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【 文楽座プログラム 四ツ橋畔より 抜萃 】

(2024.12.22)
提供者:ね太郎
 
 
四ツ橋畔より 消息日記
[30.3.22] 廿二日
日本にラヂオが出来て五周年に相当するといふので日本放送協会で文楽を一日買切り出資者並に主なる名士を請待した。この日全国へ舞台中継で『妹背山』の山の段が津太夫、土佐、古靱、錣、友次郎、吉兵衛、新左衛門、清六等で放送された、前月の勧進帳にも増した好成績であつた。
 
四ツ橋畔より 消息日記
[30.4.20] 四月廿日
大阪中央放送局の斡旋で高橋兵庫県知事神戸市長をはじめ扇港要路の名士が三十余名来観せられてた。
石田神戸市電気局長、堀口海洋気象台長、田崎神戸商大学長、黒瀬神戸市長、山脇元兵庫県会議長、藤岡兵庫県警察部長、古宇田神戸高工校長、坂間兵庫県内務部長、水野神戸郵便局長、篠崎神戸税関長、東神戸裁判所長、梅津大阪造幣局長、広江大阪放送局長
 
 
四ツ橋畔より 六月の消息日記
[30.6.7] 六月七日
BKより『沼津』一段を古靱太夫が小揚げ津太夫が平作内を舞台中継で放送した
 
四ツ橋畔より 七月の文楽座消息日記
[30.7.17] 七月十七日
吉例のBKより舞台中継にて津太夫、友次郎の『吃又』を全国へ放送した。
 
四ツ橋畔より 八月の文楽座消息日記
[30.8.4] 八月四日
大阪中央放送局吉例の舞台中継で「卅三間堂棟由来」平太郎住家の段を全国へ放送した。舞台は前を南部、吉弥、後を島、友造、人形は紋十郎のお柳、政亀の平太郎、玉七の蔵人、玉幸の和田四郎で非常に高成績を挙げた。
 
四ツ橋畔より 二月の文楽座消息日記 
[31.2.25] 二月十五日
BKの中継放送で土佐太夫吉兵衛の「ひばり山古跡松」中将姫雪責の段を午後八時三十分より約一時間に渉り内地全国北海道、台湾、鮮満まで現場放送をしましたが非常に効果をあげ得られました。
 
四ツ橋畔より 三月の文楽座消息日記
[31.3.15] 三月十五日
順宮内親王殿下御生誕奉祝記念放送として「義経千本桜」道行初音の旅路と河連法眼舘の段をBKより舞台中継で全国へ放送されました。
 
四ツ橋畔より 五月の文楽座消息日記
[31.5.8] 五月八日
BKの恒例による舞台中継放送で菅原の『寺子屋』を津太夫、友次郎で全国へ放送しました。人形は栄三の松王、文五郎の千代、源蔵は玉次郎、戸浪は政亀です
 
四ツ橋畔より 六月の文楽座消息日記
[31.6.1] 六月一日
JOBKの吉例行事になつてゐる舞台中継放送を開催。午後八時より一時間余に渉り『御所桜堀川夜討』弁慶上使の段を左の通り全国へ放送しました。
  中 相生太夫 (糸)清二郎
  切 古靱太夫 (糸)清六
 
四ツ橋畔より 昭和七年一月の文楽座消息日記
[32.1.2] 一月二日
吉例によりBKの舞台中継放送『花競四季寿』を全国へ初放送しました。
[32.1.8] 一月八日
全国放送部長会議に参集の方々はBK広江常務の招待で御来場されました。
[32.1.9] 一月十九日
古靱太夫(清六)の『傾城恋飛脚大和往来』(新口村)を舞台中継で全国へ放送しました。
 
四ツ橋畔より 昭和七年二月の文楽座消息日記
[32.2.7] 二月七日
吉例BK舞台中継放送に『合邦』を全国へ。
  中 駒太夫 重造
  切 津太夫 綱造
 
四ツ橋畔より 昭和七年三月の文楽座消息日記
[32.3.6] 三月六日
吉例BK舞台中継放送「妹背山道行恋の小田巻」
  太夫 南部、小春、源路他
  絃 吉弥、団六、芳之助他
  人形 文五郎、政亀、紋十郎
 
四ツ橋畔より 昭和七年四、五、六月の文楽座消息日記
[32.4.10] 四月十日
BK吉例の舞台中継放送は左の通りのキヤストで放送す(午後七時三十分より)
「仮名手本忠臣蔵」の「祇園一力茶屋の段」
太夫 由良之助(相生)平右衛門(つばめ)おかる(小春) 絃(団六)
人形 由良之助(栄三)おかる(文五郎)平右衛門(玉松)
 
[32.4.17] 四月十七日
「三勇士名誉肉弾」を舞台中継放送す(午後零時五十分より)
この日特にマチネー開催し、この中継実況と忠臣蔵の六ツ目を観覧に供した。
 第一 忠臣蔵六ツ目勘平切腹の段(相生芳之助)
 第二 三勇士名誉肉弾 (大隅、相生、つばめ、呂、鏡、隅栄、長、淀路、小春)
             友次郎 仙糸、広助他
             栄三、文五郎、玉次郎他
マチネー参加団は
 泉尾、中大江、集英、下福島、春日出、築北、各家政技芸女学生、泉尾母の会の方々。
 
四ツ橋畔より 九月の文楽座消息日記
[32.9.5] 九月五日
BKの舞台中継全国放送を挙行しました。「其幻影血桜日記」の五場を放送しました。その前の少時間を利して脚色者食満南北氏が内容に就ての講演も併て放送しました。
 
四ツ橋畔より 一月の文楽座消息日記
[33.1.3] 三日
舞台中継、茶屋場、八時より放送
  由良之助(津)おかる(土佐) 平右衛門(古靱)
 
四ツ橋畔より 五月の文楽消息日記
[33.5.7] 五月七日
BKの中継放送、津太夫の「志渡寺」放送す。
 
四ツ橋畔より 文楽消息日記 六月興行 七月・八月の消息
六月四日
古靱友次郎の「宮守酒」舞台中継にて放送
 
四ツ橋畔より 九月の文楽座消息日記 九月若手興行
九月十日
本日BKスタヂオより座談会(義太夫を語る)が放送されました。司会者は木谷蓬吟氏、会者江崎政忠氏、鶴沢友次郎氏、土佐太夫氏、大毎和気律次郎氏等で団平やら摂津大掾等に就て交々話が出たるが最後に和気氏の言でマチネーの問題が出て、土佐、友次郎両氏の説明があり、土佐氏の言として、若いこふした初めて浄瑠璃を知る人の眼耳が我等は一番おそろしいとありました。