竹本 政一

   
   
 
竹本小政の門中にて克(よ)く師に従ひて芸道精修の評ある嬢は十四歳の頃より夙に師の一座に出席し語る処の地位未だ高からざるも沈着(おちつき)たる芸品は何となく其性行をも写したりとも謂ふべく、ドウスル連手拍子党に浮かれ噪がれ有ぬ噂を唄はれ易きか常なる齢(とし)なるにも拘らず、師の小政に能く似て浮きたる風に染まぬは年うら若き女義太夫中稀に見る所と謂ふべし、鳴戸、中将姫、紙治、御殿、恋十の如きは嬢か語り物中の稍々世に称せらるゝもの一聴耳を傾くるの価はありとは雖も惜むらくは嬢やや元来声源豊かならざれば時に甚た聴き苦しきものあるは是非なき事ながら修芸怠らざれば進んで深高の地位に達する事決して望外の望にあらず勉めよや政一嬢
【義太夫雑誌41:21評判】