出世景清 | しゆつせかげきよ | 近松門左衛門 | 貞享3.2 [2年] | 竹本 | 近松義太夫提携第一作。九世団十郎が改作上演 |
松風村雨束帯鑑 | まつかぜむらさめそくたいかがみ | 近松門左衛門 | 元禄7.3 [宝永4後半] | 竹本 | 行平と松風村雨の情話。大切に狂言の「靭猿」 |
釈迦如来誕生会 | しやかによらいたんじやうゑ | 近松門左衛門 | 元禄8.4 [正徳4秋以前] | 竹本 | 釈迦誕生より涅槃まで。壇特山と槃特の件名高し |
当流小栗判官 | たうりうをぐりはんぐわん | 近松門左衛門 | 元禄11.2 [正徳4.9以前] | 竹本 | 小栗判官の受難、照手姫の辛苦。伊井が演じた事あり。 |
源氏烏帽子折 | げんじえぼしをり | 近松門左衛門 | 元禄12.1 | 竹本 | 常盤御前大和落より牛若元服まで。一中節「妹が宿」原作 |
道中評判敵討 | だうちうひやうばんのかたきうち | 不詳 | 元禄15.9 | 竹本 | 前年行はれた石井兄弟亀山の仇討を脚色した最初の作 |
最明寺殿百人上臈 | さいみやうじどのひやくにんぢやうらう | 近松門左衛門 | 元禄16.3 | 竹本 | 時頼発心、女鉢の木。月小夜嫉妬の件は歌舞伎で上演 |
曾根崎心中 | そねざきしんぢう | 近松門左衛門 | 元禄16.5 | 竹本 | 四月にありしお初徳兵衛の情死を脚色。お初徳兵衛の嚆矢 |
薩摩唄 | さつまうた | 近松門左衛門 | 宝永1.1 | 竹本 | 芝居で小万源五兵衛の嚆矢。西鶴の五人女と同じ材料 |
雪女五枚羽子板 | ゆきをんなごまいはごいた | 近松門左衛門 | 宝永2.7 [5.1] | 竹本 | 赤松満祐の謀反、藤内兄弟の忠義。帝劇で演じた事あり |
心中二枚絵草紙 | しんぢゆうにまいゑざうし | 近松門左衛門 | 宝永3.3 [3.1] | 竹本 | 天満屋お島と市郎右衛門の情死。帝劇で演じた事あり。 |
碁盤太平記 | ごばんたいへいき | 近松門左衛門 | 宝永3.5 | 竹本 | 赤穂義士劇の嚆矢。大星閑居と討入。鴈治郎改訂上演 |
緋縮緬卯月紅葉 | ひぢりめんうづきのもみぢ | 近松門左衛門 | 宝永3 [夏] | 笠屋与兵衛と妻お亀の情死。お亀与次兵衛劇の嚆矢 | |
堀川波の鼓 | ほりかはなみのつゞみ | 近松門左衛門 | 宝永4.2 [3後半] | 竹本 | 宝永三年実在の小倉彦九郎女敵討を脚色。歌舞伎に入る |
酒呑童子枕言葉 | しゆてんどうじまくらのことのは | 近松門左衛門 | 宝永4.9 [7.5以前] | 竹本 | 頼光大江山の鬼退治。歌舞伎四天王物原拠。一中節原作 |
心中重井筒 | しんぢうかさねゐづゝ | 近松門左衛門 | 宝永4冬か | 竹本 | 宝永元年のお房徳兵衛情死を脚色。同題狂言の嚆矢 |
椀久末松山 | わんきうすゑのまつやま | 紀海音 | 宝永5.3 [7.4以前] | 豊竹 | 実在の椀屋久兵衛狂乱を脚色原作。歌舞伎に移入 |
心中万年草 | しんぢうまんねんぐさ | 近松門左衛門 | 宝永5.4 [7.4] | 竹本 | 高野山小姓粂之助とお梅の情死。帝劇で上演した事あり |
待夜小室節 | まつよのこむろぶし | 近松門左衛門 | 宝永5か [4末] | 竹本 | 丹波与作と関の小万。重の井子別れ原作。歌舞伎に入る |
傾城反魂香 | けいせいはんごんかう | 近松門左衛門 | 宝永5か | 竹本 | 狩野四郎次郎と遠山、不破名古屋。吃又平の原作 |
淀鯉出世瀧徳 | よどこひしゆつせのたきのぼり | 近松門左衛門 | 宝永5か | 竹本 | 淀屋辰五郎欠所事件を脚色。左団次が上演せし事あり |
五十年忌歌念仏 | ごじふねんきうたねんぶつ | 近松門左衛門 | 宝永6.1 [4.7以前] | 竹本 | お夏清十郎追善狂言。同題書替物の原拠。一中節原作 |
今宮の心中 | いまみやのしんぢゆう | 近松門左衛門 | 宝永7.1 [正徳1夏] | 竹本 | おきさ次郎兵衛情死を脚色。歌舞伎へ移入。伊井も上演 |
孕常盤 | はらみときは | 近松門左衛門 | 宝永7.8 | 竹本 | 牛若弁慶五条橋。矢矧の里。左団次が明治座で上演 |
