竹本 津賀二

   
   
 
今や女義太夫真打以外の花方を算へ来れば、先以て竹本津賀二嬢に拇指を屈せざるを得ず、嬢は素と竹本津賀太夫の門に出で、一意その薫陶に随ひ熱心励む所あり、その風姿の優しき伴ふて語物も多く艶物に聴くべきものあり、三勝酒屋、野崎村、鈴ヶ森、白石揚屋などは頗る得意に見ゆ、その他、小牧山城中、合邦住家の如き一聴の価ひなきにあらねど総じて腹切手負ものは今一段の修業を要す、嬢よ幸ひに怠るなく前途遙けき芸道を辿りて早や/\真打の都へ達したまへ
【義太夫雑誌36:12評判】