編輯室の窓

文楽 2巻7号

  

 依然たる用紙難のため、二度目の合併号を出さねばならぬ破目になりました。この点、御賢察のうへ御諒承下さいますやうに−但し、この号も執筆者の顔ぶれとその内容とはこの種専門誌としては十分満足していただけるものと信じてゐます。特に今月は暑さの折柄、軽い読みものとして「夏の芝居ずいひつ」を特輯してみました。木村荘八氏、花柳章太郎氏、水原秋桜子氏いづれも随筆は余技ながら、然も今日の随筆家としては第一流の人達ばかりであること、ことさら御吹聴申上げるまでもありません。

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 山口広一氏の「梅玉芸談」は本誌の特別読みものとして相変らず好評をいただいてをりますが、これについては全国の愛好家からいろ/\具体的な注文や希望が来てゐますので、今月も八ぺージをこれに割きました。なほ渥美清太郎、大西利夫、栗林良一諸氏の鑑賞読本も若い読者層から大きい御支援を受けてをりますので、引続き連載して立派な定本にいたすつもりでゐます。

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 この編輯室ば南側を道一つ距てゝ松坂屋百貨店に接してゐるお蔭で、強い夏の日射しは避けられますが、そのかはりまた一陣の涼風も見舞つてくれません、そのうだるやうな暑さの中で、店主の今井龍雄氏指揮のもとに福原、安達、宇野、川崎の編輯同人連が割つけや校正や、それに数ぎから次ぎへと切れ目のない雑用に追はれてゐます。でも、みんなそれが楽しいらしいんです。なにがそれほど嬉しいかといつた顔でハリ切つてゐます。

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 先月、この欄で申上げましたので、月極読者が急増しました。なほ引続き御愛読の皆さんは購読費概算(一ケ年百二十円、半年六十円)を直接発行所へ御送金(小為替)願上ます。右、重ねて(G)