冥土の飛脚 | めいどのひきやく | 近松門左衛門 | 正徳1.3 | 竹本 | 梅川忠兵衛の封切より新口村。同題書替の原作。歌舞伎移入 |
吉野都女楠 | よしのゝみやこをんなくすのき | 近松門左衛門 | 正徳1.9 [宝永7] | 竹本 | 小山田が義貞身替。正行教訓。「女楠」と「求女塚」の原作 |
夕霧阿波鳴渡 | ゆふぎりあはのなると | 近松門左衛門 | 正徳1末か [2初春] | 竹本 | 夕霧伊左衛門吉田屋より夕霧の死まで。「廓文章」原作 |
嫗山姥 | こもちやまうぱ | 近松門左衛門 | 正徳2.7 | 竹本 | 荻の家八重桐、公時の生立、四天王。早くより歌舞伎に入る |
長町女腹切 | ながまちをんなはらきり | 近松門左衛門 | 正徳2か [秋] | 竹本 | 叔母が甥の為に腹切の事件。お花半七物の嚆矢。歌舞伎移入 |
天神記 | てんじんき | 近松門左衛門 | 正徳3.2 [4.1] | 竹本 | 菅公配流。十六夜忠死。義太夫物が歌舞伎移入の嚆矢か |
粲静胎内捃 | ふたりしづかたいないさぐり | 近松門左衛門 | 正徳3か [閏5] | 竹本 | 堀河夜討。大津次郎の忠義。静の難儀。「安宅関」原作 |
傾城三度笠 | けいせいさんどがさ | 紀海音 | 正徳3.10 | 豊竹 [曾根崎新地] | 同材異作の梅川忠兵衛。現菊五郎が改訂上演した事あり |
鬼鹿毛無佐志鐙 | おにかげむさしあぶみ | 紀海音 | 正徳3.12 [宝永7秋] | 豊竹 | 小栗判官に世界を拵へし赤穂義士劇。歌舞伎より改作 |
相撲入道千疋犬 | さがみにふどうせんびきいぬ | 近松門左衛門 | 正徳4.4 | 竹本 | 高時に准へて犬公方を脚色。安東聖秀切腹。歌舞伎移入 |
大経師昔暦 | だいきやうじむかしごよみ | 近松門左衛門 | 正徳5春 | 竹本 | おさん茂兵衛姦通事件。歌舞伎移入。同材書替の原作 |
生玉心中 | いくたましんぢゆう | 近松門左衛門 | 正徳5.8 [5.5] | 竹本 | 柏屋おさが茶碗屋嘉平次情死。羽左衛門演じた事あり |
国性爺合戦 | こくせんやかつせん | 近松門左衛門 | 正徳5.11 | 竹本 | 和藤内の事蹟。三ヶ年続演。早くより歌舞伎へ入る |
国性爺後日合戦 | こくせんやごにちかつせん | 近松門左衛門 | 享保2.2 | 竹本 | 国性爺、台湾へ渡つての後日。左団次明治座にて演じたり |
槍の権三重帷子 | やりのごんざかさねかたびら | 近松門左衛門 | 享保2.8 | 竹本 | 笹野権三とお才の姦通事件を脚色。同材書替狂言原作 |
寿門松 | ねびきのかどまつ | 近松門左衛門 | 享保3.1 | 竹本 | 吾妻与次兵衛、難与平。歌舞伎移入。同材書替狂言原作 |
日本振袖始 | につぽんふりそではじめ | 近松門左衛門 | 享保3.2 | 竹本 | 簸の川上にて大蛇を退治の件。早くより歌舞伎に移入 |
曾我会稽山 | そがくわいけいざん | 近松門左衛門 | 享保3.7 | 竹本 | 曾我討入当日の朝より夜中まで。明治中期に歌舞伎へ入る |
傾城酒呑童子 | けいせいしゆてんどうじ | 近松門左衛門 | 享保3.10 | 竹本 | 本年九月の茨木屋幸齋事件を脚色。大正度歌舞伎へ入る |
博多小女郎浪枕 | はかたこぢよらうなみまくら | 近松門左衛門 | 享保3.11 [3.12] | 竹本 | 本年十月の抜荷買一件を脚色。毛剃と宗七。早く歌舞伎へ入 |
本朝三国志 | ほんてうさんごくし | 近松門左衛門 | 享保4.2 | 竹本 | 光秀謀反、山崎合戦より朝鮮征伐迄。太閤記物の原拠となる |
平家女護島 | へいけによごのしま | 近松門左衛門 | 享保4.8 | 竹本 | 俊寛鬼界ヶ島、常盤牛若旗揚。早くより歌舞伎に移入さる |
双生隅田川 | ふたごすみだがは | 近松門左衛門 | 享保5.8 | 竹本 | 梅若松若猿島惣太。歌舞伎の「角田川物」「法界坊」等の原拠 |
心中天網島 | しんぢゆうてんのあみじま | 近松門左衛門 | 享保5.12 | 竹本 | 本年十月の小春治兵衛情死を脚色。同材書替狂言の原作 |
女殺油地獄 | をんなころしあぶらぢごく | 近松門左衛門 | 享保6.7 | 竹本 | 河内屋与兵衛のお吉殺し大正期に歌舞伎に入り評判になる |
