竹本 七五三太夫
越路太夫門中の売出し文楽座の花方として評判よき丈が伎芸の短評は別欄に記したるが、今丈の略歴を紹介せんに、丈は幼(いとけなき)より越路太夫の門に入り十五才にして始めて太夫となりて文楽座に出勤したるが、其齢の十五に因みて七五三太夫とは名付られぬ、後十九才にして初めて上京し故竹本津賀太夫一座に加はりて都下各席に出勤せしが都合ありて一度柴太夫と名乗り五年を経て帰坂し同地稲荷座に出勤後又重太夫と名乗りて九州地方へ赴き、帰阪後文楽座に在りしが本年一月上京して神田錦輝館に出席せり丈が得意物として好評ある語物は合邦、鮓屋、太十、布四等なり
【義太夫雑誌 51:14面影抄】