さろん de さろん より 転載

8月15日を思う 投稿者:一貫堂メール 投稿日:2006年 8月10日(木)13時38分10秒 編集済
 7年 4月 昭和義烈 三勇士名誉肉弾 上海事変で敵陣突破に
                    志願した3兵士の自爆
 7年 9月 其幻血桜日記    上海事変で不名誉な噂を打ち
                 消すために自決した空閑少佐
11年 6月 水兵の母   日清戦役で戦艦高千穂乗組員一水兵
              へ忠君愛国武勇を勧めた母の手紙
12年11月 支那事変 御旗本     内容不明
12年12月 軍国美談 代唱万歳母書簡  海軍航空隊内海中尉
                     の留守宅の話
14年 1月 真木薫皇国の礎    明治天皇の死とともに自決
                  した乃木希典大将の事跡
15年 2月 奉頌皇紀 上の巻伏見の里近松作 源平時代の貞節
       二千六百年中の巻 大楠公    足利時代の忠孝
            下の巻 三勇士名誉肉弾  昭和義烈
16年 3月 先陣訓    全12景 10 旅順二百三高地 11 日本
                  海々戦 12 国民総進軍
16年 5月 海国日本魂 全12景 9 旅順港 10 福井丸船上
                11 飛行基地 12 軍艦旗掲揚
             福井丸は旅順港閉塞作戦での広瀬
             武夫少佐率いるボロ船団の自爆沈
17年 2月 国威は振ふ 全9景 5 大本営陸海軍発表 6 ハワイ大
             空襲 7 ラモン湾上陸母船大江少佐戦死
             8 ラモン湾上陸戦 9 国民総進軍歌
17年 3月 忠霊    内容不明
17年 4月 水漬く屍  日米開戦時ハワイ基地を特殊潜航艇で
             攻撃し自爆死した9軍人
17年11月 赤道祭   内容不明
18年 2月 空の軍神偲ぶ俤 隼戦闘機隊長加藤健夫少佐の戦死
18年10月 晴着の子宝   産めよ増やせよ政策?
19年 1月 勝舞龍    景事 勅題海上日出ニ因テ とある
19年 3月 壮烈 荒鷲魂  内容不明
   この頃になるともう戦争宣伝の気力も日増しに衰えていった
       出陣 木曽義仲と側室巴御前の出陣をテーマにしたものか回数多く上演された

 昭和7年から20年の終戦時までに、戦争の宣伝に協力するため新作され上演された人形芝居の初演を並べました。
いくつかのものは初演以後もたびたび上演されました。映画・演劇を始め文学・音楽・美術に至るまであらゆる芸術が、
否応なしに強制的な権力で以って協力させられたもので、作者や演者の意思にかかわらず負の遺産として消し去ることができず記録に残っています。
戦後、日本人は自由と平和を享受し、自らの意思に背いて権力に迎合する必要はなくなりました。
自由と平和がどんなに素晴らしいものか身をもって体験して来ました。もうこれらの人形芝居を実際に見聞きした人は、
そんなに多くはいらっしゃいません。この悪夢の如き残渣を一刻も早く捨て去るべきでしょうが、そうではなく、
これらを捨石として平和の尊さを後世に語り伝えるのが我々の責務ではないでしょうか。
 大阪府立中之島図書館に残る貴重な記録「四ツ橋文楽座公演プログラム 1」と同館所蔵の
高木浩志氏編「文楽興行記録 昭和篇」を利用させていただきました。後者は「音曲の司」
FILE21に「文楽興行記録 索引ファイル」としてその一部が収録されています。