信州川中島合戦 | しんしうかはなかじまかつせん | 近松門左衛門 | 享保6.8 | 竹本 | 甲越軍記。輝虎配膳と勘助母の死。早くより歌舞伎に入る |
心中宵庚申 | しんぢゆうよひかうしん | 近松門左衛門 | 享保7.4 | 竹本 | 前年実在のお千代半兵術情死を脚色。同材書替狂言の原作 |
大塔宮曦鎧 | おほたふのみやあさひのよろひ | 近松門左衛門 | 享保8.2 | 竹本 | 斎藤太郎左衛門身替り音頭。早くより歌舞伎に移入さる |
関八州繋馬 | くわんはつしうつなぎうま | 近松門左衛門 | 享保9.1 | 竹本 | 近松絶筆。相馬良門謀反。前太平記物歌舞伎の粉本となる |
昔米万石通 | むかしごめまんごくどほし | 西沢一風 | 享保10.1 | 豊竹 | 長吉長五郎廓の達引。同材狂言の原拠、双蝶々の原作 |
大内裏大友真鳥 | だいだいりおほとものまとり | 竹田出雲 | 享保10.9 | 竹本 | 大友真鳥謀反、助八の身替り。早くより歌舞伎に移入さる |
北条時頼記 | ほうでうじらいき | 西沢一風 | 享保11.4 | 豊竹 | 時頼発心。女鉢の木の件だけは早く歌舞伎に入り行はる |
敵討御未刻太鼓 | かたきうちおやつのたいこ | 長谷川千四 | 享保12.1 | 竹本 | 貞享四年磯貝父子御堂前仇討を脚色。同材書替狂言の原作 |
加賀国篠原合戦 | かゞのくにしのはらかつせん | 竹田出雲 | 享保13.5 | 竹本 | 義仲と巴御前白髪の実盛。早く歌舞伎移入。近江のお兼原作 |
京土産名所井筒 | きやうみやげめいしよゐづゝ | 長谷川千四 | 享保14.11 | 竹本 | 古今彦葱と花屋惣八。同材書替狂言原拠。歌舞伎に入る |
三浦大助紅梅靮 | みうらのおほすけこうばいのたづな | 長谷川千四 | 享保15.2 | 竹本 | 石橋山の戦、三浦大助戦死。石切梶原の原作、歌舞伎移入 |
須磨都源平躑躅 | すまのみやこげんべいつゝじ | 文耕堂 | 享保15.11 | 竹本 | 扇屋熊谷の原作、鷲尾三郎閑居。早くより歌舞伎移入 |
鬼一法眼三略巻 | きいちはふげんさんりやくのまき | 文耕堂 | 享保16.9 | 竹本 | 弁慶生立、大蔵卿.早く歌舞伎に入り菊畑最も行はる |
壇浦兜軍記 | だんのうらかぶとぐんき | 文耕堂 | 享保17.9 | 竹本 | 景清の復讐談。阿古屋の琴責は早くから歌舞伎に移入さる |
車還合戦桜 | くるまがへしかつせんざくら | 文耕堂 | 享保18.4 | 竹本 | 正成死後の南北朝。大森彦七佯狂の件は早くより歌舞伎に入 |
那須与市西海硯 | なすのよいちさいかいすゞり | 並木宗助 | 享保19.8 | 豊竹 | 那須与市と宗清の義理譚。早く歌舞伎に入り乳母争ひ有名 |
芦屋道満大内鑑 | あしやだうまんおほうちかゞみ | 竹田出雲 | 享保19.10 | 竹本 | 葛の葉子別れ。改訂物ながら好評、歌舞伎でも流行作の一となる |
南蛮鉄後藤目貫 | なんばんてつごとうのめぬき | 並木宗助 | 享保20.2 | 豊竹 | 大坂陣を仮作。後の「義経腰越状」五斗の鉄砲は歌舞伎で流行 |
苅萱桑門筑紫𨏍 | かるかやどうしんつくしのいへづと | 並木宗助 | 享保20.8 | 豊竹 | いもり酒と石童丸別れ。早くより歌舞伎に入り今に伝はる |
和田合戦女舞鶴 | わだかつせんをんなまひづる | 並木宗助 | 元文1.3 | 豊竹 | 和田北条の争ひ。早く歌舞伎に入り板額門破りの件名高し |
敵討襤褸錦 | かたきうちつゞれのにしき | 文耕堂 | 元文1.5 | 竹本 | 歌舞伎「非人仇討」の人形化。逆輸入して大晏寺堤の件今流行 |
御所桜堀河夜討 | ごしよざくらほりかはようち | 文耕堂 | 元文2.1 | 竹本 | 土佐坊と堀河夜討。藤弥太と弁慶上使は早くより歌舞伎に入 |
釜淵双級巴 | かまがふちふたつどもゑ | 並木宗助 | 元文2.7 | 豊竹 | 石川五右衛門釜入。歌舞伎に入り他作と混合、今に行はる |
太政入道兵庫岬 | だじやうにふだうひやうごのみさき | 竹田小出雲 | 元文2.10 | 竹本 | 兵庫築島の物語。寺子屋甚内と教経裁判の件歌舞伎で有名 |
