の布団と間違えて(だったかな?)、
義平の布団の中に入って、ガサゴソやっているうちに、
たまらなくなった義平の一言、
「天川屋義平は男でござる」
こういう地味なネタが通用していた時代があったのですねえ。
提供者:東海さん(1999.06.11)
先日「ワッハ上方」の演芸ライブラリーで久しぶりに見た吉朝「七段目」(ビデオ)よかったです。
落語と芝居の両方がお好きなら、清水一朗「落語・歌舞伎あわせ鏡」 三一書房 一九九八 本体2,200円 がおすすめです。
落語と芝居の関係事典としても面白く、手元に置いて何度も読み返したい本です。
提供者:司馬伊さん(1999.06.12)
落語と浄瑠璃の話を楽しく拝見し,円生の掛取りや寝床を聴いた若かりし頃を思い出しています.
東京の落語にも浄瑠璃ネタはあるにはあるのでしょうが,むしろ歌舞伎ネタのほうが圧倒的に多く
浄瑠璃の本場上方の噺とは趣が違うように思います.
ところでさきごろ購入した「上方漫才黄金時代」(CD8枚,コロムビア)によれば
かつて(昭和30年代頃まで)は上方に義太夫漫才ともいうべきジャンルもあったそうで
その筆頭には五條家菊二・松枝らがあげられています.
このCDに収録された二人の「演芸押切帳」を聴くとなんともびっくりする面白さで浄瑠璃の裾野の広さを感じます.
提供者:雲居士さん(1999.06.13)
いわゆる江戸落語には上方から多くの落語が輸入されています。従って両者に同じ内容の演目が数多くあります。
もっとも、それぞれの風土と人間の気風の違いからそれぞれに差があります。
浄瑠璃を題材とした物としては<いわゆる「丸本歌舞伎」を扱った芝居ネタを省いて>
「軒付け」<「忠臣蔵」・五段目、「寺子屋」、「鎌倉三代記・三浦恩愛」「妹背山・姫戻り」、「朝顔日記」・大井川>
「寝床」<演者によってででくる浄瑠璃[外題だけですが]が違います。
「二八浄瑠璃」<「忠臣蔵」・六段目>
「菅原息子」<「寺子屋」>
「浄瑠璃息子」<とにかくたくさんの浄瑠璃の一節が出できます>
「住吉駕籠」<「酒屋」、枝雀演では「壺坂」>
「豊竹屋」<豊竹屋節右衛門と花林胴八、登場人物からしていかにもですね。>
「胴乱の幸助」<「帯屋」>
「堀川」<別名「猿回し」「近頃河原の達引」与次郎の猿回しのくだりのパロディが噺のしまいの部分で語られます。>
おもいつくままにあげましたが、他にもあると思います。
噺の一節にでてくるものとして
「不動坊」では廿四孝・十種香の{わたしも女と産まれたからは、こんな殿御と添い伏しの}、
「住吉駕籠」では同じく十種香の{頼むは濡衣さまさまと}など。
また、噺の中にもちょくちょく「浄瑠璃の会」というフレーズが登場します。
やはり大阪は「浄瑠璃の街」だったのですね。
三人奴の太棹をひいていた塚本やっこは、はじめは三味線を肩から下げて弾いていたらしいのですが
下座囃子の林家とみに注意を受け<一流の芸人のするやないというようなことを皮肉られたそうです。>
以後紐を下げずすこし膝をたてて弾くようになったそうです。死後、息子の小やっこもその形を踏襲していました。
三人奴も今年の1月にお母さんが死なはって、その後どうしているのでしょうか。
三味線栗毛でシャシャリコシャンシャン
提供者:三楽亭さん(1999.06.13)