竹本 東菊
竹本東玉の門に身を起し出席の日未だ甚だ深からざるも今や満都の堂摺連社会に花方として持囃され掛持ち席にまで追跡し来る聴客、書生連は優に十中の七を占むる有様、宛かも前年代の竹本兼花たるの観あり、是が全盛を徒らに羨望する口語り女義少からさるは兎に角、嬢の身に取りて幸福(しあわせ)と云べきなり、去乍ら此少成の全盛に安んせず、進んで看牌主の大文字を全都に輝かし、嘗て嬢が贔屓客より贈られし比羅(びら)の神芸を示す所あれ
【義太夫雑誌48:16評判】