行平磯馴松 | ゆきひらそなれのまつ | 文耕堂 | 元文3.1 | 竹本 | 松風村雨と海女小藤。歌舞伎移入。踊「浜松風」は此大詰なり |
小栗判官車街道 | をぐりはんぐわんくるまかいだう | 文耕堂 | 元文3.8 | 竹本 | 小栗と照手姫。早く歌舞伎に入り太郎人形廻しの件名高し |
茜染野中の隠井 | あかねぞめのなかのこもりゐど | 原田由良助 | 元文3.10 | 豊竹 | 梅の由兵衛長吉殺し。聚楽町の件は早く京坂歌舞伎に入る |
ひらがな盛衰記 | ひらがなせいすゐき | 文耕堂 | 元文4.4 | 竹本 | 先陣問答、逆櫓、梅ヶ枝。歌舞伎に早く入り大いに行はる |
鶊山姫捨松 | ひばりやまひめすてまつ | 並木宗輔 | 元文5.2 | 豊竹 | 中将姫雪責。早く歌舞伎に入り、明治期には改作上演さる |
今川本領猫魔館 | いまがはほんりやうねこまたやかた | 文耕堂 | 元文5.4 | 竹本 | 今川了俊猫騒動。歌舞伎に入り、同材狂言に影響を多く与ふ |
新薄雪物語 | しんうすゆきものがたり | 文耕堂 | 寛保1.5 | 竹本 | 三人笑と鍛冶屋。早く歌舞伎に入り評判。改作狂言数種あり |
播州皿屋敷 | ばんしうさらやしき | 為永太郎兵衛 | 寛保1.7 | 豊竹 | 青山鉄山のお菊殺し。歌舞伎に入つて東西に改作数多あり |
田村麿鈴鹿合戦 | たむらまろすゞかかつせん | 浅田一鳥 | 寛保1.9 | 豊竹 | 田村麿鬼神退治阿漕の平次の件は早く歌舞伎に入り行はる |
花衣いろは縁起 | はなごろもいろはえんぎ | 三好松洛 | 寛保2.2 | 竹本 | 玄恕上人事蹟。昔は鷲の段など歌舞伎でも大流行したもの |
男作五雁金 | をとこだていつゝかりがね | 竹田出雲 | 寛保2.7 | 竹本 | 雁金文七等五人男の暴行事件。歌舞伎に入り改作沢山あり |
入鹿大臣皇都諍 | いるかだいじんみやこあらそひ | 竹田出雲 | 寛保3.4 | 竹本 | 入鹿征伐の三人片輪。歌舞伎に入つて「庭訓妹脊山実記」 |
丹州爺打栗 | たんしうてゝうちぐり | 竹田出雲 | 寛保3.5 | 竹本 | 白髪の金時。早く歌舞伎に入り稽古所と足柄山の場は有名 |
久米仙人吉野桜 | くめのせんにんよしのざくら | 為永太郎兵衛 | 寛保3.8 | 豊竹 | 久米の王子と太子傅。歌舞伎の「鳴神」を其まゝ取入れたり |
児源氏道中軍記 | ちこげんじだうちうぐんき | 竹田出雲 | 延享1.3 | 竹本 | 牛若の生立。早く歌舞伎に入り殊に熊坂山中屋の場有名 |
潤色江戸紫 | じゆんしよくえどむらさき | 為永太郎兵衛 | 延享1.4 | 豊竹 | お七吉三の情話。中に江戸歌舞伎矢の根奏入れたるが有名 |
軍法富士見西行 | ぐんぱふふじみさいぎやう | 並木千柳 | 延享2.2 | 竹本 | 西行義仲へ諌言。松並靱負忠義。早く歌舞伎に入り行はる |
夏祭浪花鑑 | なつまつりなにはかゞみ | 並木千柳 | 延享2.7 | 竹本 | 歌舞伎の「宿無団七」より暗示を得た作。歌舞伎でも大流行 |
楠昔噺 | くすのきむかしばなし | 並木千柳 | 延享3.1 | 竹本 | 五節句に分けたる楠公の忠義譚。どんぶらこの件歌舞伎移入 |
菅原伝授手習鑑 | すがはらでんじゆてならひかゞみ | 竹田出雲 | 延享3.8 | 竹本 | 菅公伝。直ちに歌舞伎に入つて大流行を極め今猶行はる |
義経千本桜 | よしつねせんぼんざくら | 竹田出雲 | 延享4.11 | 竹本 | 義経記の名作。直に歌舞伎に入つて流行を極め今猶行はる |
容競出入湊 | すがたくらべでいりのみなと | 並木丈輔 | 寛延1.1 | 豊竹 | 歌舞伎の黒船忠右権門奄改作。逆輸入して大に行はる |
東鑑御狩巻 | あづまかゞみみかりのまき | 並木丈輔 | 寛延1.7 | 豊竹 | 曾我物。早く歌舞伎に入り朝比奈大藤内の件殊に有名 |
仮名手本忠臣藏 | かなでほんちうしんぐら | 竹田出雲 | 寛延1.8 | 竹本 | 上演中直に三都及伊勢の歌舞伎に入り第一の独参湯劇となる |
摂州渡辺橋供養 | せつしうわたなべはしくやう | 並木丈輔 | 寛延1.11 | 豊竹 | 宗盛熊野と袈裟盛遠。其まゝ歌舞伎に入り又改作さる |
