竹本 素雪
素行か両手の桃桜、其一なる素秋は既に前号の誌上に花を彩り、今又一なる花方の素雪(そせつ)、雑誌と倶に開き見(まみ)えて茲に花実(くわじつ)の両全(まつた)き観あり、嬢は明治廿九年六月始めて素行の門に投じ、翌年十二月素雪と名乗り師の一座に加へられて宮松亭に顕はれ素六の絃にて日吉丸三段目を語りたるが初席にて爾後打ち廻る客席に花方として好評をなしつゝあり師の傍ら曩(さき)には和国翁に学び目下は龍造に修む、其語物中大江山松太夫住家は尤も素行の面影を写し得たりとの好評あり其他忠六、新口村寺亦聴くへきものなり、
【義太夫雑誌48:16-17評判】