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【 1巻4号 編輯後記 】

 
編輯後記
marionnette 1巻 p128 1930.10.20
 
 第一期終刊号の巻頭を、犀利なる考察に透徹せる土田氏の評論をもつて飾り得た事は無上の喜びである。数十年の実験的研究に基く石井氏の考証も有難い。唯私の見聞の狭少の為に河口氏に御迷惑をかける結果となつた事を深く詫び申上げる。公人としての私の立場を御了察寛恕を乞ふ。会員からは慶大仏文科教授高橋氏と新中堅詩人竹中久七氏の尖鋭な評論を得た。予告どほり本号は会員諸兄の研究で特輯したく、数十名の方に依頼し、集つた原稿は出来るだけ増頁して掲載する予定だつたが、締切日を数日延引させても、尚届かなかつたのは残念である。第二期からはもつと遠慮なく各自の研究を下さる事を切望してゐる。拙誌は会員の真摯なる研究を中心として進展してゆきたい。
 尚、第一期中拙誌に掲戴して高教を受け得なかつたのは残念であるが、執筆を予約下すつた方に、木下杢太郎氏、小宮豊隆氏、島文次郎博士、新村出博士、柳田国男氏鳥居龍蔵博士、山本修二氏、畑耕一氏、稲垣タルホ氏、萩原朔太郎氏、三宅周太郎氏、木谷蓬吟氏、小沢愛圀氏永田龍雄氏,中村吉蔵氏、等の先輩がある。芳名を敢て列記して尊い記録としておく。