八重霞浪花浜荻 | やへがすみなにはのはまをぎ | 並木丈輔 | 寛延2.3 | 豊竹 | 三月実在のかしく兄殺しを脚色。同材書替狂言の原作 |
双蝶々曲輪日記 | ふたつてふ/\くるわにつき | 竹田出雲 | 寛延2.7 | 竹本 | 長吉長五郎の達引。歌舞伎に入り無数の書替狂言を生む |
日蓮記児硯 | にちれんきちごすゞり | 並木宗輔 | 寛延2.10 | 肥前 | 勘作住家七里姫。歌舞伎の日蓮記各種書替狂言の原本 |
物ぐさ太郎 | ものぐさたらう | 浅田一鳥 | 寛延2.11 | 豊竹 | 不破名古屋と千の利休。歌舞伎に入り明治前まで流行す |
源平布引瀧 | げんぺいぬのびきのたき | 並木千柳 | 寛延2.11 | 竹本 | 実盛物語と松浪琵琶。歌舞伎に早く入つて現時猶行はる |
玉藻前曦袂 | たまものまへあさひのたもと | 浪岡橘平 | 宝暦1.1 | 豊竹 | 玉藻前妖狐と鷲塚金次。歌舞伎に入つて書替を生む |
恋女房染分手綱 | こひにようばうそめわけたづな | 吉田冠子 | 宝暦1.2 | 竹本 | 近松「小室節」増補。歌舞伎の流行物として大いに行はる |
一谷嫩軍記 | いちのたにふたばぐんき | 並木宗輔 | 宝暦1.12 | 豊竹 | 熊谷の須磨浦と陣屋。歌舞伎に入つて熊谷劇の定本と成 |
伊達錦五十四郡 | だてにしきごしふしぐん | 竹田外記 | 宝暦2.11 | 竹本 | 奥州平泉の義経。錦戸兄弟士農工商の場歌舞伎に名高し |
倭仮名在原系図 | やまとがなありはらけいづ | 浅田一鳥 | 宝暦2.12 | 豊竹 | 蘭平物狂と飛脚忠次の場、歌舞伎に名高く踊ともなる |
愛護若名歌勝鬨 | あいごのわかめいかのかちどき | 竹田外記 | 宝暦3.5 | 竹本 | 愛護若同種劇の中の白眉。歌舞伎にも入つて有名なり |
相馬太郎莩文談 | さうまたらうめばえぶんだん | 並木永輔 | 宝暦4.2 | 豊竹 | 将軍太郎良門の謀反。江戸歌舞伎の顔見世狂言に書替多し |
小野道風青柳硯 | おのゝだうふうあおやぎすゞり | 竹田出雲 | 宝暦4.10 | 竹本 | 道風蛙と良実の内有名。歌舞伎に入つて現在まで伝はる |
姫小松子日廼遊 | ひめこまつねのひのあそび | 吉田冠子 | 宝暦7.2 | 竹本 | 女俊寛と俊寛洞ヶ嶽物語。明治前まで歌舞伎で毎年上演 |
薩摩歌妓鑑 | さつまうたげいこかゞみ | 吉田冠子 | 宝暦7.9 | 竹本 | 小万源五兵衛へ曾根崎五人斬を持込む。歌舞伎に影響あり |
祇園祭礼信仰記 | ぎをんさいれいしんかうき | 中邑阿契 | 宝暦7.12 | 豊竹 | 松永久秀と秀吉。早く歌舞伎に入り是齋屋金閣寺有名 |
敵討崇禅寺馬場 | かたきうちそうぜんじばゞ | 竹田小出雲 | 宝暦8.3 | 竹本 | 遠城兄弟崇禅寺馬場。歌舞伎に入つて特に多く行はる |
日高川入相花王 | ひだかがはいりあひざくら | 竹田小出雲 | 宝暦9.2 | 竹本 | 安珍清姫道成寺と将門記。歌舞伎に改作大いに行はる |
大平記菊水廼巻 | たいへいききくすゐのまき | 竹田小出雲 | 宝暦9.9 | 竹本 | 南北朝に准へし慶安太平記。歌舞伎に移入、同材の原本 |
極彩色娘扇 | ごくさいしきむすめあふぎ | 二歩堂 | 宝暦10.7 | 竹本 | お夏清十郎と朝比奈藤兵衛。盲目兵助の件歌舞伎移入 |
祇園女御九重錦 | ぎをんにようごこゝのへにしき | 若竹笛躬 | 宝暦10.12 | 豊竹 | 清盛生立と棟の由来。早く歌舞伎に入つて書替狂言あり |
由良湊千軒長者 | ゆらのみなとせんげんちやうじや | 竹田小出雲 | 宝暦11.5 | 竹本 | 三荘太夫劇の中で最も行はれ歌舞伎へも早く移入された |
岸姫松轡鑑 | きしのひめまつくつわかゞみ | 豊竹応律 | 宝暦12.4 | 豊竹 | 巴御前、齋藤五郎、順礼おそよ。歌舞伎にも飯原館行はる |
奥州安達原 | あうしうあだちがはら | 竹田和泉 | 宝暦12.9 | 竹本 | 前九年合戦後の貞任兄弟と義家。歌舞伎でも流行曲の一 |
天竺徳兵衛郷鏡 | てんぢくとくべゑさとのすがたみ | 近松半二 | 宝暦13.4 | 竹本 | 天竺徳兵衛蟇の妖術。鶴屋南北の天徳の原本となる |
