竹本 小政

 
年齢(ねんし)四旬許り容貌体度瀟洒たり声朗かにして玉の盤上を走るが如く徐々語り行きて毫も渋滞なく軽(かろ)く体(たい)を動かすに連れて楽々と声の回るは感心なり男よりは女に向きのよき芸風よく云はゞ軽妙わるく云はゞ貫目なくして張合なし余り綺麗すぎて勢ひ余情に乏しきは是非もなし夕霧伊左衛門、中将姫雪責、お俊伝兵衛堀川、二十四孝四ツ目、染分手綱子別れ等は何れも其長処とす此丈また欷歔(すゝりなき)に巧みにして芸の六分は之に力あり本姓は八幡その名は政(まさ)といふ
【義太夫雑誌2巻1:17評判】