傾城阿古屋の松 | けいせいあこやのまつ | 近松半二 | 明和1.1 | 蛭子屋 | 景清と維盛。黙阿弥「音駒山守護源氏」の原作なり |
嬢景清八島日記 | むすめかげきよやしまにつき | 若竹笛躬 | 明和1.10 | 豊竹 | 日向島の景清。早く歌舞伎に入り、また改訂せらる |
蘭奢待新田系図 | らんじやたいにつたけいづ | 近松半二 | 明和2.2 | 竹本 | 義貞身替りと大森彦七。歌舞伎で田楽屋助市の件有名 |
菊池大友姻袖鏡 | きくちおほともこんれいそでかゞみ | 近松半二 | 明和2.9 | 竹本 | 岩倉宗玄折琴姫。歌舞伎に移入され時に清玄の台本と成 |
本朝廿四孝 | ほんてうにじふしかう | 近松半二 | 明和3.1 | 竹本 | 川中島合戦。殆んど全曲とも歌舞伎に入つて今に行はる |
太平記忠臣講釈 | たいへいきちうしんかうしやく | 近松半二 | 明和3.10 | 竹本 | 赤穂義士銘々伝。十段とも歌舞伎に移入、多くの原本と成 |
花軍寿永春 | はないくさじゆえいのはる | 吉田冠子 | 明和4.8 | 竹本 | 継信身替り。黙阿弥「音駒山守護源氏」継信亡霊の原本 |
関取千両幟 | せきとりせんりやうのぼり | 近松半二 | 明和4.8 | 竹本 | 岩川次郎吉と鉄ヶ嶽の達引。歌舞伎に入改訂され又新内原作 |
三日太平記 | みつかたいへいき | 近松半二 | 明和4.12 | 竹本 | 本能寺より光秀滅亡まで。松下住家の場は歌舞伎で有名 |
染模様妹脊門松 | そめもやういもせのかどまつ | 菅専助 | 明和4.12 | 北堀江 | 油屋質店で久作の革足袋とチヨイノセは歌舞伎で評判 |
傾城阿波の鳴門 | けいせいあはのなると | 近松半二 | 明和5.6 | 竹本 | 阿波の十郎兵衛。順礼唄の件名高く歌舞伎にも早く移入 |
関取二代勝負附 | せきとりにだいのしようぶづけ | 八民平七 | 明和5.9 | 亀谷 | 秋津島鬼ヶ嶽角力の達引。歌舞伎に入り改訂今に伝存す |
紙子仕立両面鑑 | かみこじたてりやうめんかゞみ | 菅専助 | 明和5.12 | 北堀江 | 揚巻助六の情話。先代仁左衛門の手によつて歌舞伎に移入 |
振袖天神記 | ふりそでてんじんき | 近松半二 | 明和6.1 | 竹本 | 菅丞相の生立。金岡遍照を出し、歌舞伎でも昔は評判 |
裙重浪花八文字 | つまがさねなにはのはちもんじ | 八民平七 | 明和2年 | 綱太夫 | 梅川忠兵衛とお妻八郎兵衛。仁左衛門「鰻谷」の原本 |
近江源氏先陣館 | あふみげんじせんぢんやかた | 近松半二 | 明和2.12 | 竹田 | 大坂冬の陣。早く歌舞伎に入つて陣屋の場が有名 |
神霊矢口渡 | しんれいやぐちのわたし | 福内鬼外 | 明和7.1 | 外記 | 新田義興と足利の争闘。兵庫物語とお船の件歌舞伎で有名 |
鎌倉三代記 | かまくらさんだいき | 近松半二 | 明和7.5 | 竹田 | 初名「太平頭鍪飾」歌舞伎に入り糸川村の場特に有名 |
妹脊山婦女庭訓 | いもせやまをんなていきん | 近松半二 | 明和8.1 | 竹田 | 入鹿退治。名作。早く歌舞伎に入り常に全篇上演さる |
艶姿女舞衣 | はですがたをんなまひぎぬ | 竹本三郎兵衛 | 安永1.12 | 豊竹 | 三勝半七酒屋の段は有名なれど歌舞伎に入りしは近頃なり |
摂州合邦辻 | せつしうがつぱふがつぢ | 菅専助 | 安永2.2 | 北堀江 | 玉手御前の死。歌舞伎にも入つたれど流行せしは明治以後 |
伊達娘恋緋鹿子 | だてむすめこひのひがのこ | 菅専助 | 安永2.4 | 同右 | 八百屋お七の改作。歌舞伎にも入り改訂。櫓のお七の原作 |
けいせい恋飛脚 | けいせいこひのひきやく | 菅専助 | 安永2.12 | 豊竹 | 「冥土の飛脚」の改作。現時歌舞伎に伝はる新口村はこれ |
花襷会稽褐布染 | はなだすきくわいけいのかちんぞめ | 菅専助 | 安永3.8 | 北堀江 | 佐崎巖柳月本民部。早く歌舞伎に入つて仇討物の代表作たり |
軍術出口柳 | ぐんじゆつでぐちのやなぎ | 菅専助 | 安永4.1 | 北堀江 | 天草戦記と柳沢騒動。直に歌舞伎化され明治前まで行はる |
競伊勢物語 | はなくらべいせものがたり | 奈河亀助 | 安永4.8 | 都 | 歌舞伎所演の物を浄瑠璃に刊行。のち人形となる有名なり |
忠臣伊呂波実記 | ちうしんいろはじつき | 福内鬼外 | 安永4.7 | 肥前 | 忠臣藏の銘々伝。「茅野三平切腹」の原作。歌舞伎にも移入 |
恋娘昔八丈 | こひむすめむかしはちぢやう | 松貫四 | 安永4.9 [4.8] | 外記 | 白子屋おくまの出来事を脚色。歌舞伎に移入。新内にも入る |
三国無双奴請状 | さんごくぶさうやつこのうけじやう | 近松東南 | 安永5.4 | 北堀江 | 光秀と高松城水攻の太閤記物。水攻の件のみ歌舞伎に有名 |
桂川連理柵 | かつらがはれんりのしがらみ | 菅専助 | 安永5.10 | 北堀江 | 前作を増補したお半長右衛門。京坂歌舞伎に入つて伝はる |
糸桜本町育 | いとさくらほんちやうそだち | 紀上太郎 | 安永6.3 | 外記 | 小糸お房と佐七。江戸歌舞伎と殆んど同時に上演書替沢山あり |
伊賀越乗掛合羽 | いがごえのりかけがつぱ | 近松東南 | 安永6.3 | 北堀江 | 前年歌舞伎で当りし脚本の義太夫化伊賀越仇討唐木政右衛門 |
心中紙屋治兵衛 | しんぢゆうかみやぢへゑ | 近松半二 | 安永7.4 | 西芝居 | 「天網島」改作。歌舞伎にてはこれを原として改作上演す |
道中亀山噺 | だうちゆうかめやまばなし | 近松半二 | 安永7.7 | 北新地 | 亀山仇討。歌舞伎に入つて寧ろ亀山物書替狂言の粉本となる |
往古曾根崎村噂 | むかし/\そねざきむらのうはさ | 近松半二 | 安永7.9 | 西芝居 | お初徳兵衛の新作。歌舞伎にては此方を採用。教興寺村の段有名 |
伊達競阿国戯場 | だてくらべおくにかぶき | 達田弁二 | 安永8.3 | 江戸豊竹 | 江戸歌舞伎伊達騒動の浄瑠璃化。累の件は歌舞伎に逆移入 |
驪山比翼塚 | めぐろひよくづか | 源平藤橘 | 安永8.7 | 肥前 | 権八小紫。歌舞伎にては比翼塚物の原作として種々改訂 |
碁太平記白石噺 | ごたいへいきしらいしばなし | 紀上太郎 | 安永9.1 | 外記 | 宮城野信夫と慶安太平記。直に歌舞伎に入り揚屋の場有名 |
新板歌祭文 | しんぱんうたさいもん | 近松半二 | 安永9.9 | 竹本 | お染久松野崎村。歌舞伎に入り特に書替の原作として重用 |
加々見山旧錦絵 | かゞみやまこきやうのにしきゑ | 容揚黛 | 天明2.1 | 外記 | 尾上岩藤草履打。直に歌舞伎に入り種々改訂今日に至る |
替唱歌糸の時雨 | かへしやうがいとのしぐれ | 近松半二 | 天明2.3 | 竹本 | 古今彦三の決定本。歌舞伎に入り書替同材狂言の原となる |
吾妻海道茶屋娘 | あづまかいだうちややむすめ | 若竹笛躬 | 天明2.9 | 北堀江 | 日本駄右衛門。歌舞伎にも入り又黙阿弥「小狐礼三」の原本 |
伊賀越道中双六 | いがごえだうちうすごろく | 近松半二 | 天明3.4 | 竹本 | 「乗掛合羽」改作。沼津岡崎名高し。歌舞伎にも其まゝ移入 |
内百番富士太鼓 | うちひやくばんふじだいこ | 松貫四 | 天明3.10 | 肥前 | 富士浅間の改訂物。江戸浄瑠璃ながら上方歌舞伎に移入 |
伽羅先代萩 | めいぼくせんだいはぎ | 松貫四 | 天明5.1 | 結城 | 同題上方歌舞伎を改作。明治以後却つて歌舞伎に逆移入す |
近頃河原の達引 | ちかごろかはらのだてひき | 為川宗輔 | 天明5.5 | 肥前 | お俊伝兵衛。堀川の与次郎歌舞伎に移入。この時初演に非ず |
比良嶽雪見陣立 | ひらがたけゆきみのぢんどり | 芝屋芝叟 | 天明6.6 | 東芝居 | 賎ヶ嶽七本槍。其まゝ歌舞伎に入りまた書替の原作となる |
彦山権現誓助剣 | ひこさんごんげんちかひのすけだち | 梅野下風 | 天明6.10 | 東芝居 | 毛谷村六助。歌舞伎に移入、現今に伝はりまた書替あり |
花上野誉の石碑 | はなのうへのほまれのいしぶみ | 芝屋芝叟 | 天明8.8 | 肥前 | 田宮坊太郎仇討、志度寺有名。同材書替狂言の原作たり |
木下蔭狭間合戦 | このしたかげはざまがつせん | 若竹笛躬 | 寛政1.2 | 大西 | 石川五右衛門と久吉。歌舞伎に入り又改訂さる。影響多し |
有職鎌倉山 | いうしよくかまくらやま | 菅専助 | 寛政1.5 | 北堀江 | 天明四年田沼騒動を脚色。のち歌舞伎に入り改訂され今日伝存 |
恋伝授文武陣立 | こひのでんじゆぶんぶのぢんだて | 菊水軒 | 寛政2.11 | 筑後 | 大坂陣を脚色。三島お仙の件だけ有名にて歌舞伎へ移入 |
筆始いろは曾我 | ふではじめいろはそが | 筒井半次 | 寛政3.2 | 外記 | 曾我と忠臣藏と菅原を混合せしもの。のち歌舞伎に改訂 |
彫刻左小刀 | てうこくひだりこがたな | 近松柳 | 寛政3.3 | 北堀江 | 石山軍記を脚色。うち左甚五郎身替りの件のみ歌舞伎移入 |
三拾石艠始 | さんじつこくよぶねのはじまり | 近松柳 | 寛政4.5 | 北堀江 | 同題歌舞伎の義太夫化。神道伝八関口平太。河村瑞軒出づ |
蝶花形名歌島台 | てふはながためいかのしまだひ | 若竹笛躬 | 寛政6.7 | 大西 | 秀吉島津の確執を脚色。小坂部館の段のみ歌舞伎に移入す |
持丸長者金笄剣 | もちまるちやうじやこがねのかんざし | 近松柳 | 寛政6.3 | 北堀江 | 尼ケ崎屋庄九郎の悪事を脚色。京坂歌舞伎で盛んに移入 |
日本賢女鑑 | につぽんけんぢちよかゞみ | 近松柳 | 寛政6.10 | 北堀江 | 大坂陣を脚色。その一部宇治君苦忠の件のみ歌舞伎に入る |
敵討優曇華亀山 | かたきうちうきゝのかめやま | 司馬芝叟 | 寛政6.10 | 竹本 | 亀山仇討改作。人形として最も行はれ、歌舞伎にても其まゝ移入 |
加賀見山廓写本 | かゞみやまさとのきゝがき | 中村魚眼 | 寛政8.1 | 竹本 | 同題歌舞伎の義太夫化。加賀騒動鳥居又助、加賀の千代 |
会稽多賀誉 | くわいけいたがのほまれ | 奈河七五三助 | 寛政9.4 | 土佐 | 歌舞伎の合邦仇討を脚色せしもの。大道寺覚太郎唐橋作十郎 |
忠臣二度目清書 | ちうしんにどめのきよがき | 烏亭焉馬 | 寛政10.3 | [薩摩] | 忠臣藏後日。平右衛門注進の段のみ歌舞伎に移入伝はる |
絵本太功記 | ゑほんたいこうき | 近松柳 | 寛政11.7 | 若太夫 | 光秀征伐十三日間の事を脚色。歌舞伎に入り各段とも評判 |
日吉丸稚桜 | ひよしまるわかきのさくら | 近松柳 | 享和1.10 | 北堀江 | 秀吉壮時の事を脚色。歌舞伎にも入り小牧山城中の段有名 |
箱根霊験躄仇討 | はこねれいげんいざりのあだうち | 司馬芝叟 | 享和1.8 | 東芝居 | 飯沼勝五郎の仇討。歌舞伎へも入り九十九邸と箱根の瀧有名 |
八陣守護城 | はちぢんしゆごのほんじやう | 佐川藤太 | 文化4.9 | 大西 | 清正を中心に大坂陣を描く直に歌舞伎に入り一部今日伝存 |
自来也物語 | じらいやものがたり | 並木春三 | 文化6.8 | 角芝居 | 京坂歌舞伎「柵自来世談」の義太夫化。盗賊自来也の義侠 |
傾城倭荘子 | けいせいやまとさうし | 不明 | 文政1.12 | 稲荷 | 同題歌舞伎の一部を義太夫化す「蝶の道行」の景事有名なり |
東海道四谷怪談 | とうかいだうよつやくわいだん | 不明 | 天保2.7 | 御霊 | 同題歌舞伎の義太夫化。怪談とケレンの人形、五変化を主 |
生写朝顔話 | しやううつしあさがほばなし | 山田案山子 | 天保3.1 | 稲荷 | 歌舞伎の朝顔日記を義太夫化す。後却つて歌舞伎に逆移入 |
今昔安積沼 | いまはむかしあさかのぬま | 不明 | 天保3.8 | 竹田 | 小幡小平次の事を脚色。坂東彦三郎後歌舞伎より暗示を受く |
金門五三桐 | きんもんござんのきり | 山田案山子 | 天保4.1 | 稲荷 | 歌舞伎の同題脚本を添削義太夫。人形式の因縁話を附加 |
梅魁莟八総 | はなのあにつぼみのやつぶさ | 山田案山子 | 天保7.7 | 稲荷 | 馬琴の八犬伝を二日続に人形化。歌舞伎の大当りによつて計画 |
花雲佐倉曙 | はなのくもさくらのあけぼの | 佐久間松長軒 | 嘉永5.9 | 竹田 | 江戸歌舞伎の佐倉宗吾大当りに刺戟された作。京坂歌舞伎移入 |
明烏雪の曙 | あけがらすゆきのあけぼの | 不明 | 嘉永6.2 | 新築地 | 江戸の明烏大当りによつて脚色された新曲。山名屋の一段物 |